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【生まれてきてくれてありがとう】エロビデオの音が出ない時に医者を呼ばなきゃいけない夜を越えて

皆さん不妊治療についてどのような印象を持つでしょうか??

僕には子どもがいます。
顕微授精と言う方法で授かった子です。
(体外受精のもっとすごいやつ!)

お金も時間も使い、神経をすり減らしながら20代を駆け抜け30歳でできた子です。

思い起こせば辛い思い出ばかり。
夫婦でよく泣いたものです。

しかし、そんな中でどうしても忘れられない出来事が3つあるのです。

それは

「キンタマの単位ってなに?」
「音の出ないエロビデオ」
「副院長はフランス人が好き」

の3本です。

一体僕はコレからなんの話をしようとしているのだろう。

キナリ杯の賞金に目が眩み、今まで本当に仲いい友人にも話さなかった「まるでシモネタみたいなシモネタ」をnoteに書きしるそうとしているのだ。

しかも、仮にこの文章が採用されたら僕の「内容は学術的だからシモネタっぽくない単なるシモネタ」を拡散される可能性があるのだ。

だが、金は欲しいので書いてみることにした。

≪5000文字の長文だよ≫

【まえがき】

不妊治療の中で起きた面白い事件3つを書くにあたり、少しだけ僕の事を知ってほしい。

こんにちは、かめぴょん(男性)と申します。
不妊治療はとにかく辛い事が多いので、これをキッカケに不妊治療の事を知ってもらいたいし、治療中の人にクスッとひと笑い届けられればと思い筆を取りました。

どうですか?
数行前に「金は欲しいので書いてみることにした」と書いたやつとは思えない挨拶でしょう?

しかし、不妊治療と言うのは本当に辛いのです。
出口の見えないトンネルを一人で進むようなものです。

なぜ一人かというと、不妊治療はいつも女性だけの戦いなのです。

不妊治療で最も辛いのは「パートナー(旦那)の協力が得られない」と言うことです。

旦那は「不妊治療の高額な費用を承認しているだけで俺は他所の男より優しいのだ!」と考えているから、そもそも費用面以外の協力はしないのです。

僕の場合は自分にも問題があったため二人で協力しながら出産までたどり着けたので、女性のその辛さを目の前で共有することが出来ました。

そこで感じたのは「いやー、これ一人でやったら夫婦関係悪くなるわぁ」です。

せっかく高い金出して二人の愛の結晶を作ろうとしているのに、出来上がるのは旦那との憎悪の結晶というまがまがしい存在が誕生してしまう。

実際に不妊治療クリニックにあるフリーノートには主に「義理の父母の悪口」と「旦那への不満」DEATH NOTEさながら記されています。

そこで今回は不妊治療の中で見つけたおもしろ話をお伝えしますので、男性の目にも止まって理解が深まればと思います。

【キンタマの単位】

男性の皆様、女性の皆様「キンタマの単位」ってご存知ですか??

女性は知らないかもしれませんが、男には睾丸が2個ついているんです。
単位は「個」です。

ですが、これら数を示す単位ですが、その大きさを示す単位はご存知でしょうか??

僕は不妊治療をすすめる中である検査を受けた。
シンプルに「僕(男性)にも原因はないか?」というのを調べるものです。

その検査方法というのは

「触診(外観に異常がないか)」
「尿検査」
「血液検査」
「精液検査」

だと思っていました。

内容としてはおおよそあっています。
だが、この触診が僕の想像を超えてきたのです。

 〈問診票〉

と、その前に問診票にも驚きの記載がありました。

不妊治療の問診票なので、とてもセンシティブな内容を聞かれます、オブラートに包むと「月に何回くらいしますか?」とか「行為に不安はありますか?」とかです。
これをオブラートなしにドストレートで聞かれます。

合コンで聞いたらドン引きされるようなドシモネタです。

その最後の質問に「奥様の名前は?」というのがあったのです。

なんでしょうか、この質問は?
間違ったらどうなるんでしようか?
それとも元カノをあぶり出す罠でしょうか??

それとも先生が「いい名前ですね」とでも言うつもりなのでしょうか?

それとも『君の名は。』みたいに、ここに記しておかないと治療中に忘れてしまうのだろうか?

僕が恐る恐る自分の妻の名前を履歴書を書くより慎重に記入をし提出した。

 〈診察開始〉

さて、改めて触診についてですが、おじさん先生が僕のスティックをいろんな触り方をしてくるのです。
更には反対の手で下腹部をグッと押したりしてきます。

まるでストリートファイターⅡでもやっているかのように軽やかに僕のジョイスティックを操作するのです。

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(画像:アケコン PXN 0082 ジョイスティックより引用)

僕は僕のジョイスティックが昇竜拳状態にならないようにするのが必死だった。

そして何より1番嫌なのがその様を女性看護師が記録しているということです。

安っぽいAVなら、その看護師に「どうしたの?恥ずかしいの?」と聞かれるシチュエーションだ。

ダメだ!

