ずいぶん前に一度だけディズニーシーに行ったことがあるのだがアトラクションのクライマックスでミッキーマウスが「みんなの力で世界がひとつになったよ」と叫んでいて（まじかよ）と思った。

去年、紅白を見ていて浜辺美波と橋本環奈が歌う壮絶なディズニーのパートがあったが、そのエンディングでも「世界はせまい　世界は同じ　世界はまるい　ただひとつ」と大勢で合唱していて（このご時世に大丈夫かよ）と思った。

世界は複雑に入り組んだ形をしているはずだし、多様性の時代に「世界はただひとつ」というテーゼはヤバい。

羊文学「光るとき」が正解だ。

シューゲイズなギターとドライブの効いたリズム隊。オルタナ偏差値高めの楽曲でJ-POPのクオリティを上げる3ピース・バンド。

塩塚モエカの歌声は大好きな誰かの声に似ている。誰だろう。‎橋本絵莉子？　土岐麻子？　Aimer？　原田郁子？　トルネード竜巻の名嘉真祈子？　佐藤千明？　片岡知子？　paris matchのミズノマリ？　ヨルシカのsuis？　LOVE PSYCHEDELICOのKUMI？　いろんな人の声に似ている気がするけど誰とも違う不思議。思い出せそうで出てこない。これが汎用性？　親和性？　痴呆症？　それはともかく。

「何回だって言うよ　世界は美しいよ　君がそれを諦めないからだよ」

このサビの一節がポジティブな個人主義を感じさせる。世界はひとつではない。美しくあることを諦めない者の数だけある。

「世界」じゃなくて「地球」なら丸くて一個だから、ディズニーは「イッツ・ア・スモール・ワールド」の和訳詞を早めに変更しておいたほうがよいだろう。