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例え赤字でも編集者がイベント出店する価値はある

謎の店事業「やってこ!シンカイ」を始めてから、イベント出店のお誘いが増えた。昨年は秋田、新潟、甲府、北海道といった地方遠征も経験。どれだけ販売を頑張っても、どれだけ利益を出そうとしても、交通費や人件費を考えると欲張った黒字を出すことは難しい。

人生初の出店経験は「ジモコロ編集長」としてのマーチエキュート神田万世橋だった。もちろん売る商品はない。イチからジモコロの記事に関係のある商品を手配し、ファングッズ的なTシャツや写真集を作ってみた。売れたような売れていないような。出店慣れしているゲストに価値を配りつつ、トークイベントに登壇しつつ、必死で慣れない時間に神経を注ぎ込む。打ち上げは死ぬほど盛り上がって、出店者メンバーで朝まで声をあげつづけたカラオケは今も記憶に新しい。

大人の文化祭なんて言い方をすれば陳腐かもしれないけれど、日々の仕事で脳内を占める「売上」「クライアント」「効率的なほにゃらら」なんて世界に膝蹴りを入れて、不確定要素の高いカオスに身を預ける気持ちよさはこの時知ったのかもしれない。だってみんな祭りの後のような高揚感と火照りを持ち帰ったはずだし、もっとうまくできるんじゃないかと自分自身の中に「イベント出店」の新たな引き出しが生まれたのは間違いない。

春の芽吹きと共に、男たちの悲痛な叫びと共に、今年もまた「やるしかない」の精神で全国各所にイベントやフェスが開催される。ただ純粋なお客として参加することもあれば、ありがたいことに運営の仲間として声がかかることもある。そのどちらも尊いし、準備段階の絶望感も味わい深い。数を重ねるごとに知見や経験は溜まっているし、あの日生まれた引き出しの中に頼れる仲間が今年は複数人いる。

普段、WEBメディア軸の編集者として仕事をしているが、これらの体験は編集の役割を強制的に引き伸ばしてくれる。プロフェッショナルな出店者たちと同じ土俵に上がる怖れと謙虚さを小脇に抱え込んで。次の企画や生業に繋がるタネを持って帰る。自分のお店に還元もできるし、編集仕事にも役立てるし、人生単位での仲間を増やすことができるのは、どう考えても「やらない」よりも「やってこ!」の価値が勝るからだろう。

今年も、やるぞ、出るぞ、燃え尽きるぞ!

森、道、市場2019!!



2019年5月31日〜6月2日@ラグーナビーチ&遊園地ラグナシア(愛知県蒲郡市)で開催される大人の狂気文化祭「森、道、市場2019」に出店します。今年は「やってこ!チーム」で出場。かもめブックス、空中飯店、やってこシンカイの合同出店です。メシも酒も商品もアートも売るし、本を売ってその場で燃やせるようにするし、ゴザひいて休憩スペースとして荒稼ぎするよ。あと、マジでニューヨーク行き航空券がもらえるモリミチウルトラクイズの司会もやります。別のトークブースでも登壇します。

フル参戦だよ!!遊びに来てね!!



1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!