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夢日記3

夢日記3

〇注意
起きてすぐにiPhoneのメモ機能で書いたものに少し手を加えてあります。それでも、起きてすぐの僕の感覚で組み立てられた文章であるから、読みづらいと思われます。僕も読んでいてよくわからない。
夢日記をつけるようになってから暫く経つのですが、そのなかでも文章量が多い物を選びました。

 くだらないことは言いたくない。異端的。君が言葉を知らないから、知らない訳ではないのだろうけど効果的に使うことを知らないから、手垢のついた言葉ばかり持ち寄って僕を傷つける。「深い意味はないよ」と言うけれど、深い意味がないならその言葉は使わないで欲しい。君はいつも口の端を曲げて文句ばかり朝から言っているけれど、僕は都会の薄汚い駅で舌打ちを聞かされたような気持ちになって「心の余裕がないんだな」って思う。僕だって知らないことばかりで、余裕もないけれど。少年でいたくなかった俺が来て、少年のままでいる僕を殴った。ただそれだけ。熱はあった。体温計が知らない表示をするくらいにはあった。僕が散々馬鹿にしてきた頭の悪いやつらと何が違うというのか。うちに何かあるなら狂わないうちに投げ出さないうちに、結果を出さなければ。ほら「寂しい」なんてお前らしくもないから発言を辞めさせるぞ。らしくないこと言うなよ。僕が勝手に君にしてしまっただけの君。記憶の中で泳ぐ君にばかり餌をあげて尾鰭の優雅さに見惚れている。君に言えなかった言葉ばかり反芻しているのに消化不良で、他人の視線から守られた体の裏側から石にされている気分。君の細い指なら僕の喉を通るから、触れてくれた瞬間から萌芽の季節になる。いつかの俺の通過点で燻ってる奴ら、気色が悪い。俺もそんな変わらないから進むしかない。

 「ダメだ、ゴミしかねぇ」アメリカ製のおもちゃが入ってる箱みたいなのに使い方のわからないプラスチック製の脆弱なピストル。crackばかりだ、嫌になって腐敗した食品の山からマルちゃん製麺の焼きそばだけ選り好みしてめんつゆにつけて食べて寝てる。君が馬鹿にしたやつらは使い方が分かってるらしいぜ。そりゃ君は俺じゃないよ、俺は基本的にはお前だけどな。いい顔なのに「表情」がナマゴミだな。「声」はいいけど「発音」が吐瀉物に近い。肌はいい手触りなのに、唇で触れたらかなり遠くまで行ってしまいそう。風が吹いて髪が揺れて、体臭が鼻の近くをふらふらして殺された。

