アルカ1

11/4アルカ “You Covered Me”

住宅街のど真ん中。スマホのGPS機能が無ければ見逃してしまいそうなくらい小さく奥まった目立たない入口。その中には驚きの空間が広がっていた。


超参加型エンターテイメントとも言える岩崎先生のワークショップをするには最適な場所。そこで先生のテンションMAXのアルカは始まった。

先生の頭の中には無数の引き出しがあって、ワークショップではそれが全部開いちゃう。それを限られた時間で少しでも多く伝えようとしてくれる。

「この曲をもっと気持ちよく歌えるヒント」が次々飛び出す。まさに息をつく暇もないほど。

一瞬も聞き逃せない。メモしているともう次の大切なことを話している。メモする余裕もなければ読み返す余裕もない。自分以外のパートが指導を受けている時も気が抜けない。一緒に覚える。そしてすぐに自分のパートへの指示が来る。

ものすごい集中力。
そしてそれは全てやわらかな笑いの中で行われる。

「曲を覚えて満足」じゃない。曲はあらかじめ覚えてゴリゴリに練習してくる。それを2時間でどれだけ気持ちいいものに仕上げられるか。それが岩崎先生のワークショップ。

盛り上げ方、楽しみ方も教えてくれる。歌のうまい下手じゃない。仲間を励ます、盛り上げる、その空間全体を高揚させる。それによって自分も最高に気持ちよくなる!

それが私たちのゴール。

先生はそのために私たちをあおる!あおる!
次第にみんなの表情が自由になってくる。自分の体から聞いたことのないすごい音が出る。気持ちが高ぶる。そしてみんな一緒に気持ち良くなる!

終了後、笑顔で挨拶してくれるスタッフの方の横に燃えカスのような先生を発見。全く生気を感じない。さっきまであのすごいワークショップをディレクションしていた人とは思えない。…というより、そこに人がいる気配が全くない。『廃人』…。

この人は本当に命を削ってやってくれているんだとこの時わかった。
命を削って産み出された芸術には心を持っていかれる。

で、思い出した。これは『おつう』だ。鶴の恩返しの『おつう』!

『岩崎おつう』の命を分けてもらった2時間は、濃密で、最高に気持ちのいい、夢のような時間だった。