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【初心者向けミリタリー】グレネードランチャー/擲弾発射機って何ですか?

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皆さんおはようございます。
毎週木曜日は、かけうどんの趣味の軍事・ミリタリーに関連する記事を投稿する日にしています。

アニメやゲームなどで御馴染みの武器・アイテムなどにもつながるので、少なからず需要はあるのかな?とも思うのですが、なるべく初心者向けの記事にしたいので、難しい専門用語やクドイ説明はしないよう、また、ネットでググれば出てくるような情報の羅列にならないようにしたいと思います。

専門的な知識をお持ちの方が見たら「なんじゃこりゃ?」的な所もあるかも知れませんが、素人が書いている記事ですので、ご愛嬌とお許しください。

今日は、近代的な陸軍の歩兵にとっては基本的な装備のひとつとなった、『グレネードランチャー/擲弾発射機』について書いてみたいと思います。

よろしければお付き合いください。

過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめています。

1.グレネードランチャー/擲弾発射機の概要

擲弾発射機てきだんはっしゃき(英:Grenade launcher)は、本来は投擲して用いられていた手りゅう弾を遠くに飛ばすために考案された火器の一種です。

初期のものは、投擲用の爆弾を火薬の力で遠くに投射していたこともありましたが、近代的なものの殆どが、手りゅう弾ではなく、ランチャー射出用の特殊なカートリッジ式弾薬が用いられることが多いです。

通常、口径20mmが小火器と重火器の境界と言われていますが、擲弾発射機は、その性質や運用面などから、カテゴリー上は小火器に分類されることが多いようです。

2.グレネードランチャー/擲弾発射機の歴史

(1)第1次世界大戦前

グレネードランチャーの歴史は、古くはマスケット銃の時代までさかのぼります。当時は爆弾を投げる専門のエリート兵である”擲弾兵”という兵科が存在していたのですが、攻城戦の時、人間の手で爆弾を投げられる距離に限界があったことから、専用の射出器(Hand mortar)が考案されました。

この射出器は、通常の小銃の口径を思い切り大きくし、手投げ弾を装填できるようにしたもので、小銃弾の何倍もの重さがある手りゅう弾(投擲弾)を発射する圧力に耐えられるよう、銃身を短くし、銃身部分を大砲なみに分厚くした作りになっていました。

銃身がとても短いため、弾の初速は低くなりますが、これによって、弾が山なりの放物線を描くように飛ばされることになり、城壁越しに内部の敵に攻撃するのに適したものであったため、ヨーロッパでは一時期多用されたと言われています。

デメリットは初速が低いため命中精度は悪く、近代化するにつれ、次第に使用されなくなります。

(2)第1次世界大戦

機関銃の登場によって戦場は塹壕を掘って睨み合う”降着状態”へ。

敵が潜む塹壕に手りゅう弾を投げ込むのは有効な攻撃手段でしたので、戦場の環境が変わったことで、擲弾発射機が再び注目されるようになります。

第1次大戦当時のものは、小銃の銃口にカップ式の射出機を装着して、その中に手りゅう弾を載せ、空包(弾丸がついていない、発射火薬だけが入った薬莢)を銃に装填して、空包の発射ガスを用いて手りゅう弾を射出していました。

また、この派生型で、手りゅう弾本体に、銃口に合うように加工されたパイプ状の棒を装着して、同じく空包で射出するものもあったようです。

これらは、後の『小銃用てき弾』へと進化していきます。

デメリットとして、重量のある擲弾を飛ばすため、いくら空包とは言え、発射ガスの圧力が大きくなることから、反動が大きくなることです。よって、普通にライフルを構えて撃つような姿勢で射出することができず、やはり命中精度が悪いものでした。また、小銃側の損耗も激しくなると言う問題もあったようです。

