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泥くさい出版スタイルから見えた可能性。「クラフトプレス」ってなんだろう?

3/10 渋谷ヒカリエでイベントやります

イラスト / ヤマグチナナコ

何個イベント仕込んでんねんって話なんですが、気づいたら増えてました。お次は、藤原印刷が思いついた『クラフトプレス』というキーワードを掘り下げる企画です!

私自身が風旅出版を立ち上げて、藤原印刷のフルサポートで「本づくり」に挑んでいるんですが、制作、印刷、流通、営業まで全部やるスタイルで4000部を刷るのはZINEやリトルプレスの規模感とは少し違ってくるのかな?と感じていました。かといって「自費出版」の漢字4文字でまとめるのもしっくりこなくて。事実はそうだが、どこか営業/宣伝のにおいが出てしまう。

新たな言葉を掲げると反発が生まれるのも重々承知ですが、私としては藤原印刷が現場で感じている「新たな出版の潮流はなんだろう?」を一緒に考える時間になればいいなと思います。

そういう意味で「ミーティング」。クラフトビール、クラフトジン、クラフトサケなどなど、全国の現場をまわっていれば「クラフト×◯◯」の中に新しい挑戦のメッセージが含まれているのは間違いないなーと。その流れを出版に置き換えたときにどんな可能性が見出だせるのか?

全国行脚で出版ツアーと営業を自ら勝手出ていますが、既存の枠組みにとらわれない動きはタフでハードでおもしろい。実践していて感じるのは、出版直後限定の5掛け卸販売(買い切り)はインパクトがあったし、その後の6掛け卸販売(買い切り)でも本屋・小売り側にメリットを提供できることは大きな武器になりました。学割で半額1000円の販売も、みずから在庫を抱えてリスクを取っているからできることでもあります。

それでも…まだまだです。3000部の壁は分厚い。4000部を超えるためにはトランスビュー取引代行の流れを汲んだミシマ社さんの「一冊!取引所」や発売一年後のタイミングで電子書籍用の再編集版を作ってみる、風旅出版のリリースを連続的に生むための定期刊行雑誌の発刊など、新たな仕掛けを今後も泥臭くやり続けるしかありません。

イチから始めた出版のおもしろさや苦しみも今回のイベントでお話できると思います。ご協力いただいてる登壇者の方々もめちゃ豪華なので、ぜひ遊びに来てください〜。

■ 『クラフトプレス』の実践者と考える、「小さな出版活動」にまつわるトーク

さまざまな『クラフトプレス』の実践者を招いて対話するトークイベントを、渋谷ヒカリエ8F COURTで実施します。

聞き手となるのは、長野で小さな出版レーベル「風旅出版」を立ち上げた徳谷柿次郎(Huuuu)と、全国の小規模出版活動を支える長野県松本の印刷会社「藤原印刷」の面々。それぞれの本づくりの経験から、気になる現代の潮流までお話を広げていきます。


◆トーク①:徳谷柿次郎(風旅出版)×藤原章次(藤原印刷)×中井希衣子(出雲路本制作所)×山下優(青山ブックセンター)

「クラフトプレスのつくりかた(実践)」

作家・編集者・印刷会社・書店といった本づくりの実践者たちが登壇し、「クラフトプレスの定義」から、その潮流まで語り合うトークセッション。

本をつくり、自らの足で売り歩いたからこそ見えた「クラフトプレスから生まれる文化と可能性」について語り合います。

▼トーク内容

・いま、小規模でニッチな本づくりが、なぜ生まれているのか?

・クラフトプレスの定義は「アイデンティティの反映」

・「フォーマットがない」製造の過程に関わる楽しみ

・クラフトプレスだけで書棚は作れる?いま面白い「クラフトプレスの本」たち

・作り手同士の新しい連帯関係

・小規模で手弁当、だからこそ密になる「書店と作り手の関係性」

・タッグを組んでつくる「企業のアイデンティティを反映する本づくり」


◆トーク②:藤原隆充(藤原印刷)×小倉ヒラク(発酵デパートメント)×内沼晋太郎(本屋B&B)×徳谷柿次郎(風旅出版)

「商業出版とクラフトプレス 〜本の新しい届け方/広げ方〜」

本づくりにおいて必要不可欠な「本を売ること/流通させること」について語るトークセッションです。既存の出版業界の構造をひもときながら、「新しい流通の仕組み」や「新しい資源活用の仕組み」など、クラフトプレスだからこそ始められる新しい本づくりの構造について語り合います。

編集者や印刷会社、作家とさまざまな立場から意見を交換。真似したくなるアイデアが溢れるトークショー。

▼トーク内容

・出版業界の構造と「本1冊が安すぎる」問題

・クラフトプレスにできること(3つの還元)

・印刷への還元「サーキュラー的なリサイクル」

・書店への還元「仕入れの個性(ネーミング&棚&選書)」

・これからのクラフトプレスを支える?倉庫流通代行の仕組み

▼開催日時
2023年3月10日(金)
開場:17:00〜
トーク①:18:40〜19:40
トーク②:20:00〜21:00
▼会場
渋谷ヒカリエ8階「COURT」「make (a) Camp」
〒150-8510 東京都渋谷区渋谷2-21-1
▼料金
会場参加(トーク①・②通し):2,000円(税込)
※料金は当日会場でのお支払いとなります。受付にて、チケット画面を表示ください。

※イベント申し込みはPeatixでお願いしますhttps://craftpressmeetingmac.peatix.com/

1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!