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ラジオのイベントって何するの #むかいの喋り方

 2023年、私にとって大きな変化だったのは、通勤電車の中でラジオを聴くようになったことだった。
 元々私はもう何年もとあるゲームをやっていたのだが、残念なことに今年サービス終了となってしまい、それがあまりにも受け入れられなくて他の並行してやっていたゲームも手につかなくなってしまったのだ。
 すると何が起きるかというと、通勤時間にやることがなくなってしまった。
 毎朝毎夜ポチポチしてランキングを気にしたり、今月はあといくら課金するかで頭を悩ませる時間がゲームの存在とともに消滅したのだ。
 ソシャゲやってない人は通勤時間に何をしてるんだろう…と虚無感に駆られながらスマホを弄っていると、radikoアプリが入っていることに気がついた。詳細は忘れたが、いつかの私がDLしていたらしい。

 そこでふと、元々好きでよく観ているゴッドタンのプロデューサーである佐久間宣行さんが、オールナイトニッポンをやっていることを思い出した。
 夜は早めに寝たいのでリアルタイムで深夜に聴くのは難しいが、radikoでならいつでも聴けるじゃんと思い立ち、再生してみたら、朝の電車で途中まで聴く→帰りの電車+買い物の時間で残りを聴く、で時間的にちょうどいいことに気づいた。
 聞き始めるとラジオ番組って面白かった。
 テレビプロデューサーの佐久間さんが番組制作の裏側を話してくれるのも面白いのだが、お名前は忘れてしまったが、歯ブラシは固い方がカッコイイと思っていたというメール職人さんの投稿でめちゃくちゃ笑ってしまい、電車の中で大変なことになった。
 こんなに面白いなら他の番組も聞こうという気分になり、おすすめ欄に知っている芸能人の名前が現れると一旦フォローし何週か聴いてみて、声のトーンやトークの内容が自分には合わないな〜と感じたらフォローを外すというのを繰り返した。
 その結果フォロー欄に残り、佐久間さんの番組に続いて毎週の楽しみになったのが、パンサー向井慧さんのCBCラジオ番組「#むかいの喋り方」だった。


 元々パンサー向井さんが名古屋熱田区出身で私の出身地にも近いことは母がたまに話していたので知っていたのだが、CBCラジオなのもあって名古屋の話がよく出てくるのも嬉しかった。
 高すぎず低すぎず、声のトーンがちょうどいい。
 それに話題も向井さん自身に関すること、売れっ子なのにままならない人生を送っている話が多いのも面白かった。
 自虐的な話が多いのはそういうトークが得意だからだと思っていたが、ある日向井さんがTwitter(現X)を見るのを止めた話を聞いて考えが変わった。
 Twitterの仕様が変わったのもあり、おすすめ欄に色んな人の正義が溢れたツイートが並ぶようになった。それに引きずられたくないから見るのを止めるようになった。自分はアンパンマンのように、自分の身を切って誰かを笑顔にする存在でいたい。
 自分の記憶力にあまり自信がないので細かい部分は違うかもしれないが、大まかにはこんなことを言っている回があったのだ。
 向井さんのトークに自虐が多いのは、ちゃんと理由があったのだ。
 自分の情けなかった話、うまくいかなかった仕事の話を面白く喋ることで、ラジオを通して誰かを笑顔にすることが、芸人パンサー向井の選んだ道なのだとようやく理解して、それからは毎週聴くようになった。

 例えばハライチ岩井さんがご結婚された際、お相手の方との年齢が大きく離れていることに対して、まさしく世間では正義の嵐が巻き起こっていた最中。
 向井さんはこのむかいの喋り方において、オードリーさんとハライチさんの番組「オドハラ」に出演し、ハライチ岩井さんが向井さんのことが大好きというていでのロケがあったことを話し、結婚の報道があった今、自分の存在がいかに道化だったかを面白おかしくリスナーに語った。
 それはまさに、自分の身を切ってリスナーに笑いを提供してくれるアンパンマンの姿だった。
 申し訳ないがめちゃくちゃ笑った。

 また色々な収録現場で自分が舐められているんじゃないかと感じることが重なった時などには、Aqua Timezさんの「決意の朝に」を番組で流しながら「辛いとき辛いと言えたらいいのになあ!!」と自身も熱唱しはじめたので私は電車の中で肩を震わせて笑い声を漏らしてしまい、左右の人に不審な目でチラ見されたりもした。
 電車の中で面白いラジオを聴くのは、なかなか危険な道かもしれない。

 そんな向井さんが2023年12月16日、ご自身の38才の誕生日に、一宮市で「むかいの集い方」というイベントをやるという。
 最初にそのお知らせを聴いた時は、ラジオのイベントって何をするんだろう?と不思議だった。公開収録ならまだ分かるが、そういうわけではないらしい。
 すでに二回開催されており、今回で三回目。
 イベントではゲーム制作をしているリスナーの方がこのイベントのためにゲームを提供してくれるらしいこと、シークレットゲストとしてライスの関町さんがいらっしゃるのが恒例らしい、ということは把握した。
 シークレットゲストでライスの関町さんが来るのが恒例らしい。シークレットの意味。