 「それを上手に伝えるための語彙がない、わたしは本も読まなければ文章も書いたことがない、けれどあなたに伝えたいことは確かにある。だから絵を描いてみようかと思ったり、踊ろうとしようと思ったりする。文章を書いたら嘘ばかりになってしまうから、歌にしてみようかなと思ったけれど。下手に伝えるくらいならわたしは永遠に黙っていたいと思うの」と、彼女が言った。「あれ?」彼女には料理作って揚げたての唐揚げの小さいやつを急に口に放り込んで笑って欲しい「え」歌っていて欲しい、下手な歌。声が高すぎるからそうなるんだよ。味噌汁が沸騰してる音がする。「スコセッシまた映画とったの?」え、どっちがえろい?「まぁおっさんのほうやろな」そやろ。「解釈」いらないです、そんなもの。言語にしたら価値がなくなるから。僕だけのものにしておいてあるから綺麗なんだよ。その曲は、彼女は。誰かの解釈なんかいらないんです。「彼女は精神異常だから」とか言わなくてもいいんだ。僕は彼女が歌う下手な歌が好き、動作性知能指数が低そうな踊りも好き。「お薬の時間ですよ! 夜に呑むのは3錠だけね!! 嚥下! 嚥下! 薬缶で沸かした安い番茶で嚥下!!」2段ベッドの上段に先週は寝ていて、今週は下段に寝ている。どちらのシーツからも僕の体臭がする(香水の匂いも僕にとっては僕の自家撞着的な体臭)。窓は壁掛け、景色は書割り。窓外、鳥が飛んでいる間だけ存在する空に偶に浮かぶ目玉。眼球に雌雄の区別があるのか。尻尾がある方が雌ですね。「いやあれは視神経でしょう。あれが脳まで繋がっているのですよ、普通。あれの場合はどこに繋がっているんでしょうね。私はvaginaであるとミテルンデスガネ。だからあれは雄なんですよ。」って下品な笑い。変な話ですね脳があるのは雌だけですよ。だから尻尾があればあの眼球は雌なわけです。それに僕は未だにvaginaの形状に納得いってない。「cracks、なんてことだ! 口触りのいい単語だけ言っていたいと思う訳だが。あの目はずっと僕のことを見ている卑怯なやつだ。背後を見せてくれない。」人間でないよあれは、船のnailを抜き出して来て「これは船です」と言うのか。しかし人間は星屑です。岩石惑星の一部です。僕も星だと言って、君も星だと言って。「拇指対向性があるから手を繋いでられるね愛し合ってる僕ら。」

 「オカリナを吹く知恵遅れ!」古い民家の中を走りまわる。黒のTシャツと紫のパンツだけの女。周りには撮影機材があって、みんな照明やら音声やらなにやらかんやら調節してる。木漏れ日の色温度を見ている。僕が今もってるNikonのカメラ、シャッター速度を上げて撮る。数十枚の写真、僕の目に映る、動きの鈍いanimation。さっきの女が飛んでいて、あーこの1枚は良いな。この一枚だけがいい写真だと思っている。古民家、埃まみれの床の上には締め方が甘くてキャップが上に乗ってるだけのような状態で放置されたプラスチックの容器。どれも旅行キットのシャンプーボトルくらいの大きさで、中には得体の知れない液体がはいっている。それが世の中の女たちの体臭を決定する一因子であることを僕は知っている。「詩人だ」と誰かが言ったが僕は浮浪者であるか易者であるか判断が難しいと考えていた。その対象は一体何なのか? 視界の端でヒステリックな高学歴女が踊ることを忘れて騒いでいる。今度は誰かが「狂った女だ」と言った。狂った女が内臓を体外から侵入してきた異物だと思い込んでいる、だからこそそれを吐き出すような、鳴き声を喉に纏わせて歌をうたっている。下手な歌だけど僕は好きだよ、君は歌だと思ってないかも知れないけど。それが歌だってことに君が気づいたら僕にとっては台無しだ。

 昔知り合った女の顔を忘れてしまったけど「印象」とそいつが発した「言葉」だけは残っているから夢の中でそいつとして接している、現実に名前がある人間の殆どが、現実と違う姿形をしている。全ての、名前があって現実に実存があって海と同じように月の影響を受けて生きている女たち。ghettoからあいりん地区まで。僕は彼女らの美しさを全て受容できるようなniceなやつではないけど、愛していたいって思ってるわけさ。

〇覚醒時に読んで
 僕の夢は言語的であるときと、映像的であるときと、大きくふたつに分けられる。今回の場合、最初は言語主体的で後半部分から視覚主体的になる。ただひたすらに意味がない文章。意味があるだけに意味がない文章。「僕らしい」そんな印象だけが残る。本文とは全く関係がないけれど「僕らしい」思い出のひとつを下記に。

 長いスカート。「ロイコクロリディウムみたいな柄だね」って言ったら「広辞苑第七版の【女心】の説明を刺青にしな」って言われる。後になってあのスカートは捨てたって言われた。僕は顔の左半分で大袈裟に驚いた。そう、『左半分で大袈裟に』という部分が正に僕らしい。

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