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おいしさの裏側~復刻菓子「雪ノ下一丁目」~〈後編〉

鎌倉紅谷は2024年、創業70周年を迎えました。これを記念して「雪ノ下一丁目」と「はちまんじゅう」、2つの“復刻菓子”を販売しています。
今回はその中で、「雪ノ下一丁目」の企画の裏側についてご紹介します。

「雪ノ下一丁目」は、パウンドケーキとバタークリームを交互に重ねた、シンプルな中にこだわりが詰まったケーキです。
→「雪ノ下一丁目」の詳細はこちら

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洋菓子職人の2代目が開発し2021年まで販売していたケーキ「鎌倉の鐘」を改良、よりおいしく、装いや名称も新たに「雪ノ下一丁目」として復刻させました。

今回は、「雪ノ下一丁目」開発に際してのエピソードや製造時のこだわりについて、商品開発担当者に取材を行いました!
→前回の記事(商品名、パッケージデザインに込めた想い)はこちら

おいしさの模索
今回「雪ノ下一丁目」の商品開発を任された担当者は、2023年に鎌倉紅谷に入社したため、実は当時の「鎌倉の鐘」を食べたことがありませんでした。そのため、残されている製造時の配合表や工程表を調べ、当時製造を行っていたスタッフにも細かく話を聞き猛勉強したそうです。
その上で、忠実に再現した「鎌倉の鐘」を社長・副社長、そして当時の商品を知っているスタッフが試食したところ、「この味!懐かしい!」という声があがりました。ここから、よりおいしくする作業が始まります。

2021年まで販売していた「鎌倉の鐘」

バタークリームについて
「鎌倉の鐘」を販売していた当時、バタークリームが苦手な方にも「鎌倉の鐘はおいしい」というお声をいただいていたことから、まずはその理由を探ることに。当時の配合表を見てみると、「鎌倉の鐘」のバタークリームには生クリームが多く配合されていました。口当たりがよくさっぱりとしている理由はここがポイントだと気づいたのです。

「雪ノ下一丁目」のバタークリーム

さらに後味をすっきりとさせ、よりおいしくするにはどのようなバターを選ぶべきか?商品開発担当者は、良質な4種類のバターから、それぞれバタークリームをつくって生地にサンドし、社長・副社長とシェフに試作品を提案。味の違いを検証していきました。
その中で、「鎌倉の鐘」のバタークリームと比べると「もう少し塩味があっても良いのでは」というフィードバックがあり、配合を変えるなど調整した上で再度提案を行ったそうです。そうして試行錯誤した結果、社長・副社長とシェフ、開発担当者の全員が良いと感じたグラスフェッドバターを8割、有塩バターを2割の割合でブレンドしたバタークリームに満場一致で決まりました。あっさりしつつもコクのある仕上がりになり、風味も豊かで後味にキレがありました。

「雪ノ下一丁目」に使用しているグラスフェッドバター。
試作を重ね、現在のバターの配合にたどり着きました。
バタークリームの製造風景

また、生地の間に挟むバタークリームの量について、当時と同量のものと、少し増量したものとの食べ比べも行いました。結果、グラスフェッドバターを使用することでバタークリームの後味が良くなったことから、増量した方がよりおいしく仕上がることがわかりました。バターの香りを生かしつつもくどくない「雪ノ下一丁目」のバタークリームの完成です!

以上のように、配合決定に至るまで2023年6月から8月にかけて合計6回試作を行い、おいしさを追求しました。復刻商品という位置づけではありますが、材料や配合などを見直し、磨きをかけてつくり上げた商品です。

製造工程をご紹介!
実際に「雪ノ下一丁目」がどんな風につくられていくのか、製造現場に潜入しました!こだわりのポイントをご紹介します。

【生地づくり】
材料を数回に分けて入れ、しっかりと混ぜ合わせます。材料の配分やミキサーに投入するタイミングは、職人の目でしっかりと見極めています。

【焼成】
鉄板に生地を流し込んで伸した後、オーブンで焼いていきます。焼成時間は生地の重さや厚さ、配合を踏まえ、最適な焼き時間になるよう何度も調整を行いました。粉に火をしっかりと入れ、小麦の香りを立ち上げるよう、上火・下火の加減を調整し、ムラなく焼き色が付くように位置を変えながらバランスよく焼き上げています。

【スライス】
焼成後、一日寝かせた生地を一つ一つ手作業でスライスしていきます。生地の厚みは8mmで、「鎌倉の鐘」の生地と同じです。10mmのものも試作しましたが、バタークリームとのバランスが良いのは昔と同じ8mmでした。

【バタークリーム塗布】
スライスした生地にバタークリームを塗り、バタークリームと生地の層を交互に重ねていきます。量や厚さが均一になるように塗られた表面の美しい仕上がりは、まさに職人技です…!

【最終カット・包装】
粉糖を振って仕上げた後、最後のカットを行います。物差しで測って印を付けながら慎重にカットしていきます。その後、包装をして完成です!

製造担当者の想い
今回「雪ノ下一丁目」の製造を担当する職人たちは、みな想いを一つに日々の製造に励んでいます。

「以前より『鎌倉の鐘』をご愛顧いただき待ち望んでくださっていたお客様にも、初めて召し上がっていただくお客様にも、『おいしい』と笑顔になってもらえるよう、心を込めて製造いたします」…製造担当者一同

職人が一つ一つ心を込めて仕上げるおいしさを、どうぞお楽しみください😊

鎌倉紅谷 公式サイト(https://beniya-ajisai.co.jp/)内「お知らせ」では、
商品の販売情報についてご案内しております。

「雪ノ下一丁目」の販売については、以下よりご確認ください👇
https://beniya-ajisai.co.jp/news/post_news/14371/