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AD27「『オトナに!』終了、テレビを引退します」

僕がプロデュースしてるいとうせいこうさんとユースケ・サンタマリアさんが司会のオトナのためのトーク番組『オトナに!』が、この10月10日のOAで最終回となります。
TBSで2012年1月から『オトナの!』として始まり、2016年にTOKYO MXにて『オトナに!』となって続けてきて、足掛け7年。ついに力尽きてしまいました。番組は死にます。

ユースケさんがちょうど40歳、せいこうさんがちょうど50歳で始めた番組。7年間で総勢265名のゲストが来てくれました。我らが水道橋博士は計3度のトークゲスト出演!最初は岡村靖幸さんと、2回目は園子温監督と、3回目はダイノジ大谷ノブ彦さんと。『オトナの!フェス2016』にも遊びに来てくださったので、計4回の出演をしてくださいました。本当にありがとうございました。

うーん、どこから書けばいいのか。
番組の終わりとは、やはりなかなか感慨深いもので、言いたいことは死ぬほどあるのに、いざ説明しようとすると、なーんか感傷的and感動的になってしまってなかなか書けません、なにせ僕がTBSテレビを辞めるきっかけになった番組ですから。
なので、思いつくことを脈絡なく書いてみたいと思います。

最後の収録を9月18日、つまり一昨日したばかりなのですが、撮影場所は、浜松町の天童木工さんのショールーム。美しい家具が多いので、いつもいい画になるので何回か撮影で使わさせていただいた家具屋さんです。社員の方も番組のファンが多く、いつも温かいですし、今回も最終回なので無理を言って頼み込んで撮らさせていただきました。あのー、いつかいい家具を買うときは天童木工さんで絶対買います!本当にありがとうございました。

最終回なんで、番組ゆかりの方から最後のコメントとテーマカードのお題をいただきました。行定勲監督、みうらじゅんさん、アジカンGotch岡村靖幸さんです。
みなさん番組終了を告げると、急なスケジュールにも関わらず撮影時間を空けてくださり、そして本当の大切な言葉をいただきました。本当にありがとうございました。

最後のゲストは俳優・脚本家で番組のナレーター・マギーさん!
マギーさんは、実は『オトナの!』の初回ゲストです。そのときせいこうさんとユースケさんが「マギーが、ナレーションをやれば!」と話したことを真に受けた僕がそのままマギーさんに収録終わりで頼んだところ、二つ返事で引き受けてくれて、そのまま7年間ほぼ毎週月曜夜にナレ録りをしてくださいました。せいこうさんとユースケさんの収録は溜め撮りだから、だいたい月一収録だったのですが、マギーさんはそれこそ毎週です。舞台がある日も舞台終わりで飲み会抜けて来てくれたりとか、まさに全ての回に関わってくださった方です。本当にありがとうございました。

いとうせいこうさんの素晴らしさは、この連載でも何回も書いています。僕にはかりしれないインスピレーションをくださった方です。
それに比べてユースケ・サンタマリアさんのことはそんなに書いてません(笑)。
でも7年間やってみて改めてわかったのは、ユースケさんが凄い!ってことでした。
ユースケさんは僕と学年が同い年です。いつもくだらないことばかり言ってます(笑)。カードをお尻の下に隠したり、ドラえもんの声真似したり、すぐ嘘ついたり(笑)。もう編集でカットされてるのも知ってるのに、それでもやり続ける、それも7年間かかさず。
最初の半年くらいは、そんなユースケさんに面倒臭いなとか思ったことも確かにあります。でも、それでもやり続けてるから、もう本当にくだらなくて、それが今や本当に最高におもしろいのです。あそこまで徹底してやれる方はなかなかいません、本当にプロのタレントさんだと思いました。そして物事をものすごくいろいろ見ているし、いろいろ知っている。でもそれを自慢気に披露することなく、いつもくだらないことばかり言っている。そこにいとうせいこうさんの審美眼、奇抜な着目点、瞬時な回収能力、そして二人から醸し出されるやさしさ、それらがミックスされて、豪華なゲストが毎回「この番組は出たい!」と言ってくださったし、実際他の番組では喋られないようなお話もついしてしまうような原動力になったのでした。つまり、僕は彼らから、本当の“知性”を学んだのでした。本当にありがとうございました。

