中学生団員31 (団員)

パニック障害になって、教室にいられなくなって、学校から失踪したりして、保健室登校をして、休みを挟んで、教室に復帰できるようになって、しかしながら昼食を食べることはまだできなくて、四時間目が終わったら俺は誰も来ない校舎の隅へ行き、一人で窓からひたすら遠くの観覧車を眺めていた。







そんなとき、いつからだったか忘れたけど、Y君がちょくちょく俺のところに来るようになった。





「おー、団員さん、またたそがれてるね~」





と冷やかしながら、Y君はいろいろ俺に話しかけてきた。俺もY君にいろいろ話した。





Y君と話すことは不思議と嫌ではなかった。

それはY君がイケメンだったからなのか、Y君も学校の事が大嫌いだったからなのか。両方な気がする。







俺の通っていた学校は、わざわざ中学受験をして入っただけあって、学校愛に満ち溢れている人間だらけだった。

でもY君は珍しく俺と同じレベルで学校を嫌悪しており、一緒に「どの柱を爆破させれば効率的に学校を崩壊させられるか」を議論したりした。

また、生徒たちの笑いのレベルが異様に低いこともY君だけが共感してくれて、その日クラスで「オレオモシロイ」的な人間が発したくそつまらないボケをお互いに報告し合ってディスり合って共感していた。







Y君と俺の違うところは、Y君は勉強にはちゃんと打ち込んでいて、特に物理の先生を崇拝しており、放課後もわざわざ物理の先生に質問しに行っていた。

Y君は将来を見据えて理系クラスに入っていた。俺は、授業時間が少なく早く帰れるという理由だけで文系クラスを選んだ。





また、Y君は笑いへのアレルギーは俺ほどまでには少なく、俺が本当に苦手としていた「アルミ缶の上にないみかん」でおなじみのY君(イニシャル同じでややこしいね)とも仲良くしていて、Y君はよくそのつまらない方のY君と俺を誘って3人で遊ぼうとした。

そのときの俺は三度目に逮捕されたときのマーシーと同じ目をしていた。






6年間も通っていた学校で、卒業後も連絡を取ってたまに会ったりしているのは、Y君だけである。もちろん、つまらない方のY君ではない。




数年前、Y君と俺とで、敢えて学校の近くのファミレスで当時のクラスメイトをFacebookで検索し、全員ブロックする、という儀式を行った。







ちなみにY君は超偏差値高い大学に入り、バーサークルという聞いたことない概念のサークルに入ってバーでバイトして、女をとっかえひっかえする生活を送り、卒業後は研究者的なすごい仕事をしている。バーサークルのくだり含め、すごい。







その超偏差値高い大学の寮に住んでいたときのY君が、「こっちに遊びに来てよ」と俺に電話してきて、「飛行機代払えないから無理だよ」と断ったら、Y君は鈍行列車を乗り継いで行くルートを調べて送ってきて、往復一万円という破格の値段で俺はY君に会いに行った。片道23時間かかった。







その道中、落研の先輩から電話がかかってきて、鈍行列車の轟音ガタンゴトンと外の猛吹雪による轟音窓ガラスバシンバシンで何も聞きとれなかったけど、とりあえず適当に返事していた。

それが、団長さんからの「劇団をやらないか」という電話だった。



俺がかきあげ団の団員になれたのも、Y君のおかげである。



ありがとう。本当に、ありがとう。

あと、毎年送られてくる名無しの年賀状、たぶんY君からだと思うんだけど、違ったらもう思い付く人いないから怖いんだけど、たぶんY君だよね。あれ、やめてほしいな。



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昨年九月と今年一月という短いスパンで二度お財布をすられた団長の生活費、十年間体調を崩し続けている団員の医療費を集めるクラウドファウンディングです。財力に余裕がございましたら、何卒よろしくお願いいたします。

島崎和歌子さん、ありがとうございます。
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かきあげ団

一応、劇団です。主宰の「団長」、雑事の「団員」の二人と、デザイン担当の「デザ員」の3人で構成されています。

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