見出し画像

ラトビア中の手仕事が集う「森の民芸市」へ

2019年6月1日。
湖のほとりの森で、ラトビア中の手仕事が集まる民芸市が開かれた。

はじめに

「森の民芸市」と呼ばれるこのマーケットは、ラトビアが夏に向かう6月の最初の週末に毎年開かれる。
年に一度のこの日を楽しみに、寒い冬の間 家の中でものづくりに励む人もいる。

日本では、渋谷智子さんの書籍『おとぎの国を巡る旅・バルト三国へ』を読んで憧れを持たれている方も多いそう。
毎年、民芸市の開催日に合わせてツアーが組まれ、多くの日本人が訪れる。

民芸市の会場に向かうバスの中では「このためだけに日本から来た」と言って、2泊3日目でラトビアとリトアニアに旅行に来られた方にお会いした。

(会場への行き方はこのブログに詳しく書かれているので、割愛します)

ラトビアの首都リガの駅からバスに乗って45分ほど。会場である野外博物館に近づくにつれて渋滞し、路上駐車の車が増えていく。
右手に湖と森が見え、バス停を降りたら会場はすぐそこ。入場チケットを買って人の流れと看板に沿って進むと…

「森の民芸市」の名に相応しい光景が広がり、夢の中にいるよう。
刺繍布、織物、バスケット、革細工、木製品、服、お菓子、パンなどさまざまな種類のお店が並ぶ。

その中から、特に気になったお店やものを記録しておきたい。


バスケット

だいすきなカゴバッグ。編み方や形がさまざまで、おまけに日本で買うよりもかなり安くて、旅の途中じゃなかったら爆買いしてました。

こんなにたくさんのバスケットが並んでいるのを見たことがなかったので、森の中というロケーションと相まって、本気でここは天国なんじゃないかと思います。

藤で編まれたものもよいけれど、個人的には白樺の小物入れが好きです。


カゴ編む人

この民芸市のよいところは、作り手から直接買えること、そこかしこで作っている様子を見たり体験したりできること。

ここでは赤い服の方がカゴを編む手さばきが見事で、じっと見ていると「やってみる?」と言って体験させてくれました。

△真剣。手の動きが速くてブレている

ほかにも、糸を紡ぐところやスプーンを彫るようすも見れました。


もうひとつ、カゴのお店を紹介します。小さなカゴが吊るされているディスプレイに惹かれて近づくと、いろんな話を聞かせてくれました。

△真ん中のカゴの奥に見えるのが作り手のおじさん。民芸市で出会った方の中でも特に素敵な人でした。

彼曰く、「バスケットを作るのは、僕の仕事じゃなくて趣味。寒い冬の間、外に出られないから家でバスケットを編む。だから大量には作れないし、たくさん稼ぐつもりもない。」とのこと。


木のカトラリー

ひとつひとつ違う表情を持った木のカトラリー。作り手の方に話を伺うと、
「これは全部僕が作ったんだよ。博物館の冊子で紹介されたこともある」
と教えてくれました。
写真を撮ってもいい?と尋ねると、ちゃっかり看板の横に移動されました。



布と革

刺繍が施させた布やニット、繊細な織物、革細工の小物やバッグなど、それぞれ10店以上のお店が並んでいました。

1番衝撃的だったのはこのお店です。この鞄を背負ってる人を街で見かけたら三度見しちゃう…。


紙と本

民芸市に行った最大の目的は、「紙を作っている人を見つけて、あわよくばインタビューやワークショップをさせてもらうこと」だったのですが、残念ながら紙ものの出展は1店舗のみ。
本の出展は10店舗ほどでした。

△唯一の紙の出展。植物をふんだんに使って、リサイクルペーパーで作った封筒を装飾している。来週、工房にお邪魔するのでたのしみ…!


フードコート

記事の1番始めに載せたこの写真。

霧が立ち込めているように見えますが、フードコートから漂ってくる煙です。
奥の森を抜けると、

何これ!おいしそう!なものがたくさん。しかも、植物をあしらったディスプレイがかわいいんです。

ビールもいろんな種類があって、好きな人にはたまらないだろうな…。


音楽ステージ

会場の一角に設営されたステージでは、歌や踊りのグループが入れ替わり、常に音楽を楽しめます。

音楽そのものはもちろんのこと衣装も魅力的で、気づけば何時間も眺めていました。
出番を待つ人々の表情も素敵です。緊張した面持ちの人に、花冠の位置を確認する女の子、談笑する人。

もう一ついいなと思ったのは、ステージでの演奏に合わせて、子どもたちが自由に(ステージの前で)踊っていたこと。

年に一度の大きなイベントで、こんなに自由に振る舞い、大人が止めたり注意したりしない、むしろステージで演奏する人がMCで「彼女たちに拍手を」と言うゆるやかさが、心地よいです。

遊びだとしても、踊り始める前には必ずスイッチを入れる彼女。この表情はもう、プロだね。


おわりに

手仕事のもの、音楽、食べ物。
どれもが素敵で、翌日も足を運んで朝から夕方まで民芸市を満喫しました。
この民芸市のためだけに日本から来る人の気持ちがわかりました。できることなら毎年訪れたいと思うほどです。

あまりにも魅了されてしまったので、森の民芸市の何が良かったんだろう?という理由を明日は考えてみたいと思います。

【明日公開】
森の民芸市・何度も訪れたくなるマーケット

こんにちは、kami/(かみひとえ)です。いただいたサポートは、「世界の紙を巡る旅」をまとめた本の出版費用に充てさせていただきます。今年の12月に発売できる…はず…!