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つながりづくり・居場所づくり・生きがいづくり

写真は独居老人の部屋。
独居老人は、いろんな方がいますが思い出とともに暮らす方がいます。だから、ものを溜め込む。
私の本職は西成で不動産の賃貸営業で住まい探しのサポートをしています。
引っ越しや家財処理の仕事も窓口としてやっています。
相談者のお部屋にいき、現状をを確認するのですがいろんなお部屋があります。
思い出を捨てられず、溜め込んでしまって寝る場所だけが空いている部屋。チャバネゴキブリが大量に発生している部屋。
寝る場所もなくものが大量にある部屋もあります。
友人が部屋に訪れる人の部屋はきれいです。友人もなく、介護の人も入室を拒否をしている。でも、高齢だから部屋を片付けられず
その部屋で一日過ごす。それで、病気になり入院。退院後その部屋に戻れるかといえばエレベーターがないため戻れない。
繋がりが少しでもあれば。誰かに愚痴もこぼせて生きるのが楽になったのではと思う人をよく見ます。

西成市民館のソーシャルワーカーとして以前活動していた白波瀬達也先生の著書でこの地域のことを次のように説明しています。

近年は元日雇労働者たちの高齢化高齢化だけでなく、他地域から生活に困窮した中高年男性が新たに流入したこともあいまって、あいりん地区は著しい高齢社会となっている。あいりん地区が所在する西成区の2014年10月時点の高齢者数は約4万5000人を数え、高齢者率は38.3%にも及ぶ。同年同月の大阪市全体の高齢化率は24.9%であることから、西成区の高齢化率がいかに高いかがうかがえよう。
ー中略ー
あいりん地区で暮らす人々の多くはこれまで住まいを転々としてきており、地域に十分な社会関係がない。大阪就労福祉居住問題調査研究会が2006年に刊行した調査報告書『大阪市西成区の生活保護受給の現状』によれば、野宿経験を有するあいりん地区の生活保護受給者の23%が近隣関係、友人関係、相談相手のいずれももっていない。

中公新書「貧困と地域」白波瀬達也著

そうこの地域は高齢化の率が大都市大阪市の中でも高い地域で、その内訳に野宿経験者がいるのです。
80でもまだまだ働くと日雇いで働いている高齢者もいますが、身体にガタがきて生活保護を受けられひっそりと暮らす高齢者が多くいます。
生活保護費は年々減額されていき、余暇を楽しむゆとりもない。その費用を博打やアルコールに費やしてしまえばとたんに生活は苦しくなり、
ツケで生きていくしかない。そんなことを周りにしれたくないから、表面上しか付き合わない。お金を貸してと言われたくないから表面上しか付き合いたくない。この地域のおっちゃんからよくそのような声を聞きます。

だから、大阪市立西成市民館で週に3回2時間行うカラオケの会はとても大事な事業となるのです。
参加費無料で誰でも歌を歌える。シラフで。
カラオケ居酒屋のようにお酒呑まないと歌えないということはない。
ホームレスでも生活保護受給者でも年金受給者でもそんなことをいちいち言う必要はない。
ただ、歌が好きであればいい。
自分が好きな歌があればいい。
懐かしい歌でも今流行の歌でもいい。
みんなが知っていなくてもいい。

初めてあった人が歌ですぐに繋がる。そこで会話できれば街であってもさり気なく挨拶ができる。

あるおっちゃんの家を支援する人から家財処理の依頼があり訪問しますと、レコードプレーヤーがありました。
そこには「義理と人情」のレコードが置いてありました。もう何年も動かしていないのかレコードは熱で変形していましたがおっちゃんはそういう歌が好きなのだなということがわかり歌好きな人と繋がれる人だと思いました。

ほのぼのクラブカラオケの会があれば呼べるのに。人と繋がることができるのに。おっちゃんの部屋はゴミ屋敷となっているのです。
人と繋がれば生きがいを大切にしたいという心があればなんでも買い込んで貯めなかっただろう、昔の思い出も整理できたであろう。

高齢化社会からは逃げることができない。
しかし、楽しく過ごせることはできるのではないか。

余暇を無駄と思っている社会から必要と思っている社会へ。公共施設がコロナ禍を避けるためといって簡単に余暇事業をなくさない社会に。

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