ゴミ屋敷とトイプードルと広告

もはや無料公開では??

今日も今日とてインターネッツの波に揺られている皆様方なら、きっとあの広告を見たことがあると思う

SNS!キラキラ女子!借金!凋落!
そう、『ゴミ屋敷とトイプードルと私』(池田ユキオ作)!

しつこく画面上に現れるドロドロのレディコミ系やヌチョヌチョのエロ漫画の広告。その抉りこむような猛攻撃に「うんざりだよ!なんとしてでも僕に読んでほしいようだがもう一生読む気はないと宣言する」と憤慨する方も多かろうと思う。

しかし、いったん興味を持って眺めてみると、それら広告のもつ意外な楽しみかたに気づいたりする。
広告を出す側は最終的にはその漫画を専用アプリやらサイトやらで読んで欲しいし、お金を落としてほしいわけだ。新規読者を広げ客層を獲得するためには、いつも同じ広告内容では意味がない。同じ漫画についての宣伝でも、抜き出す場所を変えてなるべく多くの人の気を引くように努力している。

先ほど挙げた『ゴミ屋敷とトイプードルと私』は、その戦略がとても強く出ている漫画の一つだ。というのも、この漫画現在も続いている作品のだが、広告の方もその内容を追ってこまめに更新されているのだ。
今まで広告をボーッと視界の端に留めていた私は、同じタイトルなのに最近ヒロインが変わっていることに気付いた。ほかのバージョンも見ていくと、昔のヒロインの後輩が、凋落したかつてのヒロインに代わって第二のキラキラ女子を演出していることに気付いた。というかその第二のキラキラ女子も最近やらかして婚約破棄されたっぽい。すごい。広告だけで内容がめちゃくちゃわかる!港区コワイ!

私はまんまと策略に乗って無料公開分の本編も読んでしまった人間なのだが、広告だけでほぼ内容を追えていた。ここ〇〇ゼミでやったところだ!バナーで見た!かといって本編が新鮮に楽しめないかというとそうでもない。ほぼ完成されていたパズルの数少ないピースがやっと手に入ったような、微妙にピンぼけしていた画面がクリアになってはっきり見渡せるようになったような、そんなスッキリした気持ちがある。(漫画の内容はスッキリとは程遠いが)今となってはもうサイトに登録して後編も読んでしまいたい気持ちが高まりつつあるし、これはマーケティングの成功といえるだろう。

『ゴミ屋敷とトイプードルと私』はいつでも読みたいタイプの漫画ではないし、広告見るのも本当にイヤだって人もいるだろう。でも興味ある人は広告だけでも追ってみると楽しいぞ。みんなも抜き出されたコマの隙間を読んで脳内再構成してみよう!あとこれは大事なことですが、犬好きは覚悟しろ。