見出し画像

豊田市美術館ってアクセスがね…とか言っている場合ではない。

はじめに


こんにちは。学芸員志望ヅモです。

みなさんは豊田市美術館をご存知ですか?
豊田市美術館は、愛知県豊田市にある、いわゆる地方公立館です。しかし、地方公立館といって豊田市美術館を侮るなかれ。①建築が良いし、②収蔵品の質が高いし、③規模が大きい特別展がたまに開催されるんです。
以下で詳しくお話しします。


魅力① 建築が良い


豊田市美術館2F人工池を臨む

豊田市美術館を設計されたのは谷口吉生さんです。谷川吉生さんはニューヨーク近代美術館や東京国立博物館法隆寺宝物館を設計されたことでも有名で、言わずと知れた美術館建築の名手です。

そういうプロフィール的なことはひとまず置いておくとして、豊田市美術館の建築は、そもそもコンクリートでつくられているし直線的であるのに、なぜか柔らかい印象を与えるのが魅力とわたしは思ってます。館内では、数多く設置された窓から光が差したり、2F人工池の水がゆらゆらゆらいだりして、自然を内包する要素があるからか、とても居心地が良い美術館なんです。

最初はそのスタイリッシュさに惚れ惚れして、少し時間が経つとその居心地の良さに唸る、それが豊田市美術館です。何ならコンクリート、最初は「都会的だなあ」とか思ってたくせに、途中から「なんかいい感じの石だ〜」とか思えてくるもんね。居心地良すぎてね。


魅力② 収蔵品の質が高い


何をもって高いというんか、学部生が舐めたこと言ってんじゃねえっていうのは百も承知です。しかし、まず普通に有名どころがあるんですよ…。以下に一部ですが挙げてみますね。

◦グスタフ・クリムト≪オイゲニア・プリマフェージの肖像≫
◦ルネ・マグリット≪無謀な企て≫
◦奈良美智≪Through the Break in the Rain≫

上記3作品って、作品名までは知らなくとも作家名は多くの人が知っていると思うんですよ。そういう作品を、東京じゃなく大阪じゃなく、名古屋でもなく豊田でみられるという驚き。

加えて、豊田市美術館は現代アートの時代的趨勢にかなり意識的な館だ…と感じもします。

例えば、丸山直文さんの作品は豊田市美術館で観られるんですが、実は丸山直文さんの作品は東京国立近代美術館にも収蔵されているし、POLA美術館でも2023年に特集展示がされていたんですよ。誰もが知ってるクリムト!マグリット!だけじゃなく、これから美術史上で評価が固まっていくのだろう作家の作品に関しても収蔵していることに、豊田市美術館の気概を感じます。学芸員さんの手腕にも恐れ入ります。予算がそれなりにあろう国立館でも私立館でもないのに、本当にすごい。

もしかしたらあの作品がっ!あるの!?となるかもしれないので、ぜひ豊田市美術館公式ホームページにある、コレクション・データベースのページを覗いてみてください〜(なんとオーディオガイド付きの作品もある)


魅力③ 規模が大きい特別展が開催される


市や県、コレクション等に関連して、たまに大ボリュームの展覧会が巡回してくるんです。

例:
◦2016年 デトロイト美術館展
◦2019年 クリムト展
◦2022〜2023年 ゲルハルト・リヒター展
◦2023年 フランク・ロイド・ライト展

どう考えても見逃せないラインナップですよね…。上記の特別展はどれも東京でも開催されていましたが、豊田市美術館、東京会場より確実に空いています。建築の良さも相まって、満足度が高い鑑賞体験になると思います。


おわりに


空〜!雲〜!

①〜③と豊田市美術館の良さを述べてきました。実際に色んな美術館に行ったり、学芸員課程の講義で教わったりで、美術館について知れば知るほど、豊田市美術館のすごさを実感していまして。思わず語りました…

なお、①〜③には入れていないのですが、ミュージアムショップにある雑貨類もシャレオツ揃いで推せます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?