今そんなことを想像したら僕のジョイスティックが波動拳を出してしまう可能性がある。

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(画像:SFC「ストリートファイターⅡ」より引用)

僕は必死に昔学校でいじめられた事や、ワンピースのチョッパーの話を思い出しながら悲しみに暮れることにした。

 〈地獄の前立腺検査〉

それから地獄はまだ続いたのだ。
前立腺検査です。
聞いたことあると思いますが、おしりに指を突っ込まれてグリグリされるやつです。

これは避けては通れないのです。
以前にも受けたことがあるので、覚悟はできていました。

一回目は衝撃的でしたが「歯医者に言ったら口を開けるしかない」と同じルールで「前立腺検査するなら差し出すしかない」という状況です。

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(画像:講談社「行け!稲中卓球部」より引用)

が、今回枕元に変な道具が置いてあるのです。

コレです。

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え?
入れるの??

何なんだこの病院は??
僕は大学病院に来ているはずだ。

そんな恐怖のズンドコに陥れられた僕はガクガク震えていたら、それはオーキドメーターという器具で、それを睾丸にあてがって大きさを比較して腫れていないかをチェックするものだった。

僕は自分のタマちゃんにオーキドメーターを当てられて「○号です」と先生が言ったのです。

数字は聞き取れなかったな、女性看護師は「はい」と言ってそれをカルテに書き込んでいた。

僕は思った…

キンタマのサイズって号なんだ!!

【音の出ないエロビデオ】

3話仕立てにしましたが、まさか第1話でこんな文量になるとは思ってもみませんでした。

「タマちゃんのサイズって号なんだよ」って話に何でこんなに文字数を使っているのだろうか。

まぁいいです、引き続き書いていきます。
(頑張って読んでね!)

皆様は「採精室(さいせいしつ)」と言うのはご存知でしょうか?

そうです。
波動拳を出さなければいけない部屋です。

大きい病院には、そのような部屋が用意されているのです。
(小さいクリニックだと家で波動拳して持ってきてねとなります)

そこはどんな部屋かというと、シャワー室を改造した畳3畳くらいでビデオとテレビが置いてあるだけの部屋です。

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(写真:当時ガラケーで撮影したもの)

いいですか?
ビデオですよ??

当時2009年頃だった思いますが、既に薄型テレビもDVDも普及していました。
#2008年iPhoneが登場した

でもVHSのビデオです。
テレビもブラウン管です。

ブラウン管テレビを知っている人ならわかると思いますが14型です。

え、コレだけ?

僕がアムロ・レイなら「な、なにか武器はないのか?」と探すところだ。

しかし、無いものはないのだ、コレで戦うしかないのだ、あまり長くこもっていたら看護師さんに「ずいぶん楽しんでるわねぇ」と嘲笑されてるかもしれない。

逆に早すぎるとそれはそれで看護師さんに嘲笑されるかもしれないからスピード勝負には出れないのが悩みどころだ。

 〈ひとつめの罠:バブル襲来〉

そして臨戦態勢に入った僕は電源を押し、ヘッドホンをつけて再生ボタンを押したのです。

驚いたことが2つある。

1つは女性の髪型がバブル期に流行っていた触覚と言われる髪型なのだ。

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(画像:「SCawaii!」ハロウィン特集より引用)

もう一度言おう。
2008年の話だ。
細眉も終わっていた頃だ。

 〈二つ目の罠:音の出ないエロビデオ〉

そして、もう一つ驚いたことがある。

音が出ないのだ。
どうにもこうにも音が出ないのだ。

あんまりボリューム上げすぎてイキナリ変な音がでたら目も当てられないから慎重にいろんなことを試した。

しかし、出ないのである。
代わりに涙が出そうになった。

エロビデオの音が出ない代わりに、僕の瞳から涙が出たのだ。

なんて叙述的な詩だろうか。
今なら「涙の数だけ強くなれるよ」で始まるトゥモロウという曲が書けそうな気がした。

そして、畳3畳の部屋で一人トゥモロってる僕はあたりを見渡したのだ。

そうしたところ壁にこんな張り紙があった。

映像機器に不具合があった場合は奥様を通じて医師にお伝えください。

なぜだ…

なぜ奥様を通じなきゃいけないんだ…

確かにここは産婦人科だ。
(不妊治療は産婦人科なんだよ!)

男性がウロチョロしているのはよくないのはよくわかる

だが、しかしだ!!
これを忠実に行った場合

自分の妻に
「すまない…エロビデオの音が出ないんだ…」


無題

と、言う事になる。

一生に一度使うか使わないかの言葉は「僕と結婚してください!」と「医者を呼んでくれ!!」だと僕は考えていて、それをこんなとこで使うわけにはいかないのだ。

だから、僕は諦めてしまった。

そして、僕はありものの中で↓↘→をしたのだ。
(↓↘→は波動拳のコマンド)

 〈磯野家の最後の罠〉

極めつけは最後の提出方法だ。
看護師さんからは
「産婦人科フロアで男性が滅菌カップもって歩いていたら恥ずかしいと思いますのでコチラをお使いください」
と言われて、滅菌カップをカモフラージュするお菓子の缶を渡された。

確かにカップもって産婦人科のフロアは恥ずかしい。

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(写真:当時ガラケーで撮影したもの)

サザエさんだと!!

