「だんす・おん・ざ・ばんぱいあ&ぬこーず」(5)完結



 メイドたちの奮闘も、『ゆがみ』の本体には叶わず、バンド側も被害が出てくる。
「少しお目汚しをいたします、ミナ殿」
 ずいと前に出てくるアントニア。
「お嬢様!」
「摩耶、さがっておれ。こやつは本来私と『へいほん』がしでかした不始末の結果じゃ」
「は」
 にやりと笑うと、アントニアは手首に巻いたブレスレットに指先で触れた。
 一瞬でその身体をぴっちりとしたボディスーツが覆う。
 先ほどまでのドレスの厚みをその下に全く感じさせない、一種の超技術が使われているのは間違いなかった。
 首元までそのスーツに覆われると、少女はどこからともなく、携帯電話を二回りほど大きくしたようなカメラのような機械を取り出した。
 それを薄く引き締まった腹部へと押し当てると、その左右から帯状のパーツが自動的に繰り出され、腰に固定される。
 同時にやたら派手なブラスとピアノ、ギターの旋律が入り交じった高揚感あふれるBGMがどこからともなく流れはじめる。
「あ、あの…………あれは?」
 いきなり始まった妙な「状況」に思わずヴェラが尋ねると、
「お嬢様の、というかあのバックル部分を作ったお人の趣味です」
 素っ気なく…………しかし、どこかため息混じりな表情で摩耶は答えた。
【キさま】
 北の大地から来たとアントニアが言った相手は、無数の目を凝らすようにして聞いた。
【何者ダ……】
「忘れっぽい奴じゃな…………聞いて思い出すがよい、下郎」
 アントニアの顔に不敵な笑みが浮かんだ。
 いつの間にかまた、指先には小さなカードが一枚。
 表面には八咫烏の紋様が刻まれている。
「通りすがりの、大富豪にして天才、それが私じゃ!」
 相手をまっすぐに見据えたまま、カードをバックル部分のスリットに滑り込ませ、両脇のスイッチを両手を交差させる勢いでスライドさせると、中央部分は九十度回転、レンズ部分から八咫烏の紋様がアントニアの目の前に浮かび出されるとすうっと、突き抜けるようにして移動し、身体全体が光に包まれた。。

「HI・HI・HI・HI・HIMEGAMI!」

 野太い男の声が聞こえる。

 光が砕け散った。

 そこには、先ほどまでのボディスーツではなく、ストッキングと見紛うばかりの細くて身体のラインにぴったりあった鎖帷子と、鎧を組み合わせた仮面の姿となったアントニアが立っている。

 マントのように肩からなびくのは浅黄色の段だらに染めた羽織だ。
 かつて「新撰組」と名乗った男たちが、威勢を誇るために発注し、京洛では恐怖の対象となったものである。

「…………」

 ミナが僅かに目を見開いた。
 気配が違っている…………先ほどまでのアントニアは確かに、「普通の少女」ではなかったが、自分たちに近い超常の力をまとっては居なかった。

