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成年年齢引き下げについて

民法改正による成年年齢引き下げが今週金曜に迫りました。

なぜか先週からいきなりよくわからない話題になり方をしていましたが、この形成の公布は2017年6月です。2020年4月の債権周りの大改正と同じタイミングで改正はされていたんですね。施行(改正内容が有効になる)のタイミングが債権まわりとずれていました。

私の観測範囲では未成年者取消権とよばれる行為が18,19歳の方でできなくなることの注意喚起がよく行われておりますので私もこのあたりをまとめようと思います。

未成年者取消権とは

民法第五条二項の記述のことを指します。

第五条 
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

民法第五条

この五条二項が未成年者取消権と呼ばれます。

まず、二項の前提として一項を把握しなければなりません。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

民法第五条第一項

これはどういう意味かというと、未成年が契約などの法律行為を行うには親などの法定代理人の同意を得る必要がある、という意味です。ただし、学費免除だとかのように義務を免除されたりなどは親の同意は必要がありません。

前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

民法第五条第二項

この「前項の規定」というのはもちろん前半の部分、親の同意が必要、という部分です。

例えば、親の同意なしに未成年者が行った契約は取り消すことができます。
ここで2点注意すべきことがあります。

  1. 「取り消し」の意味

    1. 取り消すまではその契約は有効になります。取り消した段階で「無効」になります。

    2. 「無効」になった契約は法律上締結の事実さえなかったことになります。

  2. 「取り消し」ができる人

    1. 親(法定代理人)

    2. 契約を行った未成年者自身。この取り消しには法定代理人の同意は不要。

この「親(法定代理人)の同意がないものについては未成年者自身が契約を取り消せる」という部分をもって「未成年者取消権」と称することが多いのです。

第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

民法第五条第三項

さて、残りの第三項です。

  • 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。

    • これでPC買いなさいと言ってPC代を渡されるとか、卒業旅行の費用をわたされるとかの場合はPC買ったり、旅行したりに親の同意はいらない(目的のために渡されてるので同意がすでにあるとされるのかもしれないですね)

  • 目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

    • これは月々のお小遣いとかです。これは額が大きくなるとお小遣いとして受け取ったお金から支払うのでも親の同意が必要になる印象です。割と少額を想定されている気がします。

「~買う・する のにお金をください」とか「お小遣い」とかで親からもらったお金を使う分には改めて親の同意は不要という条項で。

親の同意が不要ということは第三項に該当するものについては未成年者取消権は使えませんので注意です。ただ、「お小遣いためて数万円の買い物をする」とかになるとおそらく未成年者取消権の対象になりますが。

そのほかの影響

成年年齢引き下げにより大きく影響を受けるのはやはり第五条の内容です。しかしほかにも影響を受けるものはあります。簡単に整理していきます

(未成年者の営業の許可)
第六条 
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

民法第六条

これは五条の労働版という感じでしょうか。五条は契約などについての内容でしたが、こちらは未成年の労働についてです。五条と同様に法定代理人の同意(許可)が必要だったり、必要に応じて未成年の労働に法定代理人が制限・許可の取消をおこなえるという内容です。

民法以外の話

また、喫煙、競馬などは民法と別の個別の法律で別途年齢制限が行われており、今回の成年年齢の引き下げで成人となったからといってできるようにはならないものも多くあります。そのようなもので代表的なものを列挙します。

  • 20歳未満は引き続きやってはだめ

    • 競馬

    • 競輪

    • オートレース

    • 競艇

    • 飲酒

    • 喫煙

国籍法や社会福祉法などなど民法における成年年齢の引き下げの影響を受けている法律は多くあります。(影響といっても、年齢の表現を20歳と明記するようにしたり、記述は未成年のままだが、民法改正の影響を抑えるための経過措置をとったりですが。)

また、婚姻年齢も男女ともに18歳以上に統一されます。

まとめ

  • できるようになること

    • 18,19歳が親の同意なしに有効に契約を行うことができる

  • できなくなること

    • 18,19歳による、自身が未成年であることを理由とした契約の取り消し

  • 出来ないままのこと

    • 競馬などの賭け事

    • 飲酒・喫煙

こと契約に関して、高校三年生以上の責任が重くなります。未成年だから適当に契約していいというわけではありませんが(あまりに悪質だと未成年でも未成年者取消権を行使できなくなります)、契約する際には自分が相手にどんな義務を持っているのか、相手は自分にどんな義務を持っているのかをしっかり把握しないといけません。

そのためには契約書を読む必要がありますがここに落とし穴があります。契約書は法令分でもないくせに法令分の慣習で読まないといけないことがほとんどです。又はと若しくはの使い分けとかですね。これは書いてる人の大半が弁護士とかの法曹の教育を受けている人だからです。

ある種の外国語とみなして意味が取れない文の単語は片っ端から調べながら読みましょう。

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