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実録・鉄道トラブル(その9)またまた静かな日だった。(2007年9月5日の日記)

今回の泊りも静かな1日だった。
ちょっと涼しくなるとこんなものなのか?
と言っても今日はちょっと暑い。

今朝、キヤ141が車両所から出区する時、また出区線でATSが動作して止まった。
これで3回目。
キヤ141で出区線から出区すると必ずATSで止まる事になっている。
理由は分からないが、間違いない。
分かっていてもATSで止まったら輸送指令から復帰扱いの指示を受けてくださいね。

今日は自分が電話に出たが、復帰扱いの指示は運用指令の権限ではないので
輸送指令に換わってもらい指示してもらいました。


*解説

「またまた」と書いていますが、この日記以前にも静かな日の日記を書いていたためです。その日記はつまらないから取り上げなかったので、「静かな日」が最初に出てくるにもかかわらず「またまた」となっています。

キヤ141が出区時にATSの非常ブレーキが動作して止まると言う事象が、この日で3回目でした。
毎回、色々考えたり、ATSの動作記録を取ってもらったりしましたが、原因が分かりませんでした
ATSの動作記録は3回とも「即時停止信号受信」です。
しかし、入換信号機は間違いなく「進行」現示でした。
ATSの機能試験を実施しても、全く問題なしでした。

この日記を書いた時には原因は分かっていませんでしたが、後日判明しました。

原因は、逆方向の進路に対する入換信号機のATS直下地上子の即時停止信号を受信していたためでした。

ATSの地上子は軌間の進行方向に向かって左側に設置されています。
当然車両のATS車上子は運転席のある車両の床下左側に付いています。
こうする事で逆方向の進路に対する信号を受信しないようになっています。

車上子はちょっと見えにくいですが、左側に付いています。

そして、ほとんどの車両のATS車上子は前後の台車間に設置されています。
しかし、キヤ141のATS車上子は車両の前台車の前に設置されていました。

車上子が車両のオーバーハングにあったため、分岐器を通過する際に車上子が線路の右側に近づいてしまい、逆方向の進路に対する地上子の信号を受信していました。
それならどこの構内でも同じことが発生しそうなものですが、そこではさらに、地上子の設置位置がわずかにズレていたのです。
この2つの条件が重なり、金沢総合車両所 運用検修センターの出区線でのみこの症状が発生していた訳です。

自分が進行信号で進んでいるので、逆方向は絶対に停止です。
ですから、逆方向のATS地上子は「即時停止信号」を出しているに決まっており、それを受信したら非常ブレーキで止まってしまいます。

しかし、本当に分かりませんでした。
最初は、どこかからの電波が種々の条件が重なり増幅され即時停止信号の周波数を含む電波となって、この場所のキヤ141の車上子だけが反応する特殊条件になっているのではないかなどと色々考えました。

もちろんすぐに地上子の位置は修正されましたし、車上子も移設されて、現在ではこの様な事が起きないようになっています。

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