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「やらないより、やったほうがいい」DIYすぎた2022年を自分のために振り返る。来年は2億円借りてみたい

毎年「やったな〜」と思ってるんですけど、今年は「つくりまくったな〜」の1年でした。むしろ、つくりすぎた。来年つくるものなくなるんじゃない?ってぐらいだった。種まきの芽が来年以降どんどん芽吹いてほしいので、振り返りと称して”Huuuuの種まき総まとめ”的なnoteにしました。

ざっくりいうと…

・Huuuuの本社をつくった(MADO)
・出版レーベルを発足して3冊つくった
・自然の中で暮らしを積み上げる自宅をつくった
・飲食進出!スナック「夜風」をつくった

主にこの4つがハイライトです。コロナの反動だったのか。溜め込んだ「やってこ!」のエネルギーがマグマのように噴き出して、思いつきから実行までのプロセスが複数交差した感じ。前々から考えていたアイデアはあるんですが、やれるうちにやらないと動きが鈍くなる危機感が大きかったのかもしれません。

ちなみに会社の体制的には…

・藤原くんが長野チームの取締役に就任
・望月重太朗さんが社外取締役に就任
・社員3名、アルバイト2名が増えた(合計14人!)

こんな具合で「雇用もつくりすぎ」の1年でした。任せる領域を意図的に増やしてみたら、自分のリソースが空くじゃないですか。うずうずして新しいことやりたくなるじゃないですか。すると、自分主体でのプロジェクトが走り始める。追い込む意味でも締め切りを明確につくって、そこに合わせてチーム一丸となってやりきる。この流れが「つくりすぎ」の正体です。

元々、クライアントワークの中に自分たちの好奇心をバンバンに詰め込んでいたんですけど、余裕のあるうちに自社事業の種を蒔いた方がいいんだろうなと考えていて。「いましかねぇ!やるしかねぇ!」のエネルギーを存分に発揮できたのは、40歳を迎える人生の締め切りも影響してたのかもしれません。おまおれ本に関しては絶対にそうだし、社会変化の狭間でどんな一手を打ち込めるのか?という課題感もあった。

コロナの2年間の間に全国行脚を忍び的に続けていたんですが、そこで見てきた景色も刺激になっていたと思います。みんなギリギリになりそうな不安の根っこをグイグイと伸ばして、伸ばして、未来の自分たちと社会に賭ける。事業再構築補助金含めて、国の不安が生んだ支援の影響もきっとあるはずで。走り込んだムキムキの軸足を支点にしたピボット運動は、もしかしたらローカルでこそ実感しやすい現象だったのかもなぁ。

というわけで振り返りです!

1月 コミュニティオフィス「MADO/窓」オープン

自宅作業をベースに会社を運営してきたんですが、コロナ直前に東京チームが選んだ下北沢ボーナストラックの環境があまりにも羨ましくなりました。コロナの間は、一日あたり300歩しか記録できない日々。来る日も来る日も同じ景色。

良くも悪くも浸透したZOOMの恩恵は、最初はすごく良かったけれども……一日に4件以上のオンラインMTGを入れると己の心が腐ってしまう。人間らしい移動と雑談にこそ、仕事に向き合うおもしろさが詰まっていたことに気づきました。長野市にオフィスをつくる!通勤したい!人と会って話したい!そんな衝動を詰め込んだのがコミュニティオフィス『MADO/窓』でした。

二拠点生活や移住の新たな流れも起きていたので、ここでがっつり受け止めてやろうじゃないかとコミュニティ的な要素を入れてみたら、これが大正解でした。固定デスク3名(月25000円)、週に2〜3回ぐらい外で働きたい人向けのコミュニティ会員が約20名(月6000円)が参加。Huuuuの東京チームも出入りがしやすくなって、マジでプラスの面しかありません。オフィス解散の流れに逆張りしてみた結果、これまでの蓄積の信頼みたいなものが可視化されて、とてもいいコミュニティになってきました。

しかも会社的には家賃・光熱費・人件費と会員費を比較したらトントンぐらいになっています。最初から利益目的でやってもうまくいかないと考えていたので、みんなが楽しく暮らしながら働けるハッピーな環境が持続的に成立しているのは最高でしかありません。