 その変化を相手も気づいたらしく、明らかにたじろぐ気配があった。

 それを見て、ますますアントニアの顔に笑みが浮かぶ。
「お主らを倒すには、やはりこの力が最適らしいでな? 『あっちの蝦夷地』で少し分けてもろうたのじゃ…………お主らの大嫌いなヒメガミの力をな!」
「お嬢様、ほどほどにて切り上げますよう」
「うるさい、せっかくのキメどころじゃぞ」
 むすっとした声で言うと、アントニアの姿がかき消えた。
 異形の筋肉と骨のバランスで構成された怪物の顔面がぐしゃりと潰れた。
 血しぶきは出ない。
 否…………血のにおいも、骨の砕ける音も、ミナは聞かなかった。
 粉砕された骨も肉も、化け物の身体からある程度の距離をおくと、まるで幻のように消えていき、本体はまた瞬時に、しかしより小さくなって再生していく。
「これは……?」
「あれは情報体ですので、半実体とでも言うべきしろものですから、あのように物理的に殴ることで縮小化するのです」
 横で見守るように静かに佇んだ摩耶が答えた。
「害意型武装情報体の芯になっているのは異世界の怪物ですが、そのパーセンテージは僅か、その周囲を次元の狭間に漂う情報のゴミのようなものが覆って肉体を強化させているのです。小さければ通常兵器やそちらのお力でも対処できますが、あのサイズになりますと、ああいう小道具が必要になりまして…………本来は私めの役割なのですが、あれを生み出したのは自分だからと……」
 どうやら、アントニアなりの「カタの付け方」であるらしい。
 広大な原子炉前の広場を舞台に激闘は続く。
 地響きに床は割れ、天井にも亀裂が走る中、摩耶はじっと主の戦いを見つめていた。
 信じているから、ではなく、主の勝利を疑わない姿だった。
 ヴェラは驚嘆の視線、ミナは表情の読めない、しかし善意の籠もった視線を交互に主従に向けていたが、やがてアントニアのほうへ向き直り、
「なるほど」
 ミナは頷いた。
「アントニア!」
 そして声を張り上げる。
「妾にも手伝わせよ!」
「摩耶! 予備を!」
「はい」
 摩耶がお供なく進み出て、ミナの前に片膝をつくと、その手の上に置かれた腕輪と別ののバックル、そして大きなUSBフラッシュメモリのようなものが輝いていた。
 ミナはそれを楽しげに取り上げる。
「バックルを装着後、メモリを差し込み、広げてくださいませ」
「予備ですが、ミナ殿!」
 戦いながらアントニアが言う。
「うむ!」
「ミナ様!」
 ヴェラが停める間もなく、アントニアのくれたブレスレットを腕にはめて指先を走らせた。
 一瞬で先ほどのアントニアと同じタイトスーツ姿になると、同じようにバックルを装着し、左右のスロットにメモリを二本装填した。
「ヴァンパイア!」「ウェアウルフ!」
 メモリから凄みの利いた女性の声が轟く。
 左右にVの字にメモリを差したポート部分が分かれる。
 眩い輝き。
 次の瞬間には、別人がそこに立っていた。
 身長は20センチ近く伸び、スリーサイズもそれにあわせて「大人」の姿に。
「姫様…………?」
 呆然とヴェラが呟く。
 ヴェラの知る、ミナの顕身した姿はそこになかった。
 鬼を思わせる面頬を着けた姿は、その時の姿よりも身長がやや高く、何よりも顔つきが違う、目の形も違う。
 何よりも髪の毛の色が黒だった。
 まるっきりの別人だ。
「…………ほう、面白い」
 己の手を見つめて、ミナ…………の中身をもつ別人はにやりと笑った。
「これは確かにすごいな…………いくぞ、アントニア!」
「はいっ!」
 言って、ミナは突っ込んだ。
「とう!」
 アントニアが思いっきりの回し蹴りを飛ばし、ミナが途中でジャンプしたドロップキックを放つ。
 二人の攻撃が同時に当たり、最初の一撃で相手が吹き飛んだ。
 転がり、隔壁にぶつかって停まった相手に、ミナは着地すると茶目っ気たっぷりな声で、相手を指差して、言った。

