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[5]所属するのか、独立するのか|鳥井弘文×島田舜介「これからどう生きるか」レポート

2018年9月29日に、岡山県で行われた鳥井弘文さんと島田舜介さんによる対談のレポートです。
テーマは、「これからどう生きるか」。

[5]所属するのか、独立するのか

島田 あざっす。そんな褒めていただいたところで、次のテーマに行きましょうか(笑)
オンラインサロンが最近話題になっていて、「コミュニティとかサロンは誰のものか?」って思っていて。僕もえぶりシティっていうオンラインのコミュニティをやっていて。鳥井さんも SUSONOとか Wasei Salon っていうコミュニティを運営されている中で、誰ためのものか意識して設計されてますか?
   
鳥井 意外にそこはあんまり考えてなくて。多分、セオリーで行ったらだめなんですよね。どっちかって言ったら自分が作りたいと思ったものを作るのに徹していて。
SUSONOも、佐々木俊尚さんと松浦弥太郎さんを単純に普段から僕が追っていたんですよ。ここの2つがくっついてできるコミュニティってどんなものだろう?って興味があったので、みなさんをお誘いしてこんなの作ってみませんか、って始まったので。

Wasei Salon も、そこで交流されている内容とか何を大切に思ってるかを知りたかったから、ってところなので。
あんまり意識してないですね。自分のためのもの。


鳥井 あとは、意識してるのはフリーランスで活動している人たちの拠り所になったらいいなと思ってて。
やっぱりどうしても個人で活動すると、メンバー感っていうのは失われてしまうじゃないですか。

でも日々のストレスだったりとか愚痴言いたい場面とかあると思うんです。
それを出せる場所が意外となかったりするんですよね。そうすると、SNSとかでちょっと愚痴っちゃって、それを先方も見てて、、、

島田 ふふふ(笑)

鳥井 で、ちょっと苦い感じになっちゃうってあるあるだと思うんですよ。それすごいもったいないなと思って。

少しでも吐き出せる場所だったり、あるよねそういうこと、って誰かに相談できるような信頼が置ける場所があったらものすごく有益だなとは思うので、そういうものを作りたいなって。
それは愚痴だけじゃなくて、その人が発展していくためにも役立てばいいなと思っていて。

島田 はい。

鳥井 最近コミュニティブームの中で、ここ踏み台にしたらいいよって発想も語られるようになっていて、中の人と繋がれたりとか、似た価値観の人たちが多いから、そこで活動したり認知してもらうことによって自分の活動がより早く、というか より加速しやすい。

やっぱり誰もいないところに餌をまいたってしょうがないし、似たような価値観を持っている人たちに「こんなことやろうと思ってるんです」とか、「何か一緒にできませんかね」とか自分からこう、与えていくっていうことをやっていくと、どんどんどんどん加速度的に自分が成長するスピードも上がるかな。
そういうことをやるためには、結構いい空間だと思うんですね。


島田 コミュニティとかオンラインサロンって、今ブームみたいに言われてますけど、一過性のものなのか。見方によっては「会社と家族の間」とか言われるじゃないですか。サードプレイス的な。
そういう意味で、これからコミュニティみたいなのってこれから存在していくものだと思われますか?

鳥井 会社っていう組織が何のためにあるかって考えたときに、たぶん個人じゃできないことを実現するための機能じゃないですか。
だけど、それが形骸化してきてるというか、朝から晩まで働かなきゃいけないとか、長時間通勤しないといけないとか、やりたくないことが付随してしまっているが故にみなさん独立したいとか、副業し始めたりとか会社組織に囚われないような生き方ができたらいいなという流れがあって

島田 はい。

鳥井 でも自分1人でできることって限界があったりとか、複数人で集まってしかできないこともあって。
そういう時のきっかけというか、そこで旗を上げたときに「あ、おれも混ぜてよ」とか「一緒にやろうよ」とか。あとは自分が混ざれる場にもなるかもしれないし。
そういう場所になっていくのかなーとは思いますね。


島田 じゃあ最後のテーマになるんですけど、「所属するのか、独立するのか」
これからどう生きるかっていう中で、働き方が大部分を占めていて、働き方を考えたときに、所属なのか個人なのかっていうのが大きくて。

あと、Wasei ってすごい面白いチーム編成だなと思っていて。社員の中の1人が地域おこし協力隊として出ていくのを見送ったり独立した後も一緒に仕事をしていたりとか。

鳥井 この質問、最近よく考えるテーマでもあるんですけど。
結局 所属も独立も手段でしかなくて、「じゃあ自分がどうありたいか」から考えた方がいいと思うんですよ。

島田 うんうん。

鳥井 前に大学生から、「休日をテーマに研究してるんです」って話をされて。「 ”休日から考える働き方” ってテーマでインタビューさせてください」って言われてすごく面白いなと思って。

