早大のミュージカルの公開講座に通った話

正確には「早稲田大学エクステンションセンター」って生涯学習機関で、
年2度くらい開講されている「ミュージカルへようこそ!」って講座の2018年度冬学期(2019年1月)開講分に通ったことを書きます。講座内容の詳細は、公式サイトをごらんください。

このタイトルの講座は、数年前から続いてるシリーズらしく興味はあったのですが、平日の真っ昼間に週1間隔で全4回と、土日休みの仕事してる人にハードルが高いスケジュールでして…まぁ、でも大学の公開講座で芸術を学びたい人って、平日昼が都合いいんでしょうね。

とはいえ、仕事を休んで行くべきか?って悩んでるミュージカルファンも多いような気がしたので、どんな感じの内容だったか、ここに書き残しておきます。誰かの役に立ちますように!

以下に公式サイトからレジメを一部転載します
(たぶん、しばらくしたら消えちゃうから)

目標
・ミュージカルの歴史を知る
・ミュージカルを分析する力を身につける
・ひとつの作品をさまざまな角度から眺める力を身につける
講義概要
1943年初演の『オクラホマ!』といえば、「アメリカの音楽劇の歴史は『オクラホマ!』以前と以降とに分けられる」とまで言われるミュージカルの金字塔です。では、いったい何が、どう凄かったのか? 『オクラホマ!』が描くミュージカルの理想、そしてアメリカの理想とは? 歴史的名作はいま、わたしたちにミュージカルの何を教えてくれるのでしょうか? ひとつの作品にじっくり取り組むこと、ミュージカルを深く見つめることを一緒に楽しみましょう。

講座の雰囲気としては、学部生向けの基礎を学ぶための講義って感じかなー?特に予備知識がなくても理解できるように、いろいろと工夫がされてます。講義風だけど、宿題や課題レポートがでたりはなく、レジメに参考文献や作品リスト等があるので、自分で復習しようと思ったらできます。

参加者の平均年齢は高いです。男女比は半々くらい。(今回の題材がロジャース&ハマースタインだったから、その影響もある?)30人定員とありますが、今回参加してたのは10人くらい、途中で辞めちゃったのか体調不良でのお休みか、最初と最後比べると、少し人数が減ってました。熱心にノートをとってる終了後に質問する人から、退屈だからか疲れてるかよく寝てる人まで、やる気は人によって様々な印象をうけました。(そこらへんも、とても大学っぽいなと思った)受講生同士で講義前後でお話する感じはなく、お友達作りにいく為に行くのは向いてなさそう。

作品のシーンや歌の説明は、1998年ロンドン再演の劇場収録をNHKで放送したのを使ってました。(余談ですが、このプロダクション、トレヴァー・ナン演出!、スーザン・ストローマン振付!!、ヒュー・ジャックマン主演!!で、劇場はナショナルシアターのオリヴィエで、カメラワークもとても良いので、まだ観たことない人がいたら、ぜひ観て!!日本語字幕なしなら、お金払って観る方法あるから!!!あ、あと、プリンスオブブロードウェイで来日した、シュラー・ヘンズリーがジャッド役ででてるよ。)

講義の内容は…

1回目は、まずはOklahoma!が、なんで歴史に残る名作とか言われるのか?って理論から。ハマースタイン本人の言葉や、当時から最近までの文献を紹介しつつ、日本で「ミュージカル」って呼ばれてる物とintegrated musicalは異なるって話をはさみ、オープニングナンバーがどう斬新だったかについて、音楽と歌詞と芝居について解説。(例:農場の風景で、最初は伴奏なしで、舞台袖から歌い始める=遠くから近づいてくるような自然さ)

2回目は、Oklahoma!以前のmusical comedyの例として、Anything goes(2011BWリバイバル)のダンスシーンなどを観つつ、ミュージカルにとって自然な歌や踊りとはどういったことか?って事を各種文献にあたりつつ、Oklahoma!のオープニングナンバー途中から2曲目までを徹底解説。(例:馬車の歌は、台詞では素直になれないが、歌詞のなかでは素直に想いを伝え合うことができる)

3回目は、Bプロットのアド・アニーとウィル(+アリ・ハキム)に焦点をあてて、Aプロットのローリーとカーリー(+ジャッド)との対比による作劇の効果などを紹介しつつ、引き続き自然な歌とか踊りについての具体例の解説が沢山。(例:カンザスシティに行ってきて新しいダンスのステップを見たって歌詞からダンスシーンになる)

4回目は、ジャッドの存在と、この話は本当にハッピーエンドなのか?って観点を入れて、「哀れなジャッドは死んだ」のカーリーとジャッドの駆け引きの解説や、ジャッドのソロナンバーなどを通して、ジャッドが不当に扱われ排除されている、コミュニティの団結には余所者は含まない、外の敵と戦う独善的なアメリカとの見方もできる。(例:ラストナンバーにwe belong to the landって歌詞があるが、話に先住民族はでてこない)

みたいな感じでした。
講義を受けることで個人的に得られたメリットとしては

・integrated musicalとは?って事を深く考えるよい機会になった。
・テレビや映画などでミュージカルっぽいシーンを見かけた時、
 ミュージカルっぽく感じる理由を、以前より言語化できるようになった。
・日本語資料リストに、知らない本が何冊かあったので読むのが楽しみ。
・久しぶりに「ドラマとしてのミュージカル」※1を読んでみたら、
 昔読んだ時より理解できるようになった気がする。※2
 ※1:日本語訳がひどいが内容は興味深いミュージカルの専門書として有名
 ※2:BHSミュージカル研究所のBコースを受講した影響もあると思う

って感じかな。
仕事早退する都合つけて、4回でS席1回分くらいの受講料を払う価値は十分にありましたよ。さあ!さあ!(迷ってる人の背中を押しているかけ声)
あ、次の開講は、今年夏だと思います。これまでのパターン通りなら。
※2019/5/24追記:先日、夏学期のカタログ届いたけど載ってませんでした…



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