定期的なランチ会、飲み会、ワークショップや謎のイベントなどなど、ゆる〜い雰囲気の中で気持ちよく人が出入りしているのは、とても長野の雰囲気に合っています。来年は『MADO/窓』が長野県全体の移住案内所みたいに発展できるような企画を検討中。クリエイターの固定デスク希望者もひっそりと募集しています。詳しくはリットリンクをご覧ください。


2月 風旅出版 第一弾『A GUIDE to KUROISO』発売

ざっくり2年間ぐらいかけて制作したHuuuu初のひとつの街に特化したローカルガイド本『A GUIDE to KUROISO』。紆余曲折あっていろいろ難しさも感じたプロジェクトだったんですが、無事発売できてコツコツといろんな人の手元に渡っているのが嬉しい限りです。

栃木県の小さな街になぜかっこいいお店が増えているのか? しかも一本のストリートに集中しているものすごい現象が起きています。東京駅から電車で1時間半。日帰りでも、1泊でも、徒歩で数店はしごすれば美意識の風を存分に浴びることができる。

当初は「ボトムアップタウン」というキーワードを掲げて、街の成り立ちを民俗学的にリサーチしながら、本のコンセプトを考えていきました。答えは出さない。あくまで人を通して現象を可視化する。かなり贅沢な制作スタイルで挑んだんですが、出版のノウハウから流通まで、一気通貫で挑むクラフトプレスの醍醐味を肌で感じれたのは大きかったなぁと。この体験がそのまま風旅出版につながっていきます。

まだまだ取扱店舗を募集しているので、「地元がつまらない」と嘆いている人たちに届けたいです。自分の暮らしは自分でおもしろくする。点を増やして線にする。線を増やして面にする。いい街の定義はここに尽きるんじゃないかと思います。


4月 死の探求をテーマにしたプロジェクト『DEATH.』始動

「柿次郎がいまやりたいことなんなの?」
「ん〜、やっぱり死のテーマですかね」

こんなやりとりで長年お世話になっている先輩の会社「KEEPALIVE」と一緒に立ち上げたプロジェクトが『DEATH.』です。

「死を想い、これからの生を問う」をタグラインに置いて、コンセプトからデザインまで、日向くんの代表作的になるよう進めてきました。いつの時代も普遍的に存在する死。なぜか日本ではタブー視されがちなんですが、ポジティブに死を捉えて、いまある生を輝かせるメメント・モリ精神で骨太なインタビュー記事をつくっています。

来年も引き続きプロジェクトは続くんですが、『DEATH.』の横展開として広がりそうな相談も届いてます。社会的にも文化的にも死をテーマにした展示や本もぞくぞくと発表されていて、やはりみんな共通の感覚を世に投げ込んでいるんですよね。葬儀の形も、お墓の形もどんどん現代的にアップデートしています。葬儀に関してはどう考えても伸びる市場なので、編集視点で新しい価値観と掛け合わせた仕事に育っていく予感あり。

一番話題になったこの記事だけでも読んでいってください!

https://death-pj.com/entry/kawahara


5月 森道市場2022 風旅売店ブース出店

今年で4度目の出店。全国からチームを募って、20人以上の大所帯で利益度外視のコンテンツを用意しています。例年は京都、長野、東京から蒲郡に大集合していたんですが、2022のテーマを「再会」にして、山梨・山形・山口の謎ユニット「さんてん」のメンバーを招集。好きな友だちと文化祭的な時間を2泊3日で過ごす贅沢な時間になりました。

Huuuuというか完全に僕の生き甲斐でもあるんですけど、よくわからない旗を振るのが好きなんですよね。わからなければわからないほど。そこに利害がないほど。今後の人生で何度も再会を果たせるような出会いが生まれる。この実感と自信がめちゃあります。

来年もきっと参加します。岩瀬さんの遺した文化を自分たちの解釈で盛り上げるしかないので。ジモコロの記事もぜひ。

https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/dango54


6月 信濃町にリノベ住宅完成&新規就農

家をつくった!!!
銀行で30年の住宅ローンを組んで!!!
信濃町の豪雪地帯に畑付きの中古物件を買って!!!
26歳と27歳の若手に託して、1年かけてついに完成したの!!

