お金持ち王国ドバイ

北海道青森ときたら


そうだね、ドバイだね。

というわけで今日はパーっと海外旅行だー!


どうせ空想、いくら贅沢しようがプライスレスなのでエミレーツのファーストクラスに乗ってひとっとび。移動中のドリンクはもちろんドンペリニヨンあそばせ〜。まあ、実際はお酒はおろか炭酸も苦手であんまりのめないんだけどね。

そうこうしているうちにドバイ到着。こらこらツアーガイドさん、歓迎は嬉しいけどビールシャワーのノリで石油ぶちまけるのやめて。周りの人つるっつるしちゃってるから。

記念すべきドバイ初イベントはガイドさんとの床掃除に終わった。

「ゴマンネsorryオータニサン、nice to meet you 」

日本語が苦手なのかどさくさに紛れて五万円ふんだくろうとしてるのか怪しいな。あと日本人全員オータニサンでなんとかしようとするのやめなさい。

「オータニサンWhere shall we go?」

あー、どうしよっかな。
ドバイって今何が流行ってるんだっけ?最近はお札じゃなくて仮想通貨で尻を拭くのがブームとかは聞いた気がするけど

「おすすめはありますか?」

「Sure!ドバイおすすすめ、金持ちトモダチつくる。オゴラセル」

急に流暢、言語力と道徳心トレードしたんか。

まあお金には困ってないけど友だちがいた方が楽しいかと、さっきつるっつるしていた暇そうな富豪に声をかける。

「あの〜」
「Oh!オータニサン!nice to meet you!」

うわ、キャラ被りじゃん声かける人ミスった。
まあいいか。賑やかな旅になりそうだ。

「おすすめの観光地教えてよ」
「タダメシ「ガイドさんちょっと静かにしてて」

「ドバイファウンテン」
「ただの水ヤデ」

「バスタキヤ」
「ぼろい家ヤデ」

「ドバイaquarium」
「食ベレン魚オモシロクナ「ガイドさんもう!」

この人よくガイドとして生活できてるよな。いつもどこガイドしてるんだろう。

「じゃあマジブース「okay!Let’s go!」

ガイドさんが急に乗り気になったので私はマジブースが何かもわからないまま車に押し込まれた。

着いた先は食堂。あー、シンプルにお腹すいてたのね。タダ飯って言ってたしね。

「わー、良い匂いする。どれにしようかな〜」
メニューを開こうとする私を制止し、ガイドさんはここ一番のドヤ顔を見せた。

「Watch、金持ち頼み方こう」

店員さんを呼び付けわざとらしく咳払いをしたガイドさん、周りに聞こえる声量で一言。

「I would like everything, please」

英語が苦手な私でもはっきりとわかったぞ。こいつ全部頼みやがった…!他人の財布を握ったやつは強い。いや、このガイドさんが普通にやばい。値段はさておき全部食べ切れるんだろうか。

ずらりと立ち並ぶ料理たち。おお、千と千尋でしか見たことない光景だー。せっかくなので写真を撮ろうかと思ったが、ガイドさんはもう食べはじめている。まあいっか。写真から味がするわけでもないしなと思い、私も食事に手をつける。

ところでどれがマジブースなんだ?

「ねえガイドさん、マジブースってどれ?」
「ああ、ココニアッタヨ!」

空っぽの銀皿を指し、ガイドさんは飄々と答えた。いや全部食べたんかーい!一口くらい味見させてほしかったなくいしんぼさんめ…
とはいえこの量のお料理を前にしてもう一度頼む気にはならず、名前もわからない肉の串やおしゃれオートミール粥みたいな料理に手を伸ばした。

お、なかなかいける。やっぱり観光いえば食事だなー。一瞬大間のマグロ丼の記憶がツンと蘇ったが、あれはノーカンとしよう。優しさだったし

林檎狂青森

あー、たらふく食べたー。絶対食べきれないと思ってたけど意外といけたな。というかガイドさんがもうどこぞの海賊王状態だったもんな。

店員さんがにこにこと伝票を手に富豪の側へ寄ってきた。すると富豪はニコニコとこちらを見つめこう言い放った。

Let’s split the bill!

えーっと、なんて言ったのかな富豪。とりあえずビルだけ聞き取れたぞ。
レッツとか言ってるし、「俺の所有してるビルで支払っちゃおうぜ!」みたいなことだな多分。はちゃめちゃな金持ち界隈は現金じゃなくてビル払いみたいなのがあるんだろう。恐るべき富豪。

「イェース!ザッツクール!すごーい!」

はしゃぐ私をみて「なんだこいつ」みたいな顔をして富豪は席を立った。次はどこ行くかなー

富豪のあとをついていこうとすると、店員さんが私の肩を掴んだ。

「オータニサン、You don't pay」

ん?え?富豪さっきビル払いしたんじゃなかったの?頭にハテナを浮かべつつ、とりあえず店員さんに金塊を二、三本渡しておく。そういえばもう心がオータニサンを受け入れちゃったな。

次の観光地に向かおうとしたが、ガイドさんがお腹いっぱいでねむたくなっちゃったらしくその場で解散となった。

帰りのエミレーツで富豪がなんて言っていたのかを検索することにした。

Let’s split the bill
(割り勘にしようぜ)


そういうことかあー。割り勘ってことは…

めっちゃ友達認定じゃーん!

私の匙加減でいくらでもお金がわいてくる世界線では、割り勘すら嬉しいものだと学んだ。



…いくらでもわいてくるなら函館の夜景観れたな

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