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すみだのチンアナゴ顔見せ祭りから展示の奥深さについて再認識した件について

すみだ水族館が4/28に出してきた企画「チンアナゴ顔見せ祭り!」

休館で人間の姿がいなくなってしまったことで、チンアナゴが飼育員さん(人間)の姿を見ると砂に潜るようになってしまったとのこと。もともとチンアナゴは警戒心が強くて生息地付近でダイビングしてもなかなかニョキニョキ砂から出てる姿を見ることは難しいくらいなんですね。ある意味野生に戻ってしまったということかな、と。

んで、この企画に反応した人たちの中に「チンアナゴって砂から出てる姿が普通じゃないんだ」とか「警戒心が強いとか信じられない」とかいうツイートが目に入って。うーん、と思ったわけです。

チンアナゴはずいぶん昔からいろんな水族館に展示されていたけど、今のように一般の人にまで知名度を上げてきたのはすみだ水族館の影響も大きいかなと思います。どこまでも続くチンアナゴ畑か?とも見えるすみだ水族館のチンアナゴ水槽は私も最初に見たときは感動しました。

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もともとの怖がりの魚で近くに魚が通ったり、水槽の外に人影が動いたくらいでサッと引っ込んでしまうようなチンアナゴです。

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でもこれではチンアナゴのことを知ってもらえないですよね。なので、展示する水族館では水槽にマジックミラー効果のあるシートを貼ってみたり、マジックミラーまでいかなくても少しだけ外の様子が見えにくくなるシートを貼ってみたり、水槽を二重にしてみたり、様々な工夫をこらし、なんとかしてチンアナゴをニョキニョキした姿で見せたいと試行錯誤してくれているんですね。

今では「チンアナゴ」といえば「あのにょろにょろでしょ?」とすぐに通じるくらい有名になりました。それは穴から出た状態のチンアナゴを展示してきた水族館の功績ですよね。でも、にょろにょろは知ってても怖がりな魚であることは知られていないのだとしたら。

水族館は生き物の姿を見てもらうことはもちろんのこと、できればその生き物がどんな生き物なのか知ってもらうことも重要な役割だと思っていて。

こんなことを考えるようになったキッカケを今でも覚えています。

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基本的に訪問した水族館のことは悪くは言いません。この時も純粋に「全然カエルが見つけられない展示だ」といったことをブログに書いたのですよね。そういう展示も面白いね!ってね。

したらね、某北の大地にある水族館の館長さんがツイッターで「生き物の姿を見せない展示に意味はない」ということを言われたのですね。受け身でただ目の前に用意された展示を楽しむだけだった自分に「展示する側の意図を読む」目線を意識づけてくれた言葉でした。

水族館でも動物園でも博物館でも科学館でも「展示する」難しさ、奥の深さをそれ以来ずーっと考えながら見るようになりました。何を目指してこの展示にしているのか考えながら見るのは面白いですよ。オススメです。

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