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神野オキナ・雑文集

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「君たちはどう生きるか」感想と邪推と(※ネタバレあり)

「君たちはどう生きるか」感想と邪推と(※ネタバレあり)

世の中には、「その日に見なければ、おそらく生涯見ない。あるいは、見たとしても数年後になる」と言う映画がある。
まさに、この映画は公開初日に見なければ、おそらく私は生涯みることのない映画になったかもしれない。
webを眺めていると「本当に何の宣伝もしなくていいのか?」みたいな記事がちょろちょろ流れてきて「そうか、もう公開か。本当に宣伝しないのか、へー』程度には認識していた。
「とはいえ、観に行くほど

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「スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム」ネタバレ感想。

「スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム」ネタバレ感想。

とりあえず、コロナが偉いコトになりつつある今だからこそ、見に行こうと思いました。
とりあえずマスク手袋、飲み食いは家を出て戻るまでナシ。シネコンだから人との接触はナシ、さらに朝一番、人の来ない字幕ということで観てきました「スパイダーマン・ノーウェイ・ホーム」

一言で言えば大満足。以下はネタバレありまくりの文章なんで観たくない人の為に課金対象としておきます。何しろこれ以上喋れば、全部ネタバレになっ

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「おじさん構文」はどこから来たのか

「おじさん構文」はどこから来たのか

2021年9月27日、ラーメン評論家を自称する人の文章が話題になり、顔文字やノリツッコミをしつつ自分の責任を「あれは冗談だよー」と図々しく回避しようとする文章が悪い方向で話題になり、それが典型的な「おじさん構文」というだけではなく、むしろ80年代のタウンやファッション誌で流行った文章である、その本流は椎名誠のエッセイの口調や橋本治の桃尻文体からじゃないか、という話題が出まして。

それを元につらつ

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8年前の「風立ちぬ」感想。

8年前の「風立ちぬ」感想。

2013年8月8日「風立ちぬ」鑑賞。
徹頭徹尾、プロの手腕でノスタルジーとハイレベル作画で飾られた「クリエイターの都合」の物語。
否定的な気分で見に行った私でさえ「キライになれない」と結論づけてしまうぐらいよく出来ている。
そして、ここで描かれる「クリエイター」は男だから、女だからでは無い。
クリエイターをしている人間の奥底にある「これだけがんばったんだ、どんな結果が出たにせよ、何を生み出したにせ

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モデルガンの思い出(1)

モデルガンの思い出(1)

今からざっと四十年以上昔から、銃器類が好きでした。
昭和30年代から40年代にかけて、空前のガンブームというものがありまして、その残光がまだあった頃です。
それも拳銃。ライフルやアサルトライフルは「戦争に使うもの」という罪悪感がどこかにあったのと、やはり軍服来た人たちが持ってるもの(今みたいに警官がアサルトライフルを持つことは想像も出来ない時代でしたから)、というイメージがあり「ヒーロー」の武器だ

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(※ネタバレ有り)シン・エヴァンゲリオン劇場版感想。

 見終わって一番に思ったのは自分の変化でした。
 前回の劇場版を見終わったときは「ファンから作品を引き剥がす、憑き物落としの映画だなあ」と理解しつつ、「いつかは自分も!」という気負いが何処かにあったんですが、今回は「ああ、庵野監督とカラーの人たちは高い所を飛んでるなぁ」と素直に羨ましいというか、輝いているモノを見ている気分になりました。
 コロナで劇場に足を運ばなくなってまる一年以上、というのもあ

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人生ラジオゾンデ原稿シート

人生ラジオゾンデ原稿シート

商業作家は普通、本が出ると作者込みに宣伝して貰えますが、今のご時世、自分で発信することも大事です。
というわけで、今の所一番楽だから、ということでツイキャスを使って配信なんてものをやっております。
タイトルは「神野オキナの人生ラジオゾンデ」。
第1回はこちらから→ https://twitcasting.tv/okina001/movie/641477291
最初の一回は勢いで喋れます。二回目はオ

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モデルガンの思い出(2)

モデルガンの思い出(2)

これから母の治療費の精算も含め、家が傾くことを知っていた父は、私を東京に当時にしてはかなり贅沢な小旅行させてくれましたが、そこでモデルガンを買うという気分にはなれず(ローマンでの失敗が尾を引いていたのかもしれません)、また預けられた先は敬虔なキリスト教との叔母と、某社の重役の奥さんという「上品」なところだったのでプラモデルを買うのがせいぜいでした。

そして、その次に性懲りもなく手にしたのは東京マ

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スパイダーマンファーフロムホーム感想ネタバレ有り



いろんな意味で確かに神を失ったエンドゲーム以後の世界のエピローグ。
これを青春まっただ中のスパイディて作るというのは上手い。他のオトナの面子だとどうしてもしんみり度数が上がりすぎてしまうので。
スパイダーマンが何故10代設定で始まったのか、コミック版と違ってトニー・スタークと師弟関係だったのかということが全部意味を持ってくる「MCUユニバースの」スパイダーマン2作目。

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掘っ立て小屋とドラゴンクエスト

(※この文章はホームページにあるものを改訂修正したモノです)
ドラゴンクエストは凄い作品です。
日本国内において、ファンタジー作品に与えた影響で言えば、指輪物語を凌ぐでしょう。なにしろ、ロードス島戦記よりも、スレイヤーズより早かったんですから。
何しろ86年当時、堀井雄二といえば「オホーツク殺人事件」の人、もしくは月刊OUTの「ゆう坊のでたとこまかせ!」の人だったんです。
長い髪の毛をなびかせ、眼

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2019年3月11日より

あの日で思い出す事と言えば、まず真っ黒な濁流が田畑やビニールハウスを呑み込んでいく空撮の風景、そしてみるみる海が盛り上がり人も電柱も車も飲み込み、それから何処かへ連れ去るように押し流していく風景。
同時に日本がこれまで辛うじて蓋をして封じ込めていたむごいモノが一気に噴き出した気がした。
ノンビリした裏庭であったはずのTwitterは情報ターミナルになり、流言飛語の飛び交う戦場になり、自意識的無

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レディ・プレイヤーワンを観てきました(ネタバレ有り)

レディ・プレイヤーワンを観てきました(ネタバレ有り)
とある友人からのお誘いがあって、一足早く、基地の中に「レディ・プレイヤーワン」と「パシフィックリム・アップライジング」を観に行きました。
英語のヒヤリングがまったく駄目な人間ですが、前者は原作を読み、後者は前作を見ているのでなんとか理解出来るだろうということで(笑)
「パシフィック・リム アップライジング」のほうの感想は神野オキナのHP上にネタ

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ゾンビの神様、逝く

G・A・ロメロが亡くなったそうで。
http://www.latimes.com/entertainment/movies/la-me-george-romero-20170716-story.html
テレビにまでゾンビがあふれかえるこの時代に、その再定義を生み出した人がいなくなるというのは時代の趨勢とはいえ、諸行無常を感じずにはいられません。
「ゾンビ(日本公開題名)」をはじめて見たのは30年

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1965年5月25日

私的な話なんですが、つい先日父が世を去りまして。去った後に残ったものをあれこれ整理していました。

ただどうでしても処分しきれなかったものに写真があります。

そしてアルバムを色々整理しておりましたら、その中に母のアルバムがありました。

ちなみに母は父に先立つこと30数年前、私が小学校五年生の時に34歳の若さでこの世を去っております……がんでした。

母が死んだ時、私は10歳で、妹は6歳。不幸中

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