プロトタイプ「あそびにいくヨ!」

久々に、過去のデータを漁っていたらこんな物が出てきました。

あそびにいくヨ!の最初のストーリーです。
これと一緒に何本か混ぜて提出し、編集会議の満場一致で「あそびにいくヨ!」が通ったわけですが……今見ると大分キャラクターの名前やら性格やらが違います(笑)
特に騎央とエリスは名前も違い、エリスはもっと脳天気で悪戯っぽいキャラクターですね。
これが「本番」になると紆余曲折あって、エリスと騎央になるわけで……一時期、エリスを少年に、騎央を少女に、と考えたのもこのプロットが底辺にあったからで。

もしもこのまんまのストーリーだったら、12年近くも続いたんでしょうかね? 今となっては歴史のIFですが。


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遊びに行クヨ(仮)

「遊びに行くよ」

全世界の音声、映像放送にそのメッセージは割り込んだ。

同時にSETI(宇宙電波解析プログラム)にも。

つまり、そのメッセージは正真正銘、宇宙から来たのだ。

世界中がちょっとしたパニックになった。

ついに、宇宙からの来訪者が地球に来るのだ。

だが、そんな事を対岸の火事のようにぼんやり思いながら生活している沖縄の嘉数睦月は、まさか眼の前に、宇宙船が降ってくるとは思わなかった。

その小型宇宙艇には、何とも脳天気なネコ耳尻尾付きの少女……アヤメが乗っていた。

アヤメは妙に睦月を気に入り、いつの間にか居候を決め込む。

ところが、事態を極秘に終わらせたいCIA、NASA、それに協力する内閣調査室、ネコ耳尻尾付きの宇宙人を認められない(つまり抹殺目的)のキリスト教原理主義者にハードSF推進委員会……様々な団体のエージェントが彼女を巡って暗躍する。

意外な人物……同級生の双葉アオイ、学校の先生糸数マキ、あるいは幼なじみの少女真奈美までがそのエージェントとして睦月に牙を剥く。

「ちくしょー!誰ももー信じられないのかよおっ!」

「ごめんね、ウチ、基地内従業員だから」

「だからって何でCIAの仕事手伝ってんだよおっ!」

「沖縄で安定収入見込むんなら、早くからコネ作らなけりゃいけないのよっ!」

「そうよっ、今の世の中じゃそれぐらいして当たり前なんだからっ!」

ドタバタ騒動のあげくの果てついにアヤメの仲間達の母艦がやってくる。

さらに、敵対する異星人のメカが無理矢理母艦を破壊しようと迫るが、それはアヤメが「テレビを見て」作った巨大ロボットによって破壊された。

「おまえ、ずーっと熱心にテレビ見てたのはそういうことか!」

「うん♪」

かくして、人類は初めて公式に第三種接近遭遇することになった。

今までとは別の意味で大騒ぎする世間から離れ、自宅でひと息ついていると、電話が鳴る。

「やほー、アヤメだよ」

「お前……」

「今から遊びに行クヨ」

※登場人物

嘉数睦月(かかずむつき)

主人公、一般的な沖縄の高校生。両親は健在だが、海外に長期出張中。祖父と一緒に模型店を手伝う。

どういうわけだか子供のころからネコに好かれる所があり、アヤメが彼を気に入ったのもそのため。

いかにも文化系の外見に似合わず、肉体労働が好きだが、将来性を考えて簿記会計の免許ぐらいは、と思う日々。

アヤメ

ネコ耳尻尾付きの少女。宇宙人であり、のんびりいい加減で脳天気。

面白いものにはすぐに興味が写る。時折論理や話が飛躍し、物事をややこしくすることがしばしば。

何故か地球のネコとコミニュケーションができる。

双葉アオイ

睦月の同級生。物静かな大和撫子だが、実際には内閣調査室の一員。

アヤメを捕獲しようと画策する……でも睦月は密かに好きなので何とか彼を傷つけまいとする。

糸数マキ

学校の教師、実はハードSF推進論者。理想の宇宙人はパペッティア人なので、アヤメを見て存在そのものが許せなくなる。

真奈美

明るく快活な女子高生。睦月とは昔からの知り合いで、兄弟姉妹のようなつき合いをしている。

両親が基地従業員……だが実はCIA極東支局の一員で、彼女も稼業を引き継ぐべく、アルバイトスパイとして研修中。

そこへアヤメの事件が降ってわいたので、ここでひとつ大きく点を稼ぎ、ゆくゆくは正式採用してもらおうと思っている。

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