量子コンピューター_モデル_

未来文明史論2019(8)人工知能の未来

▼今日の箴言:
第一法則:ロボットは人間に危害を加えてはならない.またその危険を看過することによって,人間に危害を及ぼしてはならない.

第二法則:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなくてはならない.ただし,与えられた命令が第一法則に反する場合はこの限りではない.

第三法則:ロボットは前掲の第一法則,第二法則に反するおそれのない限り,自己を守らなければならない.

アイザック・アシモフ(Isaac Asimov、1920年1月2日 – 1992年4月6日)の「ロボット工学の三原則」【Isaac Asimov's three laws of robotics】


 本稿では、22世紀の未来史において、AI(artificial intelligence、#人工能) の進展と導入を、積極的に薦めてきた。なぜならば、自動車の自動運転など、世の中の動向がそのように向かっていると言っても過言ではないからである。しかしながら「人工知能がどういう工程で作られて、何ができて、何ができないのか」「あまりにも人工知能への依存傾向があるのではないか」という批判もあるかもしれない。以下、人工知能を「AI」と表記する。また、AIへの脅威についても再三、語られている現状でもある。いわゆるAIが人間を超える日、#シンギュラリティ問題:#技術的特異点(technological singularity)である。
 本稿では、AIと人類の未来について、その危険性も含めて少しずつ考察したい。そもそも、厖大かつ様々な論点を含む議題のためである。そして現在進行形中である。

 わたしはコンピューターの専門家ではない。あくまでも「利用者目線」として、22世紀の未来予測をまとめる。章立ては以下の通り。今後は、最新のニュースを紹介しつつ、さらに議論をそれぞれ深めたい。

(1)人工知能とはなにか~その定義について
(2)人工知能の歴史~その種類について
(3)人工知能と量子コンピューター
(4)人工知能と科学哲学~人類を超えるものを創る~

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(1)人工知能とはなにか~その定義について

 まず、AIとはなにか。その用語について調べてみたい。コンピューターの専門家の言葉を借りれば、次の定義になるだろう。
 人工知能(AI)とは「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わって計算機(コンピューター)に行わせる技術」である。さらに具体的な定義では、『日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説で、情報工学者・通信工学者の佐藤理史氏は次のように述べている。

「 誤解を恐れず平易にいいかえるならば、「これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野である。」

【参考1】今さら聞けない「AI・人工知能」とは?
http://ainow.ai/artificial-intelligence-3/
@ainow_aiさんから

【参考2】
「2005年、レイ・カーツワイルは著作【The Singularity Is Near】で、「圧倒的な人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担い世界を変革する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年にも訪れる」と説いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(2)人工知能の歴史~その種類について

 17世紀のデカルト「機械論」以来、1900年代後半からのコンピューターの歴史がある。詳細については割愛する。第二次世界大戦中、英国・数学者であるアラン・チューリングが、ナチス・ドイツの暗号機エニグマ解読のため、計算機(のちのコンピューター)を研究していた。
 ジョン・マッカーシーが「人工知能」と命名して以来、様々な経緯を経てきた。コンピューターの進化と流通の早さなど目覚ましいものがある。AIといっても、大きく2種類がある(『デジタル大辞泉』より)。

(1)特化型人工知能(弱いAI)
:特定の用途に特化した人工知能(AI)。画像認識・音声認識・自動運転車・チェス・将棋など、それぞれの用途に応じて専門化した能力をもつもの。

(2)汎用性人工知能(強いAI):特定の用途や目的に限定せず、自律的に思考・学習・判断・行動する人工知能(AI)。まだ研究段階だが、いずれ人間と同等または人間以上の知的能力をもつ人工知能が登場すると考えられている。AGI(artificial general intelligence)

 前者の事例。テレビや周囲の生活で目にしたり、利用し始めている。プロの棋士がAIに負けるなど印象的だった。AI内蔵のアンドロイドが自由に会話する様子も、多様な表情と臨機応変に受け答えている姿が忘れられない。
 後者について、まだ開発途中である。たとえるならば、漫画の鉄腕アトムドラえもんなど、「自我を持ち、人間のように自律的に思考するAI」である。私たちが待望するものであろう。22世紀の未来では実現可能だろうか。AGIを開発するためには、様々な技術革新が必要であることが現状である。いまの「弱いAI」自体では、代謝・成長・自己複製など特性をもつ「生命」のようにはなれないのである。AIの大きな壁である。それらができるようになるためには、「人類の脳」を参考する場合と、しない場合が考えられるという。神経工学との共同研究もある。

【参考3】「弱いAI、強いAI、特化型人工知能、汎用人工知能」 #AIZINE #AI #人工知能
https://aizine.ai/glossary-agi-na/

【参考4】“AIアンドロイド徹子さん”も最先端ロボット展示会(18/10/17) https://youtu.be/CpejKBaCeN8 @YouTubeさんから
https://youtu.be/CpejKBaCeN8

