宿替え、ということばがありまして。

 関西では「引っ越し」のことをそういうんだ、と知ったのはアニメの「じゃリン子チエ」でした。
 確か登場人物のひとりでチエのクラスメイトのマサルが引っ越しして関西から離れるとかそんな話の中で出てきたかと。
 さて、これまでに引っ越しはえーと……4.5回行っております。

 4,5回ではなく、4.5なのは0.5が仕事場として外に借りた物が入ってるから。
 うちは元々運転免許訓練所をやっていたのが(当時はアメリカ統治下で、自動車に乗せて運転の仕方を教えるだけ、学科は当人が勝手に勉強するもの、という時代だったからでしょうね)、そこが土地開発で立ち退きになって、久茂地のあたりに引っ越し、窓の無い家で母が雑貨屋、父が貿易会社の勤務になったものの、母が二年もしないうちに倒れ、店も維持できないし、ということで牧志(今はJALホテルのある裏通りのあたり)へ引っ越し。
 そこは叔母の友人家族がかつて住んでいたところで、私も何度か遊びにいったことがあるオシャレな部屋だったんですが、祖母も入れて五人家族ではあっという間に……になりまして。
 ただ、やたらとダイニングが広くて、重宝しました。
 そこにかれこれ20年ぐらい住んだでしょうか。
 周囲の風景が変わり、いつの間にか最古参の住人になっていました。
 その部屋で母を送り出し、祖母も送り出しました。
 そして作家デビューの通知もこの部屋で受けました。
 で、デビューから数年後に家賃と光熱費は全部私が払うことになった所でもあります。

 あと、変わったことといえば、台所の床の下の配管が腐って、水が漏れ、そこから床が腐って落ちたこと。
 幸い、大家が直してくれましたが(もっとも、この後、このことで思わぬ因縁を付けられましたけれども)。
 そしてその影響で他の部屋の床が傾いて隙間から鼠がウロチョロしだして、何匹か始末しなければいけなかったこと。

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