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[読書メモ]偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析

情報へのアクセスや発信の手段が発達してフラット化する世の中。

それまで離れて暮らしていた異なるクラスタが交錯するようになり、
「偏見」や「差別」というものがより顕在化するようになって衝突が増えてきたように思います。

注意しなければいけないのは偏見や差別というものは良くないことと誰しもが認識しながらも、
人の心理的なメカニズムとして無自覚にそれを行なってしまうリスクがあるということ。

この本では、偏見や差別が発生するメカニズムと、それを発生を抑制するために考えられる対応について、
その研究結果がまとめられ、人種・民族、移民、障害者、セクシュアリティ、リスク・原発、高齢者、犯罪、
という具体的なケース別に偏見や差別の実態が解析されています。

偏見・差別はなぜ起こるのか

本書では様々な理論が紹介されていますが、主に述べられているのは以下の2点です。

1.自身の信念に反したり、理解不可能な状態を恐れ、非合理的な理由づけをして安寧を得ようとする心理
2.病気や死などの脅威から身を守るため、それと連合するものを回避しようとする心理

いずれも自己保存のため避けがたいものであり、これを完全に無くすということは現実的ではないのかもしれません。

私たちにできること

全ての人が同等、同質の満足を得て、衝突のない世の中を作ることは難しいのかもしれませんが、私たちは、このような無自覚なバイアスの存在を意識して、自身とは異なるものと接触を持ち、そこで感じる疑問や信念、規範、常識を揺らがされることと恐れずに向き合うことが大切なのではないでしょうか。

私は比較的、均質的でない友人や知人に恵まれていると思います。
人種、国籍、セクシャリティ、政治思想、社会的地位、職業、世代・・
そんな私もきっと無自覚に彼らを傷つけたり動揺させていることもあるのかもしれません。

思い当たる節がある人は、ご連絡ください。
世界から差別はなくせなくても、私の友人達には笑っていてほしい。


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