【参考5】【衝撃】AIロボットが言った恐ろしい言動4選
  https://youtu.be/328wKYcX-w4 @YouTubeさんから

【参考6】アンドロイドル「U」デビュー 
https://youtu.be/M96Y_YqEbE0 @YouTubeさんから 大阪大学石黒研究室

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(3)人工知能と量子コンピューター

 本稿で、とくに強調したのが、(3)と(4)の部分である。長文になること、お許しいただきたい。新しいコンピューターの開発とともに、科学と哲学との問題について考察することが不可欠である。AIがまず目指すのは、人間がもっている知能、「脳というシステム」ではないかという側面もある。神経ニューロンなど脳科学の研究も基礎研究も必要である。
 わたしの妄想の範疇である。《人間が作った初期型の汎用性AIを、生命が有性生殖するがごとく、別の分野で発展した何種類ものAIが組み合わされて、さらに高度なAIを作る》ということを繰り返すなかで、進化して生まれてくる可能性にかけるのはどうだろうか。
 そのためにも、計算機(コンピューター)の進化が必要である。現在、世界最高水準のスーパーコンピューター「京」も古くなった。


 各国のコンピューター開発戦争も激しい。従来の2進法(0と1から構成)の古典的コンピューターではなく、0でも1でもない重なり合い状態も認識する「量子コンピューター」である。

【参考7】「量子コンピューター」 東大が新技術|サイカルジャーナル|NHKオンライン 離れた物質の間で情報を瞬時に移動させる「量子テレポーテーション」と呼ばれる技術を利用して、新型の量子コンピューターの開発に取り組んでいる東京大学の研究チームが心臓部となる回路を開発したと発表しました。世界的に開発競争が進む量子コンピューターの小型化などが期待できる新技術として注目される。
https://www.nhk.or.jp/d-navi/sci_cul/2019/05/news/news_190518/

【参考8】量子コンピューター小型・実用化へ前進 東大チーム、心臓部を開発 - ITmedia NEWS
 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/20/news050.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(4)人工知能と科学哲学~人間を超えるものを創る

 科学は突き詰めると、倫理観や宗教観とも深くかかわる問題が噴出してくる、科学哲学の問題である。デカルトの地動説がごとく、人知を超えた高度な科学技術には、脅威を頂かざるを得ないのも共感できる。
 AIの出現は、今まで人間がしていた作業「仕事」を奪い、労働者は職を失うのではないか、という恐れもある。そもそも、人間のように自律した判断・行動できる高度に発達したAGIには「権利」があるのか、それとも「道具」として奴隷のような扱いを受けるのか。AGIの開発とともに、事前に考えて、社会的なトラブルを解消すべきだろう。
 科学者は純粋に研究し、真理を求め続ける。その真理がいつのまにか、政治利用、具体的にいえば、戦争の兵器としての利用されてきた歴史がある。わたしにとって、2011年3月11日は、人生を変えた一日となった。原子炉における核融合は、電力も生み出すが、甚大な放射能汚染の危険性もある。いままでの歴史をひもとけば、科学技術の進展は軍事研究と表裏一体であった。第2、第3のノーベル賞を作りたくない。同賞とは「科学技術が人命にとって贖罪の賞」であるから。AIはロボット兵団のような使用も十分ありうる。となれば、AGIには善悪の感情を付与すべきではないだろうか。間違った人間に従わない意思を設けることもできるだろう。
 人知を超えたもの、それを「神」と呼ぶ思想も出てきそうである。かつて人間が解決できない難問や自然現象を解決できる、唯一の存在は「神」であった。超古代文明など、宇宙人が地球にもたらしたという古代宇宙飛行士説などもある。SF文学では格好のテーマである、高度に人工知能が発達した近未来。それらが社会に浸透して、ロボットが「自我」に目覚める。核戦争になり、人間と対立する作品などある。

 まず、陰謀論を批判したい。物事の仕組みや論理など考えず、闇雲に「陰謀説」に埋没すると、思考停止状態に陥る。科学を長く学んできたものでも、陰謀論の犠牲者になる。
 人類とAIとの共生について主張したい。人類は「火」扱い、道具を作ることで、他の生物とは違う進化をしてきた。22世紀における人類の進化には、AIは必須であろう。道具としてか、それとも「AGIの権利を認めた」うえで『ロボット憲章』を制定する必要があるかもしれない。

 視点を換える。「AIが人間を進化させる」という方向性もあるだろう。生物としての人類には、寿命がある。脳の記憶をデータ化し、身体を義体化すれば、「不老不死の実現」が可能になるかもしれない。そうすれば、「宇宙」といった不可思議な底知れない深い次元を調査研究して進出できる可能性が高まるだろう。人類が地球を離れて、太陽系外惑星移住する時代には、AIは必須であろう。AI研究こそが、人類にとって生命線になる未来が待っているのではないだろうか。<つづく>


【参考9】
①「汎用の分散型AIが、30年後の「世界」をつくる:ベン・ゲーツェル×石井敦 対談(前編)」 @wired_jp 
https://wired.jp/2019/06/15/ben-goertzel-atsushi-ishii-1/

➁「人間はやがて「分散型AIネットワーク」の一部になる:ベン・ゲーツェル×石井敦 対談(中編)」 @wired_jp 
https://wired.jp/2019/06/16/ben-goertzel-atsushi-ishii-2/

➂「未来の地球は、マシンによって管理された“国立公園”になる?:ベン・ゲーツェル×石井敦 対談(後編)」 @wired_jp 
https://wired.jp/2019/06/17/ben-goertzel-atsushi-ishii-3/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?