そしてスタッフ。みんな優秀な売れっ子のディレクターなのに、僕のわがままを聞いて、TBSからMXへと移行したりと、AbemaTVでノーカット版を配信したり、フェスを開催したりと、ただの深夜番組を運営すること以上のバイタリティでやってくれました。本当にありがとうございました。
ただ、同時に悲しいこともありました。実は番組を何年か続けた数年前に、僕はふと思ったのでした。
「この番組の最終回がいつかやってきたら、ゲストは、僕、角田陽一郎が出よう」と!
そして今回、期せずして最終回を迎えてしまい、僕は最初にスタッフに「僕をゲストで!」と本当に言いました。冗談ではなく、僕も今やフリーのバラエティプロデューサーとして、著作にトークイベントにテレビラジオ出演になかなかがんばってます(笑)。実際番組が終わるにあたり、僕の想いとか、今手掛けてるおもしろいこととか、かなり真面目に話したいことがあります。まさに最終回にふさわしいゲストなんじゃないかと!
そしたら・・・スタッフ全員に阻止されました。
それは、かっこ悪いと!
最後はマギーさんを加えて、番組の3人で閉めるべきだと。
今まで僕の無茶な提案をかなり融通きかせて文句を言わずに作業してくれた、そのスタッフに、最後の最後に、最後だけ反対されました。
僕は、かなり悲しかったけど、でもそのスタッフのテレビ屋としてのプロ仕事に、本当に敬意を評します。本当にありがとうございました。

そして、最後に僕のこと。この番組をやって、本当に開眼しました。
エンタメとは何か?
メディアとは何か?
テレビとは何か?
有名人とは何か?
アーティストとは何か?
笑いとは何か?
音楽とは何か?
知性とは何か?
仕事とは何か?
人生とは何か?
生きるとは何か?

そして、
オトナとは何か?

この『オトナの!』『オトナに!』は、僕に“オトナとは何であるか?”の本当の意味を教えてくれた番組でした。
いつまでも、年を食っても、なかなか成長しない、頭でっかちな、ガキのように拙い未熟な甘えた僕を、オトナに育ててくれた番組でした。
若い頃は、オトナに憧れを憶える以上に、オトナを軽蔑もしていました。あんなダサいオトナにはなりたくない!といつも思っていました。
でもこの番組で、本当にカッコいいオトナにたくさん出会えました。いろいろなお話をきかせてもらいました。
つまりこのオトナ番組が、僕を(少しだけでも)オトナにしてくれたのだと思います。
それで、オトナになってみて、いろいろ見えなかったものが見えるようになって、そして僕はTBSを辞めて、今オトナとして、バラエティプロデューサーとして、がんばれてるんだと思うのです。
少しは、かっこいいオトナになりたい!
・・・そう思っていた若い頃の自分に、今はちょっとだけ言ってやりたいです。
「お前も、なかなかいいオトナになってきたぞ(でも、まだまだだけど)」

さて、オトナになった僕は、これから“テレビの果て”で何をやろうかな?
あ、そうか。そういう意味では、僕は自分が手がけるテレビ番組がついに無くなりました。これから手がけるかもしれませんが、でも多分、自分はテレビのプロデューサーはもう本格的にはやらないのではないかと、薄々感じています。それにはいろんな理由があるのですが、それもネガティブな理由では無く、かなり積極的な意味で。
つまりこの『オトナに!』終了で、僕はテレビを卒業します。
卒業した母校に時々遊びに行くかもしれないけど、でもそれはあくまで遊びであって、卒業した母校に通学することは無いように、僕もテレビの本気のプロデュースは、もう無いです。
僕は、やっと、というかいよいよ、というかようやく、テレビを引退します。
そんな僕自身にも、僕自身で最後に言わせてください、本当にありがとうございました。

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