「さあ、お主の罪を数えよ」
 
 あとは、一方的とさえ言える攻撃が繰り広げられた。
 背中に背負った刀を振るい、敵を切り刻み、掌底で吹き飛ばす。
 アントニアひとりでももてあましていた敵に、なすすべは無かった。
 さらにそこへ「へいほん」の攻撃フォローが入る。
 やがて、ふたりの動きが鏡に映したように一致し始めた。
 同じ速さ、動きで敵の腕を切り飛ばし、肉をえぐる。
 遂には、情報体の奥に光り輝くものが見え始めた。
「ミナ殿!」
「応!」
 ふたりは高々と刀をふりかざし、一斉に斬りつけた。
 光の爆発。
 光の圧力のようなものを感じ、ヴェラも摩耶も一歩後じさる。
 それは数秒…………いや一瞬だったかもしれない。
 光は生まれたと同じように消え去った。
 この世ならざる力が、この世ならざる形で具現化した最後の置き土産は、霧のような水蒸気の渦だった。
「姫様!」
「お嬢様!」
 駆け出す二人の侍女の前に、ゆっくりと小柄な影があらわれる。
 傷ひとつ無い、ミナとアントニアであった。
「やれ、あれっきりで終了か、なんともつまらぬ。あの姿でアキラの前にいってみて妾かと判るかどうか試してみたかったぞ」
「仕方がありませぬ、そういうシステムですから」
「ふむ」
 などと言い合う主たちに、それぞれの侍女ふたりは抱きついた。


※メモ
二手にわかれていた本体が地上に殺到しようとするのを食い止める騎央たち。
「…………そっちも片づいた? うん、こっちも終わったよ」
 騎央はすこし焦げてしまったマフラーをいじりながらアントニアの通信報告を聞いていた。
 エリスは疲れ果ててグロッキー状態、アオイも疲れている。
 ウルフボーイズたちは苦笑しながら三人を解放してくれている。
「こっちは壁が少し壊れたぐらい。ベイオウルフの人たちがバックアップしてくれたおかげだよ……」
 ヘリが騎央の頭上を横切る。
 そこから飛び降りるアキラの姿。心配で顔が強張っている。
「うん、アキラさんはいまそっちへ行った」
 やってくる摩耶のハマー。
「もう時間がありません!」

※メモ
別れの時。急速に始まる。
敵が消滅したことで邪魔がなくなり平行世界へのトンネルが口を開けたのだ。
邪魔しようと蠢く「ゆがみ」の生き残りを倒すアキラ、さらにその背後にくる最後の生き残りの「ゆがみ」を撃ち抜く銃弾。
平行世界の彼方から真奈美登場。
慌ただしく「入り口」に集まる全員。
「では、姫様、お名残おしゅうございますが、これにて!」
「よい、別れでメソメソするのは妾も苦手じゃ!」
「では、お元気で!」
「そなたたちもな! 楽しかったぞ、本当に!」
「私たちもです!」
 握手し、ハグして去る。


※メモ
去った後に残ったジャージ姿のいちかと華子(※リカバイヤーの周央と鬼姫の捨那は時間切れで元の世界に)。
ちょっとしたコント。
地下のクレイドルに転がり込み、AB渋い顔に。
「ここ、静かで気に入ったわ」
華子、熊の着ぐるみで読書。
ジャージのいちかは芝生で高いびき。

