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清掃員は見た!第3話『衝撃的だった不法投棄ゴミランキング・ベスト3』

唐突ですが、五年半のマンション清掃員生活で衝撃だった不法投棄ゴミランキングを発表しまっす。


第3位 敷き布団

第2位 コタツ

第1位 ドラムセット


ベスト3ってタイトルにはしましたけど、ワーストかなこれ?
まあ、どっちでもいいです。
衝撃度の高い順と認識していただければ。

これらはすべて僕が勤めていたマンションに不法投棄されたゴミです。

マンションの清掃員をしていて、げんなりする瞬間のひとつが不法投棄されたゴミを見つけたときですね…。

僕が勤めていたマンションのゴミ置き場はかなりオープンで、大きなボックスがゴミの種類別にズラッと並んでるだけでした。

昨今のマンションやアパートは施錠された檻のような場所に捨てるスタイルも多いんですけど、関係のない人でも捨てられてしまうオープンなボックスタイプもまだ残存してる模様です。

僕の家の周囲だけでもボックスタイプはかなり多いですね。
というかボックスタイプが未だにメインなのかな?


さて。


ボックスであるか否かはこの記事においては問題ではありません。
敵は不法投棄してくるので、檻だったら檻の前に置くだろうし、檻もボックスもなければそこらへんにひょいと投擲することも辞さないでしょうからね。

ランキングの解説いってみましょーか。

第3位の敷き布団は、マンションのすぐ近くに公園があるのですが(なぜか公園も僕の清掃範囲でした)、公園の真ん中に布団が敷かれていたのです。
見つけたときは何事かと思いましたね。

ホームレスの方が公園を住処に選んだ、という可能性も考えましたけど、いくらなんでも公園の中心に布団を敷くとは思えません。
結局、管理人さんにその後の処分はお任せしました。
僕の仕事は通常の清掃までなので。


第2位のコタツは、ゴミボックスの上にデーンと乗っかっていました。
どう見る角度を変えても粗大ゴミ。
これもまた、管理人さんに処理はお任せしました。


第1位のドラムセットは、ゴミボックスの中に放り込まれていました。
清掃員のオペレーションの中に、朝夕のゴミボックスのチェックがあります。
異常があった場合には管理人さんに報告することになっているんですけど、ドラムセットのときはまさにその異常事態でした。

ゴミボックスのうちの一つを、ほとんどを占拠していましたからねぇ…。

バンド活動の末路だったのかなぁ。バスドラムやらシンバルやらがゴミとして放り込まれている姿は、妙に胸にくるものがありました。

ちなみにこれも、処理は管理人さんにお任せしました。


不法投棄に苦しむのは誰か

不法投棄されたゴミが登場したとき、一番苦しむのは誰なのか。

マンションの住民?

それとも清掃員の僕?

いいえ。

答はマンションの管理人さんです。

ランキングに登場したすべてのゴミの末路が管理人さんの手に委ねられていることからも分かるように、アルバイト清掃員の僕にできるのはそこらへんに転がっている吸い殻やら落ち葉を処理する程度。

不法投棄された粗大ゴミ級のブツとなると、地域で定められた諸々の手続きが必要になるだとかで管理人さんに一任することになっていました。

僕がやったことと言えば、コタツを指示された場所に運んだことぐらいですかね…。

管理人さんの仕事は手続きだけではありません。
住民の方々への説明もありました。

というのも、不法投棄されたゴミはひとまず目立つ場所に置かれます。大抵「不法投棄はやめてください!」なんて張り紙を付けられた状態で。

そんなことしても犯人が名乗り出るワケないと僕は思っていましたし、管理人さんもきっとそう思っていたはず。
けれど何もせず黙って処分していては、いよいよ不法投棄の穴場として不法投棄業界で名を馳せ、さらに不法投棄が増えてしまうかもしれませんからね。一応、です。

当然の帰結として住民の方々の目にも止まることとなり、管理人さんに

「あのゴミどうしたの?」

と訊くワケです。
年輩の主婦層の方々が主に質問していたとか。
ただ訊かれるだけならいいんですけど、

「それは管理人さんの管理が甘いんじゃないの?」

なんて言う方もいるから管理人さんは大変です。
ゴミ置き場を監視するカメラは付いていないので

「監視カメラをつければいいんじゃない?」

という意見も出るのですけど、そうなると今度は

「いやいやそれはプライバシーの侵害だろ」

と怒る人が出てくる。うへぇ。
ちなみにプライバシー云々で怒るのは男性が多かったそうな。


管理人さんの件は、僕が管理人さんとの世間話で聞いた話ばかりです。
僕が働き始めて一年もした頃にはよく世間話してましたねぇ。マンションの裏話とかかなりおもしろかったなぁ。
管理人さんにとっては笑えない話ばかりでしたけど。

なんかもう、ため息ついて


「ほんとねぇ、色々な人がいるんだよ…」


と、遠い目をしてつぶやいていた管理人さんを、僕は今でも忘れられません。
マンションの管理人は本当に大変そうだったなぁ…。


後日談

結局、僕が清掃員をやめるまでの五年半もの間に、不法投棄問題が解決することはありませんでした。

監視カメラは増えたんですけど、バイク乗り場を監視する用が一台加わっただけでしたねぇ。
住民のバイクにイタズラされたことが理由でした。
自分たちに直接の被害が出ない限りは動かないってことなんでしょうか。

もっとも、そうしょっちゅう不法投棄されてたワケではありません。
年に二回とか三回ぐらいだったかな。

たぶん、見せしめの意味も込めて目立つ場所に不法投棄されたゴミを晒しておいたのが、効果があったんじゃないかなと。

…そう思いたいです。

コタツ、結構重かったゾ。

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