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NTLive 語る会 「イヴの総て」 覚え書き

時系列ではなく、こんな話題がましたよーってテーマごとのまとめです。

■映画との違い
・イヴは、映画は強かな知能犯だが、舞台は精神不安定なように見える。
・マーゴは、映画だと威厳のある大女優で結婚して引退しそうだが、
 舞台だと人間味があって脇役として女優を続けそうなイメージがある。
・マーゴが戦っているもの、映画だとイヴだが、
 舞台では自分自身の年齢のように見える。
・カレンは、映画だと「私ってバカね…」って感じだったが、
 舞台だと自分の愚かさを笑うような演技がすごい。
・ガソリン切れのシーン、映画のマーゴはわかってないが、
 舞台のマーゴは全て知ってる風に見える。
・ナレーションは、映画だとアディソンが中心だったが、
 舞台だとカレンが中心になっていた。
・細かく台詞の単語をかえて、現代的に違和感をなくそうとしている。
 プロポーズ⇒ひざまづく、イヴとマーゴが20才と40才⇒30才と50才等
・マーゴ結婚後のナレーション「マーゴは家事に忙殺され」はカット。
・イヴがロイドを呼び出した件を自慢げに話すところが、ばっさりカット。

■LGBT関連
・映画ファンには、イヴがレズビアン、アディソンがゲイ、との説がある。
 理由は、イヴのマーゴに対する視線、
 アディソンは女性を連れていても興味なさそう、
 アディソンがイヴに対して「同じ性質をもっている」と繰り返し言い、
 アリバイのために結婚を迫っていた、等の解釈。
・映画のイヴは、サイコレズビアンと呼ばれる、
 ヘテロ家庭を壊す悪い同性愛者のステレオタイプである。
・舞台のアディソンはゲイとも思えたが、
 舞台のイヴはレズビアンっぽくは見えなかった。

■カメラ映像の効果
・劇場の客は撮影してるカメラマンを邪魔に思わないか?
 ⇒実際に劇場でみても、撮影シーンを目撃していると感じが面白い。
  カメラマンの動きもあわせて演出されていると思われる。
・カメラで撮影した映像の使用自体は「またか」と思ったが、
 CGを使うことで変化をだしてたのは上手。
・バスルーム内でのシーンの映像は、密室でおきている緊迫感があった。
・泣いてマスカラがとれた顔がアップになったのは迫力があった。

■イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出
・セットと衣装のカラーコントロールが素晴らしい、
 欲望の赤、赤い床、赤いドレス。
・権力志向の人が、どうやって人を支配するか?って演出が、
 以前NTLでみた作品より上手くなってると感じる。
・空間の切り取り方に関心が向いている演出家なので、
 キャラクターが薄くなってると思うので、自分は嫌い。

■時代設定はいつなのか問題
・スマホこそでてこないが、肖像画が写真になっていたり、
 台詞を少しかえてるので、時代設定を明確に感じられず、混乱した。
・現代の価値観だと、50才とかまだ若い、結婚がオチは共感できない。
・セットの固定電話が保留機能のある電話機で、あれは1950年代にはない。

■リリー・ジェイムズの演技
・映画だとビルを口説き落とせず豹変し、みんな嘘だった!って驚くが、
 舞台だとただのヒステリーにしか見えない。
・パンフの「自分の本音が自分でわからないような演技」は絶妙な表現。
・マーゴそっくり!真似してるんだわっ!って感じがしない、
 着物風ガウンを羽織った後ろ姿はともかく、所作とかが雑では…
・台詞で、彼女は演技力がある、と言われてもピンとこなかった。

■フィービー関連
・最後の鏡のシーンで、フィービーの顔もCGで変わっていくのか?
 と思ったところを、途中で変わるのが良かった。
・通っていると言った女子高は、バーブラ・ストライサンドも卒業した
 伝統的な演劇が有名な高校。あそこは、演劇に詳しい生徒が多い学校に
 ファンクラブができるまでイヴの人気がある、って意味がある台詞だが、
 字幕だとわかりにくかったので、「ブルックリンの」って字幕にした。
・エンドロールに、フィービー役の人がイヴの代役(u/s)と書いてあり、
 それを見て、恐ろしいなと震えた。

■ブロードウェイとハリウッド関連
・映画と比べてプロデューサー役が弱いキャラクターとして描かれたのは、
 演劇のプロデューサーは映画により力が弱いことを反映しているのかも。
・舞台のアディソンは、ハーヴェイ・ワインスタインを意識したのでは?
 映画界に対する嫌味的な意味として。
・映画は、当時まだ芸術的評価の低かった映画界から演劇界への仕返し、
 と言われたが、今回の舞台はその逆を意識していると思う。

■他のNTL作品との比較
ソニア・フリードマンが権利を持ってて、ウェストエンドの大きな商業劇場でやった公演なので、映像関連で人気のイヴ役リリー・ジェイムズとマーゴ役ジリアン・アンダーソンがありきの制作だったのでは?
年齢が20才と40才から、30才と50才になってたのも、単に彼女達の年齢にあわせただけの可能性もある。

■最近日本で放送・上映・上演されている作品との比較
客席「後日、オペラ座の怪人をテレビでみて、
   年配なオペラ歌手がいびられてて、似た作品だと思った。」
柏木「翌日に42nd Streetをみて、同じく年配の女優役がでる作品だったが、
   登場人物がみんないい人でびっくりした。」
狩野「翌々日に是枝監督の『真実』をみて、
   (カトリーヌ・ドヌーヴの大女優役に)満足した。」
河合「私が次に観たのがQで、松たか子は良い女優だが、
   広瀬すずとコントラストをつけると、若さにかなわないと思った。」

■字幕の訂正
演劇界とは云々といったビルの台詞のところで、
「ニューヨーク、ロンドン、パリ…」と都市名を羅列で、
Vienna(オーストリアのウィーン、英語発音だとビエナ)が
ベニスになっていました。次回上演から訂正されます。
以前は、誤訳や誤字脱字があっても訂正することができなかったが、
今はできるようになりました。

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