「働く」ってことが大前提にあって、その中でどう働くかって考えちゃうとそれ以上のことって生まれてこないと思うんですけど。その、思考の枠が外れない。

だけど休日から考える働き方だと、休日こんなことしてたいよなー、このためにはこういう働き方すれば 1ヶ月まるまる休日取れるかもなー、お金もこれくらいあれば、意外と過ごしたい休日過ごせるな、とか。
逆方向から考えるのすごく大事だなと思って

島田 はい。

鳥井 休日じゃなくても、どうありたいか、どう生きたいか、みたいなところからすごい嫌なことを考えてみるとか、スーツだけは絶対着たくないとか。
その上で、じゃあ所属しない方がいいよね、独立しない方がいいよね、っていう風に自然とたどり着いて。それはどっちも正解であり、人それぞれだと思うし。

島田 僕は、所属してないかと思いきや感情的には所属してるものもあるんですよ。
例えば Wasei Salon みたいなのって雇用関係じゃないけど所属だし、誰かとプロジェクトやるときに親がいて僕らが手伝う側にいたらそれって会社の関係と特に変わらないから。
自分で所属先を選べるのが、独立してる特権なのかなって思っていて。

鳥井 それも結構グラデーションで。所属もしてるし、独立もしてるし、でも1番大事などんな風に働きたいかの軸は通ってるじゃないですか。

だけど二者択一の問題として捉えたくなるのは、「他人からどう見られるか」っていうのを考えるからだと思うんです。
どうなりたいか、どんな風に見られたいかってことばっかり考えちゃうからこういう問題にたどり着く。

そうじゃなくて、どうありたいかっていう自分の感覚にちゃんと目を向ける。…すいません、ありがちな話にたどり着いちゃって。

島田 いやいや(笑)ありがとうございます。


島田 最後にこれだけ聞きたくて。
僕も自分の好きなことを仕事にしてるので、「好きなことでどうやってやっていくんですか」とか「好きなことってどうやって見つけるんですか」とか聞かれるんですよ。

いつも答えに迷っていて、見つけるものじゃないしなーとか思っていて。だけど鳥井さんのこのブログ(「自分の好きが見つからない人は、好きな人を見つけよう。」)を見て、それもアリなのかなと思って。

鳥井 なるほど。僕も、好きなことがないんですよ。ジャンルとして好きなものがなくて。
なんでこのブログをちゃんと書こうと思ったかっていうと、社内に女性メンバーが多くて、彼女たちは自分の好きなものが明確にあるんですよ。

島田 うんうん。

鳥井 伊佐っていう元編集長だった女性は、旅と写真が大好きで、コラムみたいなの書くのも好きで。立花っていう女性はアートとか音楽が好きで結構カルチャー寄りの話が好きなんですよね。

で、彼女たちの立場からすると『じゃあ鳥井さんは何が好きなんですか?』って話なんですよね。 
「いや、好きなものなんてないよ」って言うと『そんなわけない!じゃ、どんなときに楽しさとか幸せ感じるんですか?』って聞かれて。

みんながやりたいことをやってる空間ができてそれを眺めてるときが楽しい」、って話をしたときに『全然わかんない…!!』『何言ってんの?』みたいな顔されて。

会場 (笑) 

鳥井 絶対に好きなジャンルや ものがあるはずだって彼女たちは思っていて。僕は僕で、そうじゃないものがあるってわかってるんですけど、その概念がない人たちにはわかんないだなって。

「だから あなたたちがやりたいことをやってください」って言うと『え、鳥井さんがやりたいことは なんなんですか?』「や、だからあなたたちがしたいことしてるのが好きなんです!」

島田 はははは(笑)   

鳥井 っていうのが伝わらなかったときにちゃんと考えたのがこのブログなんですね。けっこう僕みたいな人がいるかなって。

この話をしたときにめっちゃケンカして(笑)そのときにちゃんと伝わる方法って何かなーって頭の中で考えて作り出したのがこれだから、そういうのが読んだ人のためになればいいなとは思います。

島田 ありがとうございます(笑)
けっこうテーマ自体が「どう生きるか」って広かったので僕が無理やり絞り込んだ中の話になったんですけど、持ち帰れることがすごく多いかなと思います。


鳥井弘文 × 島田舜介 「これからどう生きるか」レポート
[1]僕らは、どうやってお金を集めるか 
[2]何にお金を払うのか
[3]僕らは、何を作っていくのか
[4]誰と時間を過ごすのか
[5]所属するのか、独立するのか

▽イベントについて、詳しくはこちら。
 島田さんがどんな意図でこのテーマを投げかけられたのかがわかります。


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