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林檎ちゃん、ギンガ鉄道に乗る「ガチ恋粘着獣/星来」コミックス10巻発売記念感想

※ガチ恋粘着獣をドラマで初めて知った方、この記事は原作のだいぶ先の話の感想をネタバレ全開で書いていますので、ドラマが終わるまで待つか、原作を読んでからでお願いします。


 ガチ恋粘着獣ギンガ編が始まったのは6巻途中から。
 現在コミックスは10巻まで発売されているので、とうとうスバル編・コスモ編を越えるボリュームになってきました。
 今までも何回かこの盛り上がり方は流石にクライマックスでしょ~と思ったらさらに続きがあって感想を書くタイミングを逃していたので、10巻発売記念も兼ねて今までの自分の考えをまとめておこうと思います。
 今回はギンガ編主要キャラクターの一人、黒鐘林檎ちゃん中心です。
 相変わらずネタバレまみれなので、コミックス10巻まで読み終わった上でお願いします。


↓ スバル編の感想はこちら ↓

↓ コスモ編の感想はこちら ↓




「New Tuberと付き合うのはやばくない!? 将来が不安すぎるでしょ!」

ガチ恋粘着獣 7巻42話

 ギンガ編で初めて現れた彼氏持ちの獣、黒鐘林檎ちゃん。
 ギンガ編は「銀河鉄道の夜」がモチーフになっていると思われるので、じゃあ林檎ちゃんは誰にあたるのかというと、カムパネルラだろうと考えています。
 カムパネルラ=イタリア語で鐘という意味なので、黒いカムパネルラで黒鐘かなあと。
 アカウントIDがわりと直球で『Campanelllll』ですね。(44話等)

 そうするとジョバンニは誰なのかというと、彼氏の陸人くんかな?と今のところは考えています。最終的にジョバンニは陸に戻るので。
 7巻の時点ではまだ陸人くんといちゃつきながら笑っていた林檎ちゃん。
 ガチ恋粘着獣は前の話に対するカウンターが入る構成だと私は考えているので、林檎ちゃんが彼氏持ちとして登場したのはコスモくんと琴乃ちゃんの結末がそうだったからだと思っています。

 7巻の特典イラストではギンガくんを囲む席につかず顔が描かれなかった彼女が、9巻の特典イラストでは着席して余裕の笑みを浮かべている。
 この変化の描き方が素晴らしかったので、自分の考えを纏める為にも多少前後しますが、順を追ってまとめていこうと思います。

「あのね推し(ギンガ)は推しなの! 彼氏(陸人)への好きとは違うもん」

ガチ恋粘着獣 7巻42話

 そう断言していた林檎ちゃんが数字の1から踏み出すきっかけになったのは、45話での病み配信中のギンガくんに「がんばって」のコメントが送れなかったこと。
 陸人くんとの映画デート中にも急遽始まったギンガくんの配信を観ることを優先してしまい、陸人くんを怒らせてしまうことになりました。

 52話では仲のいい友だちのとの食事中にもKちゃんの動画が上がり、「顔こわ」と言われてしまうような形相に。
 続く53話はギンガ編を象徴するようなシーンの詰め合わせだと思っているのですが、何度読んでも演出がすごくて。
 窓の外には夜空が広がる電車に、彼女のモチーフアニマルであるワニ柄っぽい服を着てKちゃんの動画を流しながらギンガくんへの気持ちを再認識する彼女。
 アカウント名が「苹果」になるところはゾクッとしました。

再生数1 (名無し) じゃ天上に行く切符は手に入らない

ガチ恋粘着獣 8巻53話

 ガチ恋粘着獣は推しに名前を呼ばれることがすごく意味を持つ作品なので、念押しのように階段を上がる描写まで入り、彼女が数字の1から天上、つまり「ギンガ」へと駆け上がろうとする姿が描かれます。
 美人でスタイルも良くて将来のことも考えている素敵な彼氏がいて職もあって友だちがいて……私は林檎ちゃんのことを人生に何の不満も無かったはずの満たされた女性だと見ていたのですが、そんな女性でさえ会ったこともない男性に傾倒して獣になっていく過程をここまで入念に描いたのがすさまじい。
 人生がつまらないとか、空っぽだったからとか、彼氏とうまくいってないとか、誰にも愛されなかったとか、欠けているものがあったわけじゃないんですよね。林檎ちゃんには全部あったと思うんですよ。それでも狂うときは狂ってしまう、恋の恐ろしさ。

