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[2]何にお金を払うのか|鳥井弘文×島田舜介「これからどう生きるか」レポート

2018年9月29日に、岡山県で行われた鳥井弘文さんと島田舜介さんによる対談のレポートです。
テーマは、「これからどう生きるか」。

[2]何にお金を払うのか

島田 ちょっと、、、盛り上がりました(笑)
じゃあ次、「どういうものにお金を払いたいか」。鳥井さんがよく「どういうお金の使い方をするか」っていうのを隠居系男子っていうブログで発信されていて。
割と僕の中でも参考にしているというか、「じゃあ僕たちは、そういう人たちに向けて、ものを買ってもらうにはどうすればいいのか」っていう視点で、ものを売る側として勉強させてもらってる身なので。

鳥井 やっぱり、自分が払ったお金がちゃんと応援になってたらいいなーとは思うんですよね。応援って、言ってしまえば「プチ投資」みたいなところもある。
そういう風に、健全に巡ってほしいなと思うので、EVERY DENIMと最初に出会ったときもすぐデニム買わせてもらったんですけど、それは単純に「このデニムがほしい」っていうだけではなくて。

2人の活動が面白いと思ったし、それがより広まっていけばいいなっていう思いがあったから、そこに投資するような気持ちで、2万円するデニムを買ったりとか。


鳥井 あと、服の買い方の話だとサスティナブルとかエシカルとかって最近言われてて、ファストファッションの洋服があまりにも大量にできすぎて、ファッションロスがどれだけあるかっていうのが結構議論されていて。

島田 うんうん。

鳥井 そうは言ったって僕らは、やっぱり洋服着てて「同じ服を10年着る」って けっっこう難儀だと思うんですね。やっぱり飽きてきちゃうし、その服に袖を通した自分に本当にワクワクし続けられるかって言ったら そうじゃない気がしていて。

だから、なるべく自分が服を選ぶときは、10年着れるものであればいいなとは思うんですけど、一方で飽きがきたときでも、誰かがまた新しい気持ちでもらってくれる、買ってくれるっていう二次流通があるものがいいなって思うんです。

島田 うんうん。

鳥井 そうすれば、まあ僕が3年着て、飽きて、あと7年寿命があるかもしれないけれども、それが状態が良くてしかも汎用性があって流行に乗りすぎてるものじゃなければ、誰かが新しい気持ちで手に取ってくれて、新鮮な気持ちで3年着てくれるかもしれない。その後にまた3年着てくれる人がいれば、そうして、約10年。

なんか、そういう循環を作っていった方が、意外とエコとかに繋がるのかなーって僕の中に仮説があるので、それを淡々と実行してます。


島田 応援になればいい、とかこの人たちにお金が巡るようになっていったらいいな っていうのは面白いなと思っていて。そんなお金の使い方をしようと思ったきっかけとかあるんですか?

鳥井 ......きっかけ。
自分がどんなタイミングで、喜びとか幸せみたいな感覚を得られるのかって考えたときに、自分が満足している状態ももちろんいいんですけど。
それ以上に周りの人たちがやりたいこと自己実現していて、それに少しでも加担できたことが嬉しいなと思って。

島田 へー。

鳥井 とか言うと「利他的でいい人ですね」とか言われるんですけど、全然そんなことはなくて。それが1番自分にとって社会に対して「やってやったぜ!」って思えるからなんですよね。

もっと言うと、中指立てた気持ちになれるわけですよ。
ユニクロが繁栄していくことよりも、そこに間を割ってEVERY DENIM っていう若い2人の兄弟がデニムで反旗を翻した!っていう状況を見たらめっちゃ面白いじゃないですか。

そういう状況が見たい!っていう単純にその、この人たちのやってること本当に面白いなと思うことに対してよし、頑張って!って背中を押して、その人たちが本当に自己実現してくれたら、そんなに嬉しいことはない


島田 もの以外も、お金の使い方自体が結構そういう感じなんですか?

鳥井 そうですねー。
例えば僕、ブログも書いてて、自社のウェブメディアも持ってて。ブログの記事がどれだけ多くの人に読まれてもそんなに満足しないというか。

島田 へーえ。

鳥井 あー読まれてるな〜ぐらいで、なんかちょっとこう、冷めてる自分がいるんですよ。
だけど、うちのメンバーが書いた記事がいろんな人から喜ばれてると、それすっっごいめちゃくちゃ嬉しくて。そっちの方がアガるというか、そういう体験をどんどん増やしていきたい。

なので洋服とかも、自分が満たされるよりかは、その人たちが満たされた結果、自分が満たされるみたいな。その流れを作った方が、より多くの人が満足できる。


島田 一方で僕らも、「応援してもらうには?」っていうの考えたりします。今まで応援してくれてた人がコアなファンみたいな形で、ブランドの思想に 共感とか応援してくれてたってところがあるので。

いきなりそこから外れたことはしないだろうし、今までどう応援してきてもらったかっていうのは、これからどう一歩踏み出していくか、どういう行動していくか、に影響しているのかなっていう気はします。

鳥井 「応援したいと思ってるんだよー」って言ったときにこっち(消費者側)の立場を考えたら、足2本しかないから、デニムも1本あったら、足りるんですよね。

島田 (笑)

鳥井 ボロボロになってきたら、また買いたいと思う。
だけど、そうしたら数年に1回しか2人に直接課金できるポイントがないから、なかなか応援できない。
そうなると今やってる えぶりシティみたいなコミュニティがあると、毎月課金できて2人の活動を応援できるじゃないですか。そういう接点を作ってくれると、嬉しいですよね。

島田 なるほど。確かに、僕らもそういう意図もあってやってるところもあって。
デニムしか作ってないから、「私ジーンズ履かないんです」って人になかなか買ってもらえない。「けど、やってることはすごく良いことだと思うし応援したい」みたいな人が、上手く応援できるっていうのは大事だなと思っていて。
そういう人にもちゃんと応援してもらうっていうのは、自分たちがやりたいことをやっていくにあたって大事なんじゃないかな。



鳥井 そうなんですよね。
所有するものを減らしたいっていう感覚は主流になって来ていて、欲しいものではないけれど、その精神とか体現されている思いにはものすごく共感するから、とか応援したいから、っていう気持ちは結構多いと思う。

果たして、消費者は所有する必要があるのか、っていう感覚があって。EVERY DENIM 一切履かないけど、毎月1,000円ずつ課金してるユーザーさんがいても、その人すごい満たされてると思うんですね。

島田 うんうん。

鳥井 ものを買うことで満たされてたのがこれまでの時代だとしたらこれからはその精神にいかに触れて 自分の気持ちが満たされるか、とかそういう風に変わっていくのかなと思いますね。


(次に続きます)

鳥井弘文 × 島田舜介 「これからどう生きるか」レポート
[1]僕らは、どうやってお金を集めるか 
[2]何にお金を払うのか
[3]僕らは、何を作っていくのか
[4]誰と時間を過ごすのか
[5]所属するのか、独立するのか

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