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平成ライダーと多様性

日曜日に「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer/騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」を観てきました。

仮面ライダージオウ1年間の総決算にして、平成ライダーという歴史の終結を描いたお祭りムービー。

平成ライダーと共に生きてきたかつての子供たちにぜひ観てほしい一本です。

以下はネタバレを伴う感想です。
ジオウのみです。
予めご了承ください。

否定された平成ライダー

この映画では前作「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」同様、仮面ライダーひいては平成ライダーという存在をメタ的に捉えた作品です。

映画の中で主人公の常磐ソウゴが平成ライダーの力を集める理由は、世界観も設定も無茶苦茶なヤツばかりな平成ライダーを一人の少年に一本化してしまおうという、クォーツァーの身勝手な思惑によるものでした。

理不尽な真実を知らされたソウゴは、自分を信じて力を託してくれた英雄たちに思いを馳せ、怒りを露わにするのです。

「勝手にまとめるなよ」

ISSA演じる仮面ライダーバールクスは、平成ライダーのようにごちゃごちゃとして訳の分からなかった平成と言う時代を、人類を美しく統一することでやり直そうとソウゴ達の前に立ちはだかります。

しかしそんな彼の計画をソウゴは一喝しました。

バールクスのような考え方は決して他人事ではなく、私たちの誰もが意識的にも無意識的にも起こしてしまうものです。
自分とは違うもの、自分の知らないものを勝手に評価して排除しようとする。

ですが、そんな権利は誰も持っていません。
なのに私たちは平気でそういうことをして、今も傷つけあっています。

それは平成ライダーも同じでした。
「仮面ライダークウガ」に端を発する平成ライダーシリーズは、伝統を壊すということをテーマの一つとして企画されてきたものです。ですから、毎年のように「こんなの仮面ライダーじゃない」と言われ続けてきました。

主人公はヒョロヒョロしてるし、ベルトはゴチャゴチャしてて音もうるさい。
仮面ライダーは孤独のヒーローなのに、仲間と群れたりふざけたりしてる。
スーツのデザインもなんかかっこ悪い。

しかし、遂にソウゴがこの映画で「それでいい」と言い切るのです。
それは、この一年間ライドウォッチを集める中で、彼等がどんな思いで人々を守ってきたか知っているから。

誰が何と言おうと、俺は俺。
自分の信じた道を愚直に貫く。

だから平成ライダーは、魔法も使うし幽霊にもなるし、果物も被るし車にも乗るし、ゲームにもなるし宇宙にだって飛んでいくのです。

平成ライダーが令和に託したものとは

平成ライダー20作品は、ライダーの存在で以て多様性を描いてきました。

時には先輩が後輩にバトンを渡したり、ライダー全員が力を合わせて戦ったり。
それぞれの世界や文化の違いに驚くことはあっても、彼らは他のライダーを否定することは決してありませんでした。

また、世間に否定されても仮面ライダー作品は1年間大切なメッセージを伝え続け、最後には必ずファンを魅了してくれました。

これからも続く多様性の時代に向けて私たちがやるべき事を、平成ライダーはずっと伝え続けていたのです。

もうすぐ始まる令和ライダー「仮面ライダーゼロワン」は、そんな平成からのバトンを受け取ることでまた素晴らしい作品になることでしょう。

時には漫画で、時には舞台の上で、また時にはネットムービーで。
あらゆるメディアで戦い続ける仮面ライダーの未来は、令和になっても無限大なのです!

追記

そう言えば、詩島剛2019年新規絵も美麗でした。好きだ。
あとベルトさんってどうしてあんなにもチャーミングなんでしょう。
出してもらったお茶を飲む方法をどうにか見つけようとしてましたけど、あんなに可愛い60オーバーの科学者います?