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モデルガンの思い出(2)

これから母の治療費の精算も含め、家が傾くことを知っていた父は、私を東京に当時にしてはかなり贅沢な小旅行させてくれましたが、そこでモデルガンを買うという気分にはなれず(ローマンでの失敗が尾を引いていたのかもしれません)、また預けられた先は敬虔なキリスト教との叔母と、某社の重役の奥さんという「上品」なところだったのでプラモデルを買うのがせいぜいでした。

そして、その次に性懲りもなく手にしたのは東京マルイ、「つくるモデルガン」シリーズのルガー・ブラックホークでした(この銃はその後も何度か私の手元に買い直しという形でやってきます)。
鉄砲のオモチャ、ではなく「安いモデルガン」というのがパッケージからも判るリアルさで、黒で統一されたボックスも格好良かった。
たしか、祖母に頼んでクリスマス、ダイエーで購入したんじゃなかったんでしょうかね。箱を抱えて家に戻ってきて組み立て始めたときのときめきを憶えています。
オーバサイズグリップがついていたから、多分10インチモデル。スコープつきで(まあレンズはダミーでしたが)当時売られていた模型用の銀パウダーを塗りたくってシルバーモデルにし……当時の模型用塗料はシンナー使用のものがメインで、しかも今よりシンナーの度合いが強く、さらにシンナー=不良のイメージの時代ですから小学生が扱わせてもらえる筈もなく……、暫く遊んでいましたが、そこは子供の作るもの、接着が不充分だったりで自壊することに。

そして中学にあがって、酷いいじめを受けました。
アニメ、特撮、小説、そして模型とモデルガンの世界が私に取っての救いでした。
なんとか「造るモデルガン」ではない「本当のモデルガン(というのも変な言い方ですが、ようするにリアルで格好いいMGCやコクサイ、マルシンなどの高いモデルガン)」が欲しい、と思い、最初から小遣いやお年玉をコツコツ貯めて初めて買ったのがMGCの……コルト・トルーパー4インチ。
安かったんですよ、トルーパー。
今度はちゃんとスウィングアウトさせられましたよ、はい(笑)
そしてMGキャップ(キャップ火薬という奴です)を購入し、満を持して撃ちました……子供の思い込みで火薬が炸裂するんだから、高いモデルガンだから、反動があると思ったんですが、そんなことはなく(笑)。
今度はオートマチックを買おう、と決意して、お年玉をなんとかその分残して貰おうと祖母に交渉したりクリスマスプレゼントを「お金にして」とかまあ色々……
当時、カスタムバージョンをMGCが連発し始めたコルトガバメント(最新型だったGM5)か、「太陽にほえろ!」や「スタスキー&ハッチ」で有名だったMGCのM59 が欲しかったのですが高くて断念、やはり安いマルシンのM439。といってもほんの数千円程度安いぐらいだったんですが……いやその数千円がね、大変だったのです。月千円だったか千五百円のお小遣いでしたから(祖母が私には甘かったんで、臨時収入はチョコチョコありましたけれど)。
でこれもキャップを装填して、発火……映画みたいな反動はありませんでしたが、それでもオートマチック拳銃の醍醐味というか「夢」を垣間見ることが出来ました。当時、ダブルタップなんてまだ「最新鋭の技術」だったころですから、一発一発、丁寧に撃ってましたっけ(笑)。
M59はその後、組み立てキットが安売りされたときにオールブラックモデルを購入してなんとか組み立てました。フル装填で撃つことは結局出来ませんでしたが……カート高かったんですよ。
その後中学から高校にあがる頃、生まれて初めてバイトして購入したのがコクサイが当時満を持して発売し「リボルバーのコクサイ」という評価を確定させた新M29の6インチ金属モデル。
それから後色々手に入れましたが、学生時代は大抵、組み立てキットでした。
マルシンは私の腕の未熟さもあって妙に難儀するものが多く(あの頃YouTubeがあれば!どこを調整すればいいか、専門誌でもなかなか解説はありませんでした)、MGCは内部機構のリアルさを無視したおかげもあって組みやすく作動も確実というのを実感したのも懐かしいです。
その後、トルーパー以外は手放し……いや、トルーパーも一度売り払ったけど、色々あって戻ってきましたが、それいがいはジャンクになったり手放したり。今も手元にある「当時品」はトルーパーだけです。
叔父の家にあったモデルガンは、結局全て自壊したり、規制で金色に塗ったものがどうしても気に入らなかった叔父が、ハンマーでたたき壊して廃棄してしまいました。
そして当時、テレビや映画の過酷な現場で「定番の拳銃」としてローマンと並んで良く登場しただけあって、今でも私の古いトルーパー、シングルアクションでなら確実に動きます。
小林泰三さんの設計とMGCの技術の凄さですねえ。

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