 一宮市なら日帰りで行けるし、今年から聴き始めたドドド新規だが参加してみたい。
 先行チケット抽選に申し込んでみたが見事に外れ、一般販売でなんとか一枚取れた。
 うちわやプレゼントはいらないのでグッズを買って欲しいと番組内で仰っていたので、物販チケットも予約した。
 会場は一宮市民会館。久しぶりに名鉄電車に乗り、知らない街の交通網わけわかんねえなあ〜と悩みながらどうにかバスに乗った。
 物販は予約制だったのもありものすごくスムーズで、前後左右の人たちで自分の整理番号を伝え合い、並ぶ位置を調整するという何とも平和な世界だった。
 このシステム、色んな現場で取り入れてほしい。

ガチャガチャも回しました

 スムーズ過ぎて買いたいグッズはあっという間に買えてしまったので、開場までの時間を持て余すことになった。
 近くにテラスウォーク一宮という大きなショッピングセンターがあることは調べてあったので、少し歩いてその中にあるサイゼリヤで早めの夕食をとることにした。

若鶏のディアボラ風めちゃうま

 サイゼリヤが歩いて行ける距離にある現場、ありがたすぎる。
 あとこの日は12月だというのにコートが邪魔になるほど暑くて、喉がカラカラだったのでドリンクバーにだいぶ助けられました。ありがとうサイゼ。
 店員さんたちの接客もめちゃくちゃ良くて嬉しかった。

 食事と休憩を済ませて再び一宮市民会館へ向かうと、そこはすでにリスナーの入場列が形成されていた。
 物販でもそうだったが、老若男女、幅広い客層。
 そもそも番組にメールを送っている方が、私が覚えている限り上は70代、下は年齢がまだ1桁の子もいたくらいなので、本当にあらゆる性別世代の人がむかいの喋り方を聴いているんだ!とようやく実感が湧いてきた。そして自分もその一人になっている。
 久しぶりに特定のコンテンツの数字の1になっているという実感が妙に嬉しかった。

 列に並んで自分の席に座ると、開演前の会場では今まで番組を彩ってきた楽曲が流れていた。
 もちろんAqua Timezさんの「決意の朝に」も流れ、さざなみのような笑い声が会場に広がった。
 私はあの回面白かったよね〜!!と心の中で会場のリスナーたちとハイタッチしていた。もちろん会場では誰とも喋ってなどいない。

 やがて音楽も止まりイベントが始まると、オープニング映像が流れ、上下黒の服に身を包んだ向井さんが登場した。
 そんなにステージに近い席ではなかったので、私の席から見る向井さんはステージの壁にかけられていた黒い布とほぼ一体化しており、登場しただけでちょっと面白かった。
 まず向井さんからこのイベントのルール説明があり、自分は生活のほぼ9割をラジオで喋っているが、それでも話せない1割があり、このイベントはそれを話す場だと言っていた。
 どんな内容を話したかは口外禁止、SNSで内容を匂わせるのも禁止、会場を出た瞬間に話したことは忘れて下さいとのことだったので、それで過去イベントの内容を調べても出てこなかったのかあとようやく納得した。
 しかし約二時間のトークはめちゃくちゃ面白くて会場は爆笑の渦に包まれ、これ誰にも話せないしレポにも残せないのか〜!!と大変辛い気持ちになった。
 すごいもので会場を一歩出た瞬間に詳しい内容は一切忘れたが、大笑いしたことはかろうじて覚えている。
 あと向井さんのトークが盛り上がりすぎて、シークレットゲストの関町さんはラスト20分での登場だった。リスナーの方が作ったゲームの説明をしながら、すごい巻きで喋ってた。

 あっという間に時間が過ぎて、イベントは終わった。
 会場を出たリスナーたちは最寄りのバス停を目指して歩き始めたが、このまま着いていくとバスにはなかなか乗れないなと察し、私は心の中で彼らに別れを告げ、もう一度ショッピングセンターまで歩いた。
 飲み物を買って休憩し、そろそろ混雑が解消されたかなとバス停に向かうと、どうやら乗客の多さに気づいたバス会社が臨時便を出してくれていたようで、時刻表とは違うタイミングで一宮駅に向かうバスが来ていた。
 咄嗟に飛び乗って待ち時間ゼロでバスに乗ることが出来た。ありがとうバス会社。
 バスの窓ガラス越しに知らない街の夜景を眺めながら、今年の締めになるイベントがむかいの集い方で良かったなあと考えていた。

 内容は一切忘れましたが、初めて参加したラジオのイベント、とても楽しかったです。

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