見出し画像

夢日記4

夢日記4

〇注意
 起きてすぐにiPhoneのメモ機能で書いたものに少し手を加えてあります。それでも、起きてすぐの僕の感覚で組み立てられた文章であるから、読みづらいと思われます。僕も読んでいてよくわからない。
夢日記をつけるようになってから暫く経つのですが、そのなかでも文章量が多い物を選びました。

 僕は薄暗い工場のようなところに立っていた。靴の裏から伝わる冷たさから、打ちっぱなしのコンクリートの材質を感じる。清潔なところは自分の内側以外には見当たらなかった。劣悪な空気、犬のような口臭を携えた男達は肉体労働者っぽい雰囲気、締め切られて埃っぽいガラス窓、どこかで回り続ける換気扇の音。

 唯一認識できた顔がその醜悪さゆえであったので会話に際して僕は彼の靴ばかり見ていた。彼の他にいるのは同じ顔をした人間ばかりだ(厳密に言えば見分けがつかないだけ)。仕事もできないし、なにをするにも愚鈍で。こちらから何か行動を与えなければなにも機能しない。僕は彼ら(同じ顔の人間たちの中から任意のひとり、顔の特徴は皆無なのだが背格好には差違があり、そこからなんとなくの年齢を類推することができる)の1人を共に連れ出して、外で仕事をサボることを思いついた。

 「あの、少し休憩してきます。」唯一顔を認識できる初老の醜い男にそう言った。続けて「彼も煙草を吸うようなので…」と同じ顔だからどれでもいいだろうと、適当なところを指し示した。その方向にいた男、顔のよくわからない男に「外に行く、お前もだ。」と言って連れ出す。その間、背中に視線を感じている(一体だれから? あの初老の男?)。

 真黒く脆い、襖のような引戸を開けて、さっきより狭い空間に入る。ここが外だと僕は思っている。僕はいつもの煙草に火をつける。僕を見てる二つの眼がそこにある、僕は無視できなかった。あいつらは煙草を吸わない筈なのだがなんとなく雰囲気だけでメンソールを吸いそうだと思って、もう一度襖を開け「誰か…メンソ…」と言いかけたところ。さっきの初老が現れて「そうだそうだ、彼はメントールの煙草だ。ほら忘れたんだろ持って行きな。」と言ってガラムのメンソールをくれる。よりにもよってガラム…趣味が悪い。

 ほらと、声に出したかわかないが顔のないやつに手渡す。外に出る。こんどは初老も後を追うように外に出て来て、鷹揚とした調子で話す。「金はよくない。あれについて知ってるか? 多少の知識はありそうな顔をしているな。この前、俺はテレビを見たんだ、珊瑚の綺麗な南の海の話だった。今は珊瑚がそんなにないらしい、海流によって珊瑚にまで流れ着いた人工物が、珊瑚の枝に引っ掛かる。あれがよくないらしいな。でも観光客だの、若い連中は眼鏡をかけた男が印刷された紙ばかり拾っている。全部形が同じだから、どれをどれだけ拾っても変わらないはずなのにな。ことの重篤さを理解できるか? 君。僕はね、こう見えても都内の大学を出てるからね。まぁ有名なところではないが、恩師はいるんだよ。〇〇先生と言ってね。腕の良い編集者が捕まらなかったから、大して本は売れなかったらしいが…彼は優秀だよ…僕の友達たちも…みんなツキがないだけだ。運気が向いてこないのさ。俺も同じ。だからみんな不幸な面…」

 僕らは何故か急いでいた。僕らは外にいたはずなのだけれど、狭い外はとても速いスピードで加速していた。窓があったから分かる。狭い窓だ、掃き出し窓くらいの大きさだったがしゃがんで覗き込んだ。車より速いような、時速80キロは出てるな。僕は一番後ろに立っていた、外が進んでいる方向から一番後ろに。直感的にそこにいるのが一番安全だと思ったから。移動を続ける外の先端には顔のない男、そして初老、最後に僕。窓の外に海を見つけて、みんな無言で水を求めた。だから、みんな外から出て行ってしまった(僕らは元から外にいたのだから、どこに出て行こうが全ては内側だと思うのだが…)。

 みんなが水に夢中になっている隙をついて、僕は乾いた体で一番に外へ飛び出て(無論、僕らを移動させた「外」に「乗り込んだ」のであるが、正確な表現は難しい)、ブレーキとアクセルを確認する。二つとも足元にレバーがあったのだがとても細くて頼りない。僕はほら早く乗れと他の2人に言う。初老が「君はスニーカーを運転したことがあるのか?」と聴くので「そりゃ、僕だって普通免許くらいは持ってますよ」と言う。僕がさっきまで「外」と呼んでいたものはスニーカーになった。スニーカーにはトンボみたいな翅があって、アクセルを踏むと風を切る音がする。あぁそうだ、僕はさっきのやつの運転に苛ついていたんだ。いや、でも実際は僕の方が下手なんだけどなぁ。アクセルを踏むと、光速を超えて僕は人間らしくなくなった。他のスニーカーを運転する奴と同じように人間ではなくなって、スニーカーに乗るやつだけが見えていた。スニーカーに乗るやつらの顔は全部違っていたけれど、もちろん僕がブーツを履く頃には彼らの顔の見分けなどつかないようになっているに違いないと思った。

◯覚醒時に読んで
 特記するべきことは無い。だからボツにしようと思っていたのだけれど、たかがnoteの文章にそれほど思い入れをするのも気色が悪いので投稿することにした。これからも気負わずに夢日記を書きたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?