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高価格のシャーペンが売れるニュースから日本人の冷静な購買を思う

日経新聞で以下のような記事を読んだ。

スマホとPC生活でついぞ文字を書かなくなっている私は役所などでたまに求められる手書き書類で字が下手になっている自分に落胆する。

小中学校でもタブレットやPCが導入され、さぞ若年層は手書き文字なぞ書いていないであろうと思っていたところにこの記事の見出しを読んで、はて。
ほかの似たような議題の記事を読んでみると若年層も高機能シャーペンを購入しているらしい。

そこで、実家の近所の少し高級なパン屋の行列を思い出す。
そのパン屋は、近隣のパン屋より単価が50~100円高い。もちろん味も見た目もその分高級感があり、価値を感じる。
週末、そのパン屋には若い家族連れで構成される行列をよく見かける。
その瞬間は「ああこのパン屋さんは高級なのに来店するというのは、若いながらにお金に余裕のあるご家族なのか」と思うのだが、その実はどうやら逆のようであった。「家族全員でレストランには月一回しか行けないが少し良いパンは月に2回買える。」パンの中では高級品を買っているから贅沢した満足感も非日常感も味わえるのだ。

小学生2人の子持ち、専業の妻、会社員の夫、という家族構成の妻が友人にいて、外食とパン屋について話しているとそういった背景が伺えた。

小学生も高学年になると大人と同じ量を食べる。ファミレス、パン屋、高級パン屋でかかる費用を雑に計算して以下のような感じ。
ファミリーレストラン:一人単価約1,600円×4人=6,400円
通常パン屋:200円×一人3個×4人=2,400円
高級パン屋:300円×一人3個×4人=3,600円

もちろん、この高級パン屋のパンこそを食べたくて食べている人がいることは理解しており少ない情報源から導き出した独断と偏見であることは重々承知の上での考察だ。

友人は言う。
「レストランで準備も後片付けも全部やってもらいたいけど、パン買って私が家で温め直すことで3,000円浮くならまぁ良いかと思う。」

若者の車離れを引用して「車が買えないから少し良いシャーペン買ってるんだろう」という暴論を吐きたいのではない。学生がほしいシャーペンが3,000円ならば3時間程度バイトをすれば入手できる金額であろう。(昔の「車を買っていた若者」と言う未確認生命体はどこからお金を捻出していたのだ?)

日本の購買層は冷静になったのだ。冷静になった上で、今自分に可能な範囲での贅沢で現実的な購買をしている。

さて試しに家にあったどこぞで無料でもらったシャーペンで文字を書いてみる。以前にも増して下手になっている。高機能シャーペン、書き心地が良いという。もしかしたら多少はうまく書けるかもと期待。今週末、買いに行くことを決めた。手書き文字を書く機会が減り、自分の字が下手になった大人が高機能シャーペンに一縷の望みをかけている、そんな購入動機を持つ層も売り上げ好調に寄与しているのかもな、と思いながら。

#ニュースからの学び

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