「普通の恋じゃんっ 同じだよっ! 最高だの最低だのねぇよっ ただの恋になっちゃったんだよっ!!」

ガチ恋粘着獣 8巻54話

 スバル編のヒナちゃんにとってのガチ恋は最高の恋。
 コスモ編の琴乃ちゃんにとっては最低の恋。
 そしてギンガ編の林檎ちゃんにとっては普通の恋。
 けれどその後、林檎ちゃんが陸人くんと別れてから取った行動は、とても「普通の恋」の範疇に収まるものではない……と私は思っています。

 58話、とうとう配信で名前を呼んでもらえた林檎ちゃん、天上(銀河)に行く切符を掴んだとばかりの喜びよう。
 けれどこの時点で彼女は陸人くんと別れており、最後に「気持ち悪い女」と言われたことが頭には残っています。
 個人情報の売買にまで手を出してるのを見るとまあ確かに……とは思ってしまう……。
 しかし60話、HZのファンミで遭遇した見知らぬ女の子(小夜ちゃん)を気遣い傷の手当てをしてあげて、泣き出したら励ましてと、林檎ちゃんが本来持っていた面倒見の良い優しい性質もちゃんとまだ持っている。
 私はこの小夜ちゃんとの遭遇シーンが大好きなんですが、今から考えるとこの時点でもう手紙は用意したあったんだなと複雑な気持ちになりますね……。

(※奈緒ちゃん推しの方は10巻はアニメイト特典のリーフレット付き買うのがオススメです)

 64話のGPS入り手紙事件はHZのファンミがわりと平和に終わったと思ったらこう来たかと内心だいぶ盛り上がってしまったのですが、林檎ちゃんがここですぐに宿に突撃するのではなく、長期戦の構えを取っていたのがまたすごい(良くはないですが)

大丈夫大丈夫大丈夫私間違ってない画面の向こうの人間に恋しただけそれだけであとは普通だわおかしくないしここまで頑張ったの色々捨てたけど私の意志と責任であってそれも無駄じゃないからきっと

ガチ恋粘着獣 10巻66話

 配信者に恋して彼氏と別れてファンレターにGPS仕込んで住所特定して結婚資金崩して同じ建物に引っ越ししてくる女、何も大丈夫ではない。

 67話での林檎ちゃんと小夜ちゃんのギスギス会話、60話の優しい世界とはまるで違いすぎて泣けてしまう。仲良くしてぇ!(無理)
 ファンではなく一般人として偶然の出会いを装うのは、コスモ編の琴乃ちゃんと発想自体は同じです。
 でも琴乃ちゃんとコスモくんの出会いのきっかけは、友人の奈緒ちゃんが何気なくとった行動によるものでした。
 だからもうこれで琴乃ちゃんと同じ結末を林檎ちゃんが迎えることはないんだろうなあと思ってますが、どうだろ……。
 林檎ちゃんは陸人くんからもギンガくんからも「気持ち悪い女」と言われたことを本当はものすごく引きずっているので、小夜ちゃんのことを「気持ち悪い女」と罵るんですよね。私は違うから大丈夫、と思いたいので。

 60話での彼女がそうだったように、本来の林檎ちゃんは弱ってる人や傷ついている人を見たら励まそうとする優しい人なんだと思っています。
 だからこそ、いつもと違う弱った姿を見せた配信中のギンガくんに「がんばって」と送りたいと思ったのだから。
 動揺している年下の女の子に追い打ちをかけるようなこと、本当だったらしなかったはず。
 ギンガ編の結末がどうなるにせよ、私は元の優しい林檎ちゃんに戻ってほしいなと願っています。


「想いを伝えるのは勇気のいる事だし、拒否されてムキになるのもよ…よ~くわかるけど、隆文はその勇気とか努力に対するご褒美じゃないよ」

ガチ恋粘着獣 10巻64話

「今度こそ三人で勝ち筋を見出してみようじゃないか」

ガチ恋粘着獣 10巻65話

 現在はチャンネル削除騒動の真っ最中なので、ギンガ編が今後どうなるのか全然わからないのですが、とりあえずコスモくんのこの辺の発言が意味を持ってくるのかなと考えているのでメモ代わりに置いておきます。
 ドラマ化もされ、10巻を超えてさらに進んで行くガチ恋粘着獣。
 小夜ちゃんやミツクリくんの動向も合わせて、今後の展開を楽しみにしています。

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