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年末調整、会社の倒産で源泉徴収票がもらえない場合どうしたらいいの?【年末調整/源泉徴収票】

こんにちは、ナカハラミヤコです。
転職により入社された方が、以前の勤務先が倒産したため源泉徴収票がもらえなかったと相談にきました。
今日は、「年末調整、会社の倒産で源泉徴収票がもらえない場合どうしたらいいの?」という質問にお答えしたいと思います。

1.年の途中で再就職した人の年末調整


年の途中に入社された方で、前職で勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出していて給与の支払のあった人については、前職分の給与を含めて年末調整を行うことになります。
(「扶養控除等(異動)申告書」を前勤務先に提出しておらず、乙欄適用だった場合は、年末調整された源泉徴収票と前職の源泉徴収票をもって確定申告にいく必要があります。)

前職分の給与を合算するため、以前の勤務先から交付される「給与所得の源泉徴収票」を提出していただきます。

源泉徴収票を提出いただけないと年末調整できないので、源泉徴収票が提出されない場合は、従業員自身で確定申告していただくことになってしまいます。

根拠はこちらです。

、前職分の給与とその徴収税額については、その人が前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認することになりますが、その確認ができるまではその人の年末調整は見合わせてください。

出典:国税庁HP 令和3年分 年末調整のしかた 3-1 
年末調整の対象となる給与と徴収税額の集計

2.前職で源泉徴収票がもらえない場合


それでは、相談してきた従業員のように前職で源泉徴収票が発行されない場合、どうしたらいいのでしょうか

会社は、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務がありますので、申請しても発行しないのは所得税法違反です。(所得税法第266条1項)

したがって、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すれば、税務署から源泉徴収票を発行するよう会社に行政指導してもらえます。

なお、この届出書には、「4源泉徴収票の不交付を国税当局に申し入れたことにつき、事業主に氏名を告知しても差し支えありませんか」という項目がありますので、「いいえ」欄にチェックをいれると誰が届け出たか伏せておいてもらえます。

出典:国税庁HP [手続名]源泉徴収票不交付の届出手続 

3.源泉徴収票不交付の届出をしても発行してもらえない場合


源泉徴収票不交付の届出をしても源泉徴収票を発行してもらえない場合や、以前の職場が倒産していて事業主と連絡がつかない場合はどうしたらいいのでしょうか

①会社倒産の場合

会社破産の場合は、破産管財人弁護士に請求すれば源泉徴収票を発行してもらえます。

②会社倒産により未払賃金がある場合

会社が突然倒産してしまい給料が払われていない場合は、要件を満たした場合に未払い給与の一部を立て替え払いしてもらえる制度(独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度)があります。

倒産した会社に代わって、労働者に対して給与の一部を支払うという公的制度です。

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構(JOHAS)

同制度を利用し、未払賃金立替払請求書を提出し審査を得て支払われた場合、この立替払金は、「退職手当等の金額」とみなされ「退職所得」に該当し、他の所得と分離して所得税額を計算しますので年末調整は不要です。(租税特別措置法第29条の6)

また、未払賃金立替払金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」
を提出した場合は、源泉徴収により所得税額が清算されますので、原則として確定申告をする必要はありません。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出されない場合は、立替払額の20.42%の税率による源泉徴収が行われるので確定申告することになります。

③源泉徴収票不交付の届出をしても発行してもらえない場合

源泉徴収票がないと確定申告は原則としてできませんが、会社が倒産等により源泉徴収票が発行できない理由がある場合は、給与明細書等で代用できるとされていて、源泉徴収票がなくても確定申告により源泉所得税の還付を
受けることが出来る場合もあるようです。

源泉徴収票不交付届出書を提出していることにより、源泉徴収票を本人が受け取っていないこと、税務署の行政指導によっても応答がなかったことの裏付けとなりますので、一度所管の税務署に相談をしてみてください。

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~まとめ~

年の途中で再就職された場合は、以前の勤務先が発行する源泉徴収票を提出いただき、甲欄適用(扶養控除等(異動)申告書を前勤務先に提出している)であれば合算して年末調整を行う必要があります。
(※乙欄適用であれば、確定申告が必要です)

会社倒産や源泉徴収票が発行されない場合には、「源泉徴収票不交付の届出」をして税務署から発行をするよう行政指導してもらえます。

それでも源泉徴収票が発行されない場合は、以下のとおりです。
・会社破産 
  ➡ 破産管財人弁護士に源泉徴収票を発行してもらう
・未払賃金が未払賃金立替払制度で立替払された場合 
  ➡ 立替払金については「退職所得」とみなされるため年末調整は不要
・「源泉徴収票不交付の届出」によっても源泉徴収票が発行されない場合
  ➡ 所管の税務署に相談する。
    その際、その年の給与明細書の提出を求められることがありますの
    で、給与明細を持参してください。
    給与明細書は、不測の事態に備え、最低でも1年間は捨てずに保管
    することをお勧めします。

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