僕はなんてものに自分のあれを入れなきゃいけないんだ。

まるで踏み絵のような行為だ。
隠れサザエシタンの僕には相当な勇気だ。

しかし、言われるがままにサザエさんの缶に入れてナースセンターに持っていった。

そうすると看護師の方が大きな声で
お疲れ様でーす

バカヤロウ!なんのためのカモフラージュだ!!
産婦人科で男性が「おつかれ」するってひとつしかねぇーじゃねぇか!!

こうして僕は磯野家にタラちゃんより年下(受精前)として仲間入りしたのだ。

【副院長はフランス人がお好き】

最後のエピソードになります。
ここまでこんなにもくだらない話を読んでいただいたことに感謝の言葉もありません。

ありませんから、言いません。

さて、最後はいい話で終わろうと思います。

前回の大学病院では残念ながら子供を授かることができず、専門クリニックに病院を変えました。

そこは費用が爆発的に高くなるのですが、その分与えられる安心感が格段に違うのです。
データや薬や治療方法の説明や患者に対する配慮がまるで違います。

不妊治療とはストレスとの戦いであるため、そこを取り除く事は非常に重要なのです。

そして、病院を変えたものですからまた同じく採精室です。

全然違った…。

まるでホテルのように清潔感のある個室でDVDも薄型テレビもある。

しかも提出方法は終了後部屋においておけば回収してくれるのだ。

磯野家からの離縁だ。

しかし、気になる点が2つあった。

 〈閉ざされたDVDラック〉

1つ目は閉ざされたDVDラックだ。
テレビの下にあるラックに鍵が掛かっていて、その外にリモコンがあるのです。

リモコンはあるので操作はできますが、DVDの取り出しなどが出来ないのです。

盗難防止です。
きっと過去にここのDVDを盗んだ人がいるのでしょう。

不妊治療外来は男性単独で行くことは、ほぼなく夫婦で行きます(もしくは女性単独)。

あなたならどうですか??
一緒に行った旦那が病院でエロDVDを盗んでいたら。

きっと盗んだのは「ゆたか」という名前のやつだと思います。

盗んだDVDで走り出すあの豊です。

つまり何が言いたいかというとDVDが選べないと言うことです。

そのデッキに入っているDVD以外に選択肢がないという事です。

それとは別にラック外に持ち込み用DVDデッキも置いてあるが、そんなこと知らない僕は持ち込んでいるはずもない。

だいたい病院にエロDVDを持っていくなんて発想は持ち合わせてないし、学校でも教えてもらっていない。

全てゆたか君のせいだ。
尾崎君が悪いんだ。

 〈続:壁の貼り紙〉

そして、もう一つ気になることがある。
それは壁の貼り紙だ。
前回とんでもない貼り紙があったせいで壁の貼り紙には細心の注意を払っているのだ。

そこに書かれていたのはこうだ。

〈お知らせ〉
当院では今まで邦画のDVDを用意してきましたが、今後はフランスの美人女優で有名なMARC DORCEL シリーズ、あるいはPRIVATE シリーズを中心に洋画で用意することにしました。一か月に一回の更新をする予定となっております。(中略)DVD担当 副院長 ●●●」

いや、絶対副院長の趣味だろ。

普通に人気日本人にしてくれよ。

まぁいいです。
前回のようなタイムリープしたかのようなVHSに比べれば全く問題ない。

僕はリモコン使い再生ボタンを押した。

そして、テレビ画面に映し出された文字が

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副院長ぉーー!!!

なんだこれ、どういうことだ??
ギニュー特戦隊かなんかか??
人気フランス人どこいった??
故郷(くに)に帰ったのか??

もし、僕がサイヤ人だったらスーパーサイヤ人になるきっかけになったかもしれない。

どうしてこんなDVDが入ってるの?
壁の紙はなんだったの??

様々な思考が頭を駆け巡ったがどうにもならない。

再生を続けた

チャプター画面に飛んだところオムニバス形式であり、8人の熟女から選べる仕組みになっていた。

完敗だよ。

侍でさえ七人って相場が決まってるのに、熟女が8人いたら勝てっこないじゃないか。

〈嗚呼、息子よ〉

あ、ゴメンナサイ。
最後はいい話で終わるって言ったのに、最後までくだらない話でしたね。

実は、僕はこの時の治療が成功して今は妻と子と幸せな生活を手に入れました。

これも、優秀な医療スタッフの皆様と妻の頑張りと、特選された熟女の皆様のおかげです。

そして、男親の夢と言えば「息子と一緒に酒を飲むこと」です。
彼が大きくなったら、グラスを交わしながらこう言おう

なぁ、君にとっての8人の英雄の話をしようか

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