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令和の和です。

姉の名前は、母が寝ないで考えた。
今聞いてもおしゃれで、誰でも間違いなく読める漢字の名前。父の名前、母の名前とは全く関係の無い、可愛い名前。

私が生まれる前、男のお子さんですね、と医者に言われた母は男子の名前しか用意しておらず、私が女子として生まれてびっくり、名前を考え直すことに。
その間に、コッソリ父が出生届を出した。自分の名前から漢字を一つ取って、最後に女のコだから『美』を付けて、和美である。

姉との年齢差7歳、姉より若干渋い名前がついた。後付で和美に意味を持たせるなら和やかに美しくだが、残念ながら気性も荒く美しくもなく育った。
小学生時代には、クラスの好かれていない男子のお父さんが『和美』と判明し、クラスの男子からおっさんと同じ名前だと言われるのが嫌だった。
その後、高齢男性に割と多い名前と知り、それも嫌だった。
社会人になり、電話などで先方に名前を伝える時は『昭和の和に美術の美です。』と言う。
『平和の和に美しい』とは口が裂けても言えなかった。やっぱり気性も荒く美しくもないからだ。

もう30歳も超えて、自分の名前に一切の興味関心が無くなった時に、思いもよらないことが起きた。

新元号『令和』

その字面を見たときに『やった!私の名前ひともじ入ってる!』と思った。
そしてそう思う自分に心底驚いた。

令和と見るまで、新元号に和とか美とか入ってほしいなんて考えもしなかったのに、見た途端にとても嬉しくった。
昭和の和と同じでも、何も感じていなかったのに。

なぜ嬉しく、今は意気揚々と『令和の和に美術の美です!』と言っているのか。
それはまだ自分でもよくわかっていないがこの喜びは今もなお継続している。

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