ビジネスクラスに乗った話~1
「海外行くなんて金持ちー」と同僚たちに言われたこともある。
いやいや、お昼は自作お弁当、缶ドリンクなんか買わない。
帰りにお茶に行ったり、飲みに行ったりも一切しなかった。
服とかカバンもほとんど買わない。
同僚を見ていると、彼らより月1万円は節約できていると思う。
それを2年間で約24万円以上。
そのお金で海外へ行っている感じだった。
とはいえ、リッチな旅行ではない。
航空券はできるだけ安いものを選んできた。
もちろんエコノミー。
そんな私も、ルフトハンザでビジネスクラスに乗ったことがある。
オーバーブッキングによるグレードアップ。
基本的に2時間以上前に空港集合らしい。
私は、一人の時は、約1時間前に行く。
搭乗口に20分前にいれば良いわけだから、十分だと思っていた。
どこへ行くときだったか忘れたが、ちょっとバスが遅れて、50分前に空港に到着した。
チェックインカウンターへ行くと、係員が申し訳なさそうに言う。
「大変申し訳ございませんが、ご予約いただいた席が満席でして。。」
は??どういう意味??
「はぁ・・・」
「ですので、グレードの違うお席にさせて頂いてよろしいでしょうか?お席の場所は選べませんが」
全然意味がわからなかった。
ま、いいや、乗れるなら。
行くしかないんだし。
それが、ビジネスクラスであることを、乗るときに知った。
大きなシート。1人ずつモニターが付いている。
今のように180度フラットではないが、かなりのリクライニングにフットレストもある。
当時、エコノミーは、ところどころ天井からぶら下がるモニターをみんなで見て、見たくないものが流れていると寝るしかなかった。
それがずっと映画見放題・・・w
小汚いって程の服装でもなかったが、私はビジネスクラスの乗客として、明らかにニセモノ。
忍者のように(って忍者見たことないけど)、貧乏気配を消すことに専念した。
有難いことに、エコノミーからグレードアップした人間でも、飲食は同じであった。
食べ物だけはエコノミーというエアラインもあるらしい。
でも、それをしないのは、高いお金を払っている乗客に、「ラッキーで乗っている浮かれた人がいますよ」と知らせないためだとも聞いた。
当時は、安宿やユースホステルに泊まることが多かったので、食事の時に出るプラスチックのコップや、フォークを必ずもらっていた。
旅行中、何かと使える。部屋にコップさえついていない宿もあるのだ。
でも、ビジネスクラスで出される食器は、すべて高級。
水でさえおしゃれなワイングラスみたいなもので出た。
カトラリーもシルバーだった。これはまさか持ちだせない。
でも
「エコノミーで出すプラスチックコップ下さい」
とも言えない。
食事も、前菜からメイン、デザート、食後のワインチーズまで、レストランのように順番に出てくるのだ。
私も、アルコール以外は粛々と頂いた。
間違っても、キャッキャしてはならない。そこは心得ていた。
フルーツだって、チョコレートだって、銀盆に乗って、「どれに致しますか?」のスタイルだ。
フルーツはもちろん生。フレッシューー!
チョコはゴディバではなかったと思うが、そういう系。
メロンも皮と身の間に途中までナイフが入り、皮がくるんとさせてある。
途中でトイレに行くときに、ちらっとカーテンからエコノミー席が見えた。
ものすごい密な感じで、詰めて座っている。
本来なら私もあちらである。
同じ飛行機、同じ空間の中に、大きな隔たりがある。
倍以上のお金を払うから当然だな。
無事着陸して、飛行機から降りた。
エコノミーの人たちと合流し、混ざって歩く。
もうどの人がどこに乗っていたかなどはわからない。
まさか私が、さっきまでビジネスにいたとは誰も夢にも思わないのだ。
これからいつもの貧乏旅行が始まるのだ。
いつものモードに戻さねば。
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グレードアップするのは、
遅めに空港に来た人の中で、
〇1人旅の人
〇過去の搭乗履歴
などを勘案して決めるそうです。(地上勤務経験者談)
今は、あらかじめ座席も予約できるので、そういうことも少ないかもしれません。
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