 関東某所

「やっぱり、ありませんねえ…………」
「うん」
「…………」
 エリス、騎央、アオイの三人は東京湾を見下ろす小高い丘に来ていた。
 そこはつい先日まで居た平行世界において「租界{租界:バンド}」と呼ばれる吸血鬼たちの王国である広大な埋め立て地があるはずの場所。
 当然、この世界には存在そのものがある筈がない。
「分かってはいても、少々寂しいのぅ」
 アントニアがエリスの側で寂しげに呟いた。
 摩耶はいつものように何も言わず、ただ静かに頷いたのみだ。
「この世界の吸血鬼さんにはミナさんとかはいらっしゃらないみたいでしたね」
 ちょっとため息混じりにエリス。
「まあ、パラレルワールド、っていっても大分あっちとこっちじゃ遠いっていちかちゃんいってたから…………それに、あのミナ姫様と、こっちのミナ姫様は、いたとしても別人だよ、やっぱり」
 騎央が慰めるように言う
「まあ、それはそうですが…………こういうのを未練、っていうんでしょうか」
「…………私も出来ればこの世界のあの人たちに会いたい…………わ」
 ぽつん、とアオイが言って、エリスの肩に手を置く。
 風が、吹き抜けていく。
「帰ろうか」
「はい」
「…………」
 こくん、と頷いて、五人は丘を後にした。
 ちりりん、とベルを鳴らしながら向こう側から自転車に乗った警官がやってくる。
「あ、どうも」
 思わず挨拶をしてしまうのは騎央とエリスの人の良さだ。
「あ、これはどうも…………」
 警官の目がエリスを見て丸くなる。
「えーと、キャーティアの人?」
 そして、騎央たちも目を丸くしていた。
「浜…………警部?」
「まあ、いずれそのつもりではありますが…………残念ながら自分はまだ巡査長です」
 微苦笑しながら、浜巡査長は敬礼を返した。
「宇宙からのお客様がこんな所をうろついていて、いいんですか?」
「あ、はい…………まあ、その、お忍びという奴で」
 あはは、と騎央が笑ってごまかす。
「そういうわけですので、ちょっとご内密に」
 エリスが拝むようにし、アオイも頷いた。
「しかし、なんで自分の名前をご存じなので?」
「あ、いえその…………以前、資料で」
「ああ、なるほど」
 キャーティアは今や国家存在であるから、その周辺にいる少年達も「特別」であることは全国民がうすうす理解していることだ。
 だから浜巡査長は納得したと頷いた。
「まあ、この辺にまだマスコミは来てませんが、住民が携帯電話を取りだしたらどうなるなるか分かりません、なるべく早く目立たないところへ」
「ありがとうございます、もう目的は達しましたから」
 にっこりとエリスは微笑んだ。
 あっちの世界では見たことの無かった、ぼうっとした顔に一瞬なった浜巡査長は、すぐに顔を引き締め、微苦笑に切り替えた。
「では、お気をつけて!」
 と最敬礼して立ち去った。
「そうか…………浜さんは少なくともこの世界にはいるんだね」
 騎央の言葉には万感の思いがあった。
 エリスとアオイも頷く。
 何となく歩いていくうちに海沿いにコースを取った。
「ルーロスを呼びますね」
 ぽつん、とエリスが言った。
 浜さんにだけでも会えた、という喜びをもう少し噛みしめていたいのは騎央たちも同じだったので反対の声はない。
 やがて、海岸線の向こうから、妙な角度で日傘をさした背の高い少年の姿が小さく見え始めた。
 寝癖が酷いのかぼさぼさだが、それなりに決まった髪で、いかにもスポーツ万能、という体格で、やや身体を前に折っている。
 理由はすぐに分かった。
 背中に誰かを背負っているのだ。
「あ…………」
 前に誰かいると思った少年は顔をあげ、驚愕の表情になった。
「キャーティア…………のひと?」
「アキラ…………さん」
 思わず騎央はつぶやき、慌てて言葉を飲み込んだ。
「あ、ど、どうも」
 へこへこと頭をさげる。
「…………あ、いや、あのど、どうも、こ、コンニチハ」
「…………ん」
 少年に背負われていた誰かが身じろぎして顔をあげた。
「ミナ、すごいぞ、キャーティアの人だ。アシストロイドもいる」
「何をいうのじゃ、アキラ…………」
 金色の髪をツーテイルにまとめた少女は目をこすりながら顔をあげ、驚きの表情になった。
