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英検1級対策(1) 試験の概要と特徴

ここ最近、民間英語試験が花盛りです。

ひとつ僕も検定試験を作ってみようか、まずは市場調査だ、と意気込み、「こんな試験はまだないだろう」と思いついた内容を「◯◯検定」とネットで検索してみる。ほとんどの場合、その「◯◯検定」が既存の検定試験として検索結果に表示されます。もうすでに、あらゆるタイプの英語検定が世の中に存在しているようです。なんたるレッドオーシャン、いや百花繚乱。

そんな検定試験に向けた対策講座の一つとして、そして2021年の新しい試みとして、「英検1級対策講座」を担当しています。先週で春学期が終わり、ひと段落しました。

今回から数回に分けて、英検1級対策について投稿します。

就職や転職、昇進などで提出が求められるスコアは英検よりもTOEICが多いですが、なんと言っても「英検1級」は、日本国内での通用力がピカイチ。自分の経験を踏まえても、TOEICのスコアを伝えたときと、英検1級を取得していると伝えたときとでは、相手の反応がだいぶ違います。TOEICのスコアは分からなくても、英検なら知ってるという人は多いようです。

試験の概要

ではどんな試験か。前回の「中高生から中高年までの検定試験入門」で書いたように、まずは敵を知ることが重要です。一次情報は、必ず英検の公式HPを参照してください。ここでは概略のみ、まとめておきます。

一次試験:筆記(100分)/リスニング(約35分)
二次試験:英語での面接(約10分)

ここで重要なのは、配点です。現在の英検は「英検CSEスコア」という形式でスコアリングされます。

一次試験の配点
リーディング:850点
ライティング:850点
リスニング:850点
合計:2550点
2028点が合格基準

リーディングとライティングとリスニングが、それぞれ均等に配点されています。ここがポイントです。以前の英検はリーディングが配点の半分近くを占めていました。その比率が、現在では3分の1に下がっています。簡単に言ってしまうと、リーディングの対策だけでは合格が困難な試験になったわけです。これは、見方を変えると「ライティングとリスニングでスコアを確保すれば、合格できる可能性が高くなった」とも言えそうです。

※ちなみに、「英語の各技能を均等に配点する」というのは最近の英語試験の特徴のひとつです。TEAPや共通テストでもそうです(ただ大学入試の場合、大学によってリーディングとリスニングの評価比率を変えることもあるので、結構ややこしい)。

このような特徴の英検を攻略するには、ライティングとリスニングに対しても、しっかり試験対策をする必要があります。「1級向けの単語帳をひたすら覚えるだけ」のような勉強法では、十年選手にもなりかねません。極端に思えるかもしれませんが、「英語の勉強って要するに単語だろ」と単語帳の丸暗記に終始する学習者は今でも結構多いものです。

次回は、リーディング対策です。

オーキッド外語学院代表。株式会社オデッセイ・グローバル代表取締役社長。トフルゼミナール、アテネフランセ等で教鞭をとる。高校生、大学受験生、社会人を対象に大学入試対策、TOEIC対策を担当。テキスト執筆、ビジネス翻訳も手がける。https://orchid-gaigo.com