いまんとこの感想は「壮大なサブスク型のどうぶつの森だな」です。豪雪地帯にイチから住むためには、除雪機、物置、倉庫、車庫がマスト。これらを全部揃えるとなると…プラス数百万円が必要なんですよね。建物も畑も景色も大満足なんですけど、いかんせんおじいちゃん一人で暮らしていた設備だったらしく、家と畑以外ナッシング田舎暮らしはなかなかに大変です。

豪雪地帯で生まれた友人・知人はこのあたりをしっかり見据えて物件選びをしていたのを思い出しました。いまはとにかく車も入れられる世田谷ベースみたいな倉庫がほしい。設置するための土地が近くにあれば、カクイチっていう倉庫業者でええ感じの買えるんですけど……数百万する。先祖からの贈り物がないとめっちゃ金かかる!

それすらも楽しみながら人生初の豪雪除雪を味わっています。雪の話が世間話とコミュニティにつながるのもおもしろい。


7月 いろは堂のおやき工場&施設『OYAKI FARM』オープン

おにぎり、サンドウィッチに続く概念フード「おやき」


Huuuuとして初の商業施設プロデュース案件です。長野で大人気のおやき企業「いろは堂」が仕掛けるファクトリー&ショップ『OYAKI FARM』。1年半ぐらい伴走していたんですが、長野IC近くにお建ちになられてもう注目の的です。みんな車で走りながら「なんだあの施設??」となっていました。

とにかく建築がすごい。おやきの認知度とパワーもすごい。横井軍平の枯れた技術の水平思考じゃないけれど、今回の新たなブランディングの見せ方は時計の針でいえば12時から15時まで少し価値をズラした感覚に近い。おやきがOYAKIに。工場だけど、かっこいい建築に。コンセプトからデザインまで幅広く関わったんですが、こんなにも良いボールが投げ込まれたら制作チームはもう前のめりで打ち放題というか。ありがたすぎるプロジェクトでした。

ちなみに当初想定の何倍も売れています。行列2〜3時間待ちの土日もありました。あまりの反響に現場も悲鳴をあげていたと思いますが、長野県民と県外の心を掴んだ証拠じゃないでしょうか。落ち着いたらまた行きたい。


9月 風旅出版 第二弾『おまえの俺をおしえてくれ』発売

散々書いてきたので割愛しますが、2022年後半は出版一色でした。脳みそのほとんどを支配されて、空っぽの心に全国行脚の景色と言葉を流し込んで洪水みたいになっていました。

藤原印刷の兄ちゃんが掲げた「クラフトプレス」の醍醐味をど真ん中で体験しているので、もしこの動きに興味のあるメディアがあればご連絡ください。東京でも交通費ナシで出張ついでにインタビューでもなんでもお受けします。出版の原点的な価値観と作家としての現場のおもしろさ。非効率&非合理のドサ回りの果てになにが生まれるのか? 

引き続き、この本の動きはリットリンクにまとめていきます。

りんご音楽祭のプロモーション&出店&トーク出演5連発

りんご編集者`sトリオ(柿次郎、ロマン、くいしん)

春ぐらいから長野県・松本の最高音楽フェス「りんご音楽祭」のプロモーションを手伝っていました。長崎くん、風音ちゃんの若手二人が松本に通って、インタビュー記事やPodcast、SNS運営など、多岐にわたる役割をコツコツ担うスタイル。これがきっかけでスリーパーさんともよく遊ぶようになって「世の中にはこんなイカれた男がいるんだな〜〜」と日本の奥深さを感じました。

出版と平行していて、9月16日〜18日の「風の1・2・3パンチ」(3日連続でイベントをやる荒行)の一週間後に「りんご音楽祭」も初の3DAYS開催。長野チーム「パワーファミリー」を結成し、5店舗をまとめる係もHuuuuです。

さらに3日連続でりんごステージの横で大声を叫びながら、その場その場でトークテーマを考えるフリースタイルトークダンジョンを3日で計5回やりました。ラストの回は、七尾旅人さんのリハが始まったら一変。「おや?これはもうしゃべれない?」と野性の本能がざわつくぐらいに現場の緊張感が高まって途中で終了。りんご音楽祭のガヤ担当としてふさわしい終わり方でした。

違うフェスに出店していたら「あ、もしかしてりんごでトークしてました?」とちらほら声をかけられたので心底良かったなと思いました。やらないよりも、やったほうがいい。だが、やりすぎた。詰め込みすぎた。おれをもっと褒めてくれ。すげえことやってんだ。

