東京拘置所で私が差し入れしたものを紛失されたときのこと

今から少し前になるが私はある仮死刑囚の支援をしていた時期がある。

彼は減刑され今は無期懲役囚として、刑務所に入っている。

彼は、とても強がりなんだけど弱虫で、いや正確にいうと心が優しい人で、しかしユーモアがありとても文章を書くのが上手で、、、

まあ頑固といえば頑固なんだけど考え深い正確で。

そんな彼と私は手紙のやり取りも面会も数多く重ねた。

当時20代後半の私は彼にいろんなこと教えてもらったし、おそらく一生彼と出会ったことは忘れることはないと思う。

最終的に、彼とは拘禁症状が進みうまくいかなくなり喧嘩別れしてしまったが、いつかまた会うことができたら、

「あの時は怒ってしまってごめんね。」

と一言謝ろうと思っている。

彼はとても絵が上手く、東京拘置所のことを、

〝小菅のアパート〝

と呼んでいた。

なぜ小菅のアパートと呼ぶのか。

疑問に思ったから聞いてみようかなと思っていたら彼から、教えてくれた。

「俺は地裁で死刑を受けたが、もしかしたら無期になるかもしれない。無期になったらどこかの刑務所に行くわけだからそうしたら、俺は引っ越すわけだ。だからここは小菅のアパートだって俺は呼んでいる。」

それを聞き私も小菅のアパートと呼ぶようになった。

そしてこうも言っていた。

「俺は地裁で、死刑判決を受けたが、もしかしたら高裁で無期になるかもしれない。だから俺は一応まだ’仮死刑囚’と自分のことを呼んでいる。」

彼はそう私に話した。

彼と何回か手紙のやり取りをすると、

「小菅のアパートに遊びにくるかい?」

と誘われたので、遊びに出かけることにした。

まあ簡単にいうと、東京拘置所へ面会。なのだが、小菅のアパートに遊びに行った。

彼と面会のあと、宿題を出された。

「東京拘置所への感想文を書くように!」

まあ、そうそうこんなとこ、来る場所じゃないしな♪と感想文を私は真面目に書いた。

○ヤクザと弁護士しかいない

○入り口のジュースは30円。

○入り口に差し入れ屋があって名前は池田屋。隣の喫茶店はアイアイ。

などを書いて、送るととても喜ばれた。

そのあと私は小菅のアパートに何度も何十回も遊びに行ったのだが、ある時はクリスマスだからと毛布とユニクロのヒートテックを差し入れした時はとてもとても喜ばれた(笑)

そしてある時事件は起こった。

東京拘置所が私が差し入れた切手を紛失したのだ。

しかも私に謝罪することなく、同等金額を弁償してやるからいいだろ?と、彼に話したらしい。

おい待て!!!!

差し入れ申込書に私の名前も住所も電話番号も書いてあるよな?

なんで私に謝罪しないんだ?

と頭にきたから、東京拘置所のヤクザと弁護士の前で、職員を呼び出し説教した。

「申し訳ございません。。。あの今回うみさんからお預かりした切手をこちらが紛失したことは事実でして、同等の金額の切手をお渡しするので・・・・。」

『いやさ、無くしちゃったものは仕方ないよ?でもさ、じゃあなんで私に連絡してこないわけ?』

「通常そういった連絡等は行っていなくてですね・・・・。」

『そりゃそうでしょ?通常、差し入れしたものを失くすなんてことはありえないはなしですから!でも今回無くしたのは事実なんですよね?じゃあなんで私に連絡してこないのですか!!!私の連絡先差し入れ申込書に書いてありますよね?』

「はい・・・・ですが通常そのようなことは行っていなくてですね・・・。」

『あのさ、直接渡したくても渡せないから、そこの差し入れ窓口から個人情報提示して差し入れているわけですよね?本来紛失なんてありえない話ですよ?銀行でお客様からお預かりした印鑑無くしたらどうなります?支店長でてきて謝罪ですよ?わかります?業務で紛失とかありえない話です。』

「あのうみさんのおっちゃる通りで(涙)」

と刑務官泣きそう。だからこのくらいにしといたけど、

『あの切手はね、私が郵便局で局員さんと一緒に悩んで悩んで選んで、わざわざ長野から持ってきたの!もう売ってないの!!!今度から絶対無くさないで!そして万が一紛失しちゃった時は正直に謝って!他の人に二度とこんなことしないで!!!』

「わかりました。大変申し訳ございませんでした。」

って終わりにしたんだけど、その日やくざばっかりで、みんな若いGALの私に頭下げている東京拘置所職員みてびっくりしてました。


といいましても、局員さんと一緒に選んだのは嘘だしwww期間限定でそのときどこの郵便局でも売っている切手だったんだけどね(笑)

ただ紛失した事実を外部に漏らさず処理しようとしたのが頭にきたから、話を大きくして文句言っておきました(笑)


皆さんも東京拘置所で差し入れする時は、差し入れたものしっかり写真撮って中の人に必ず手に入ったか確認してくださいね。

まあそうそう東京拘置所に行くことはないと思いますが。


※彼と書いてありますが、恋人同士の関係ではないので、勘違いしないでくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?