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ご祝儀袋を越えるものを

雑貨小売店のステーショナリー部門の担当になって何度も思うこと。
「ご祝儀袋、ほんま強い!!」

大抵の人は、ノート1冊に500円以上使わない。
5枚組み860円のレターセットを手に取って、「たかっ!」と言って棚に戻す。

雑貨店の中での紙ものの価値は、わたしが思っていたよりずっと低かった。
特に和紙のレターセットや一筆箋は 肩身が狭くて、かわいいイラストの紙ものの10分の1も売れない。

そんな中、ですよ。
1回しか使わへんご祝儀が、めっちゃ売れる。
1つ 480円〜860円くらいするのに、毎日毎シーズン、売れる。
ご祝儀は ほんま強い。

結婚式という日常とは違う特殊な場面で、渡す側のセンスと教養が問われる容れ物。

去年わたしも結婚式に初めて参列する際に、まんまと800円のご祝儀を買ってしまった。

ご祝儀袋に入れて渡さないと非常識だから、必ず買う。
なんとなく他の人とは違う、かわいくて上品でちゃんとしたものに入れたくなる人間の見栄。

和紙のことを知れば知るほど、文化と結びついて使われてきたんだと分かる。
七夕の短冊、年賀状、おみくじ、障子、襖、行灯、とかとか。

その多くが消えゆく中で、ものとしての形だけでなく「ご祝儀袋」という文化と共に残ってきたことが、すごい。

だから、
ご祝儀は和紙業界の希望の星だと思う

紙を残していこうと思ったら、
ものだけじゃなくて 文化ごと残していかなくちゃならない。
そんな視点で、これからの紙ものを作っていけるか。

文化を作るって、壮大ですね。


ただ、このツイートを見て「ご祝儀袋が消えゆく日もそう遠くないかもしれない」と思いました。
そうなったら、いよいよ大変。


※この記事は、前のアカウントで書いていた記事を加筆修正したものです
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#ご祝儀袋 #和紙 #小売店

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