10月 Huuuu初の飲食店『スナック 夜風』オープン

もうひとつの大きなトピックがスナック「夜風」のオープンです。4年前から長野でスナックをやりたいと酒が進むたびに話していたんですが、コロナの影響でスナック物件の流動性があがって、家賃もグンと下がった頃合いを見て決断しました。

たしか5月、6月ぐらいから物件を探し始めて、長野市の歓楽街ど真ん中の良い物件と出会って2度目の内見で確保。同時進行で店長のハルキくんを東京から長野に移住させて、気合の雇用前提で口説き落としました。場所と人があれば、あとはコンセプトとデザインだ!つって、イラストレーターのnoa1008さんに世界観のビジュアル、やってこ兄貴のガネさんにロゴを依頼しました。コンセプトワークはハルキくんともこまめに話しながら固めていった感じです。元々、長野市の若者と大人が交わるような「昼と夜の汽水域」というイメージはあったので。

おかげさまでいい感じです。イメージどおりに若者が7割ぐらい。30代以降が3割ぐらい。イベントのときは25人ぐらいパンパンに入ってクラブのバーカウンターみたいになっていますが、これまで出会いきれなかった長野のつながりがギュッと集まってきてる流れも感じています。


11月 風旅出版 第三弾『写真集 おじちゃん』発売

こちらも気合の出版プロジェクト第三弾。1年で三冊も出版するとは思っていなかったんですが、シンカイのインターンだったタケバハルナちゃんの未来に徳のセンタリングをあげるためにひと肌脱ぎました。

300冊限定。ひとりで「写真」「デザイン」「取材・執筆」までやりきった彼女の「やってこ!」な姿勢は、純度の高いエネルギーあってこそというか。今後どんな人生の選択肢が待っていたとしても、この写真集が手元にあることで、制作時のセーブポイントに立ち返ることができる。

この感覚、ウェブの作品だと得られにくい気がするんですよね。どこからでもアクセスできる利便性の裏側に、ここでしかアクセスできない不便性が輝きを放つ。ずっと本棚に置いているだけで、目に飛び込んでくる状態は大事。

長野のとある商店街が舞台ですが、この光景は全国どこにでもある。そして同じ風景は二度と生まれない。記録としても役割を果たしている作品です。

12月 怒涛の出版ツアー終了

ほぼ一週間で福岡と札幌を巡るツアーがハイライトでした。ジモコロ取材も5件ぶちこんで、「仕事」「遊び」「出版イベント」をミックスしてしまう荒行。どうにかこうにか無事やり終えることができて一安心です。途中、道端で雨にぽつぽつと打たれたとき、表面張力状態だった心のダムが決壊仕掛けて「あぶねぇ!」と頬をマッハで拭いました。ギリギリの堰き止め。あのまま泣いてたら動けなくなってたかもしれない。


2022年の総括

30代最後。2年間溜め込んだ衝動がぜんぶ出ちゃった感じ。総じて楽しかった。魂を燃やして一発、一発の役割を打ち込む。理想の「青い炎」に何度かなれたような気もするけれど、やはり燃焼度が高いと心がカッスカスになってしまう。それでも、やる。

アントニオ猪木が亡くなってしまったけれど、「元気があれば、なんでもできる」は本当に格言だと思う。元気があったから、仲間がいたから、移動ができたから、やろうと思ったらなんでもできる。来年はなにもやらないで休むほうが厄年対策ができるのは間違いないんだけど、きっと動いちゃってるんだろうな。森道市場とりんご音楽祭のスジが四季よりも色濃く季節を感じてしまう身体になってしまった。あっという間だ。

5年前の「やってこ!」の掛け声は余裕と余白があった。しかし、来年は「やるしかねぇ!」の時代になってしまったな…と最近よく考えています。シビアでシリアスな世界に突入する前提で、十分なウォームアップはできているのかどうか。40歳の一年はまた激動になりそうだなぁ。2億円を借りて自分に必然性のあるプロジェクトを考えるのが目標です。リスクを取って土台をつくりたい。

こんな感じでいろいろやっていますが、チームの底力も年々上がってきています。メディアの立ち上げや運営、記事制作、場のプロデュース、商品開発などなど、やれることが沢山あるのでお気軽にご相談ください。

それではまた来年よろしくお願いします!

1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!