「ほ、本当じゃ! アキラ、おろせ、おろせ!」
「はいはい…………まったくさっきまでバテててたくせに」
 苦笑しながら少年は少女をおろした。
 ワンピースを翻し、少女はとててとエリスに駆け寄る。
「本物じゃ、本物のキャーティアのエリス様なのじゃな!」
「その通りじゃ」
 アントニアが優しく言った。
 ふと、ツインテイルの少女はエリスではなく、アントニアのほうを見る。
「そなたは…………誰じゃ? テレビで見た覚えがある」
「じゃろうな」
 こういう場合彼女が浮かべる、いつもの傲岸不遜な威張った笑みではなく、優しい微笑みでアントニアは答えた。
「私の名はアントニア・リリモニ・ノフェンデラス・パパノーガス・アレクロテレス・クノーシス・モルフェノス。エリス様ファンクラブの会長じゃ」
「おお! ならば私も入っておる! 会長さまであらせられたか!」
「そうか、それは嬉しい…………間違っていたら許されよ。そなたの名はミナであろうか?」
「覚えておられるのか!」
「いや、何となくそんな気がしただけじゃ」
 きゃいきゃいと少女は跳ね回る。
「…………ったく、病弱なんだか頑丈なんだか分からなくなるねえ」
 ため息混じりに少年{少年:アキラ}が言った。
「アキラさん…………でよろしいんでしたっけ?」
 騎央が尋ねる。
「あ、え、ええ」
「ミナちゃんとは恋人ですか?」
 何となく直感で、騎央が口にしたことに、一瞬アキラは口ごもったが、やがて、晴れ晴れとした笑顔で、
「まあ…………婚約者、です。彼女が成人したら結婚する予定で」
 アキラは、自分の口にした言葉がいつものように驚愕と怪訝な表情ではなく、この奇妙な一行全員が心からの祝福の表情で迎えられたのに対し、逆にたじろいだ。
「お幸せに」
 摩耶が、静かに言ってその手を握った。
「お幸せに」
「お幸せに」
「お幸せ……に」
 騎央とエリス、そしてアオイも同じようにアキラの手を取り、ミナの手を握る。
 思わぬ有名人に、しかも親しくして貰って二人は戸惑いながらもそれに答えた。
 そして最後に、アントニア・リリモニ・ノフェンデラス・パパノーガス・アレクロテレス・クノーシス・モルフェノスはミナの手を取り、アキラの手と重ね合わせて握りしめた。
「ふたりとも、互いを好いておられるか?」
「え?」
「あ……」
 ふたりは顔を見合わせて真っ赤になる……その様子だけで、アントニアは満足げに頷いた。
「それは重畳。是非結婚式の折は我らにも声をかけていただきたい。エリス様ファンクラブも、キャーティア大使館も寿事{寿事:ことぶきごと}は大歓迎故な!」
 アントニアはふたりににっこりと笑いかける。
「あ、いやその…………」
 ニナもアキラも真っ赤になった。
「大丈夫、そなたたちはきっと幸せになる、このアントニア・リリモニ・ノフェンデラス・パパノーガス・アレクロテレス・クノーシス・モルフェノスが保証しよう!」
 頃合いを見て、エリスが首に下がった鈴に手を触れた。
 一瞬で水平線の彼方から銀色の宇宙船が現れる。
 大型輸送用の「ルーロス改」だ。
「では、アキラさん、ミナさん、さようなら」
 ぺこりとエリスは頭をさげた。
「さようなら」
 騎央が手を振る。
「さよう……なら」
 アオイが深く頭をさげる。
「…………ごきげんよう」
 摩耶がスカートの裾をつまみ挨拶した。
 転送ビームのロックオンが開始され、夕暮れの海岸に並んだ一同の身体を青白い光が包む。
「では、ミナ殿、アキラ殿、さらばじゃ! あえて嬉しかったぞ!」
 満面の笑みで、アントニアが大きく手を振り、五人の姿はかき消えた。
 呆然と宇宙船を見上げる少年と少女を暖かく見守るようにゆっくりと宇宙船は回頭し、来たときと同様、一瞬で水平線の彼方に消えた。
 
 思わぬ邂逅に驚いていたふたりだったが、やがて我に返ると、照れた笑みを浮かべながらミナとアキラ、どちらからともなくそっと手を繋ぎ、家路を歩き始めた。

 暗くなり始めた海岸道路におちた二人の影は比翼のごとく。

 それを見守るのは星空のみ。
(終)


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