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2018年は「紙の編集者」が必要だ

大晦日を家以外で過ごすのは初めてだった。

せっかく長野に家を借りたんだからと、重い腰をあげて善光寺の二年参りに行ってきた。2017年と2018年を跨ぐから二年参り。なるほど。浅草寺と違って善光寺はほどほどの人混み。寒空の中で年越しの瞬間を迎えた。仲間内で小さくワーワーとはしゃいだ。500円玉を賽銭箱に投げて「健康、健康、健康、健康第一ーー!」と織田無道ばりに年を込めた。

その後、小さなだるまを買って、甘酒で胃腸を温めただけで気持ちが引き締まったのがおもしろい。日本人は験を担ぎたい環境DNAが強いんだろう。

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だらだらと過ごした正月はあっという間に終わって、「2017年は良い年だったな」と感傷に浸る間もなく、新たな年の仕事をどう進めていくのかに思考が奪われつつある。

やりたいことは山ほどあるが…「雑誌」を作りたい気持ちが一番強い。

タテやヨコではなく、「ナナメ」の関係性をテーマにしたインタビューマガジン。あらゆる題材に「ナナメ」の視点を入れて、世の中の「問い」に落とし込んでいく。

両親、師匠はタテの関係、友だちや同僚はヨコの関係。ナナメの関係は「近所の多趣味なお兄ちゃん」「年上の相談しやすい社長」のイメージ。

そのためにはWEB媒体の書き手ではなく、紙出身の編集者仲間が必須だと思うようになってきた。イメージは28歳〜35歳。書籍や雑誌の編集をやりきった経験があり、新たなフィールドを探している状態が望ましい。

仕事に美意識があり、きっとこだわりが強いだろう。欲をいえば、紙からWEBの土俵に乗り込みたい気持ちがあって、そこでしっかりお金を稼ぎたい意欲があると最高だ。目先の仕事でいえば、ジモコロやBAMPの企画編集を固定でお願いしたい。前述の素養があれば、僕が考える企画とは全然違う、新たな記事を作っていけるだろう。それはめっちゃ助かるし、必ず次に繋がる。

雑誌の話に戻そう。

紙の領域に踏み込む以上は、目標地点を定めたい。ただ作るだけでなく、当たり前のその先にいきたい。まずはインパクトのある雑誌を作って、カルチャーとして認知される。その仕事の積み上げがお金になる。短期的ではなく、長期的な視点の「利益」を求めたい。そういう意味では「雑誌」はただの起点かもしれないし、途中で見せ方が変わっていってもいいと思う。

ただ、きっかけは「雑誌」でありたい。
作ったことのないものを新しい仲間とともに作りたい。

昨年全国各地で活躍している人たちに出会って、気づいたことがひとつある。それは環境的な才能や努力だけではなく、新たなシーンを作っている先駆者は徹底した「美意識」を持っていること。作っているモノはもちろん、見た目や日々の文章までかっこいい人たちがいる。この世界に近寄る役割として、自分自身も「美意識」を形にしてみたい。ならば「紙の雑誌」が一番適切だろう。

…というのが根っこの理由だ。

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このエントリーは仲間を募る側面もあるが、まだ見ぬ誰かを探し求めていくことに価値がある気がしている。もし身近にそんな人がいたら教えてほしい。一緒に仕事をするかどうかは置いといて、まずは対話だ!めっちゃ話したい!

「大衆」と「本質」

この相反する要素を反復横跳びできるかどうか。意図的に大衆性のあるコンテンツを作ることができるか。本質的な切り口であっても、俯瞰した視点で柔らかく、噛み砕いて伝えられるかどうか。難しいものを難しいまま伝える人が多いからこそ、この2つの価値に向き合える人が「価値を生み」「金を稼ぐ」ことができると思っている。

まぁ、とっくにそうなっているんだろうけど、2018年は既存の仕組みがどんどんぶっ壊れて、危機感を持った社会が「変化」を推し進めていく。編集者としてこんなにもワクワクできる面白い時代に立ち会ってるからこそ、思いつきを実行できる仲間が欠かせない。待ってろよ、まだ見ぬ誰か!

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そういえば、善光寺で引いたおみくじは「大吉」だった。開ける瞬間に「これは大吉だ!」と、なぜか直感で思ってしまったのはなんだろう。

今年36歳。

3度目の年男として、充実した一年しか頭にない。

たぶん人生のピークを迎えている。

1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!