余談になりますが、これら小銃用てき弾の問題点を改善した小型迫撃砲が生まれます。

(3)第2次世界大戦

第1次世界大戦時に考案された小銃用てき弾発射機や、小型迫撃砲などの対人用火器は、戦車に対抗し得る有効な手段として、対戦車火器へと一部が発展していきました。

過去記事の『バズーカって何ですか?』でも説明していますが、モンロー・ノイマン効果の発見により、比較的軽量で、歩兵でも持ち運びができる対戦車弾頭技術が発達したことによって、これまでに発展してきたグレネードランチャーの運用上の使用用途が広がることになります。

(4)第2次世界大戦後

ベトナム戦争時、個人携行ができるサイズ・重量の擲弾発射機が実用化されました。

M16/M203

ベトナム戦争は、比較的、敵との交戦距離が近いにも関わらず遮蔽物が多く視界が悪いという特性がありました。

簡単に爆弾を投射できるグレネードランチャーは、このようなジャングル戦で効果を発揮したとも言われています。

ベトナム戦争で歩兵が装備する突撃銃にグレネードランチャーを装着して運用したのを機に、世界各国陸軍では、自軍の突撃銃に装着可能なグレネードランチャーの開発・採用が主流となり、今も歩兵装備には欠かせないものとなっています。

3.構造・機能

グレネードランチャーには、大きく分けて自動と手動の2つのタイプが存在しており、歩兵が携行するタイプのものは、ほとんどが手動型。車両などに搭載して使用する大型のものが自動型と分類されています。

口径は一般的に40mm級が主流で、警察などでは軍用のものとの混合・混同を避ける為か、37~38mm口径の非致死性弾薬(ゴム弾や催涙弾)などが広く使用されています。

また、少し違う形態、用途になりますが、戦車や装甲車などが敵の対戦車火器に狙われた時、煙幕を広範囲に展開するための『スモークグレネード』というものがあり、これは、戦車の砲塔や装甲車の車体に備え付けられた筒状の射出機から複数の煙弾が一挙に放出されるものです。(詳しくは、後に戦車や装甲車の記事を書く時に説明します。)

(1)手動式

グレネードランチャーへの弾丸の装填そうてん閉鎖へいさ撃発げきはつ排莢はいきょうの一連の動作を人間の手を使って行うものです。

近代的な陸軍などで使用されている歩兵用のグレネードランチャーは、ほぼ、この手動式になります。

形式は以下の3つのものが主流です。

○中折れ式:弾丸を装填する際、銃本体が中央で二つに折れるもの。(猟銃などの構造に似ている)現在では、ほとんどが小銃装着タイプのものが主流になりつつありますが、一部の特殊部隊や警察などでは使用されています。

M79

○小銃装着式:現在最もポピュラーなもの。歩兵が装備する突撃銃に装着するタイプのもの。

AK74+Gp25

○回転弾倉式:複数のグレネード弾を回転式の弾倉に装填して運用するもの。通常、弾倉の回転は手動で行いますが、ゼンマイ動力で射撃にあわせて弾倉が動くものもあるようです。

(2)自動式

頑丈な銃架に備え付けて運用する大型のもので、通常は車載式のものが多い。グレネード弾を自動で次々と発射できるので、機関銃よりも大きな火力を短い時間でばら撒くことができる。

銃本体の自動発射の機構は、ブローバック方式、ガス圧作動方式、反動利用方式と、通常の機関銃で用いられているメカと大きな差はありません。

96式自動てき弾銃/日本

(3)その他/対戦車擲弾発射機

旧ソ連製のRPG-7や、ドイツ製のパンツァーファウストなども、一種の擲弾発射機に分類されるものの、対戦車戦闘用に使われることから、弾丸そのものに推進機能が付与されていたり、一般的なグレネードランチャーと性質がやや異なる点もあるので、整理上ここでは割愛します。

RPG7

RPG-7やパンツァーファウストなどについて、詳しくは、後日、対戦車火器の記事を書く機会があれば、そこで改めて触れたいと思います。

4.最後に

今回の記事で、歩兵の項目が一通り埋まりましたが、ピストルの項目だけ深く掘り切れていませんので、後日、ちょっと詳しく書いてみようかなとは思ってます。

毎度のことながらですが、なにしろ素人が書いている記事ですので、諸所分かりにくいところもあるかと思いますが、どうかご容赦ください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。


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