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「おもしろい!」の作り方3 『意外性の在処』

こんにちは、神岡です。
「おもしろい!」の作り方 第三回目です。
今回のテーマは物語作りで最も重要だと思っている要素=意外性です。

今回は例として、「魔法少女まどか☆マギカ」、「進撃の巨人」、「プラネット・ウィズ」を取り上げます。
特に、プラネット・ウィズはYouTubeで第一話無料配信中なので、是非見てください!

では、始めていきます。

概要

この記事では以下のことについて書きます。

・意外性を生むためには、読者の予想を想定することが重要である。

意外性の役割

私たちが物語に触れる際、最初の1文、1コマ、1秒から引き込まれるという体験はなかなかありません。大抵、あるシーンを境に物語の先が気になって、知らず知らずのうちに夢中になってしまうものです。

あるシーンとは例えば、以下のようなものです。

1:犯人を捕まえたのに、殺人事件が終わらない。
2:重要なメインキャラが序盤で死ぬ。
3:絶対負けられない勝負に負ける。
4:のほほんとした日常系かと思いきや、残酷な世界観だと判明する。

どれもどこかで見て、「えっ! この先どうなっちゃうの!?」と物語に釘付けになってしまった経験があるのではないでしょうか?

これらのシーンは共通して意外性を含んでいます。
このことから意外性には、受け手を物語に引き込むスイッチとしての役割があることが分かります。

意外性の生まれ方

「どうすれば意外性を生み出せるのか?」

これについて私は、急展開や突拍子もない展開を入れることが重要だとばかり思ってきました。
しかし、何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し。そんな展開を続ければ、構造上非常にとっちらかった物語になってしまいます。

何よりこの方法では、見かけ上急展開なのに、「受け手を物語に引き込む」という役目がなくなっています。これでは本末転倒です。

では意外性はどうすれば生まれるのか。
色々探してみた結果、こんな言葉に出会いました。

「作品の中にルールを作る。読者もそのルールを理解する。するとルールに則っている間は先の展開が予測しやすくなるので、非常に読みやすくなります。逆にルールからわざと逸脱すれば、読者の感情を動かし、サプライズを与えることが出来る。」

これは、野崎まど先生の作品「小説家の作り方」で、主人公が教え子に小説作法を伝授してるシーンです。

つまりですね。
意外性は突拍子もない急展開を起こすことが本質ではない。
読者にしっかり展開を予想させ、それを逸脱した流れを展開することで、意外性を与えることが出来る
……と言われています。

私は、物語に顕在化する展開ばかりに目をとられていて、読者のことを深く考えていなかったのですね。

この考えに出会った時は目から鱗でした。猛省します(´;ω;`)

意外性の実際

それでは上記の意外性の考えを、有名な作品に当てはめてみようと思います。(「まどマギ」、「進撃の巨人」については非常に有名な作品なので、あらすじ紹介などは割愛し、ネタバレも全開です。ご注意ください)

魔法少女まどか☆マギカ

三話までの視聴者の予想
→困った人を魔法で助ける王道の優しい魔法少女の物語。
実際の展開
→マミさんが死亡。魔法少女が過酷な戦いを強いられていることが判明。


新編「叛逆の物語」の視聴者の予想
→ほむらが円環の理(まどか)に導かれる。
実際の展開
→ほむらが円環の理(まどか)の力を奪い取る。


進撃の巨人

トロスト区防衛・奪還戦(1-4巻)での読者の予想
→訓練兵を卒業したエレンが、再びの巨人襲撃に対し、辛くも勝利する。
実際の展開
→同期の訓練兵が次々と命を落とし、エレンまで巨人に食われる。

調査兵団入団〜第57回壁外調査(5-7巻)での読者の予想
→壁外調査で成果を挙げ、エレンが味方であると人類に証明する。
実際の展開
→リヴァイ班全滅。壁外調査は失敗し、エレンの引き渡しが決定する。

なるほど確かに、受け手の予想と離れるように物語は展開していますね。

おまけ:プラネット・ウィズの意外性&布教

有名な例を見たところで、ここでもう一作品だけ紹介させてください。
今回の私の推し作品「プラネット・ウィズ」です。
第一話、見終わりましたでしょうか?

あらすじ
過去の記憶を失いながらも、平穏に暮らしていた高校生・黒井宗矢。だがある日、世界は謎の巨大兵器「ネビュラウェポン」に突如襲われる。
猫のような姿をした「先生」とゴスロリ姿の銀子と共に、宗矢は戦いに巻き込まれることになったが_________
(公式サイトより引用)

私は正直、一話の前半部分までこの作品を「よくある巨大ロボットもの」だと思っていました。

だって、記憶喪失の主人公と、平和な日常に突如現れた謎の敵。そして、それを倒すために現れた戦士達ですよ。
今まで見てきた色んな作品が頭をよぎり、多分その流れを汲んだ作品になるんだろうなと、まんまと予想させられてしまいました。
きっと、この主人公が戦士達に仲間入りして、敵を倒し成長していくストーリーなんだろうな……と。

ところがどうでしょう。
12分後半、主人公が倒すべきは、戦士達の方だと告げられます。
ここから、自分は罠にかかったみたいに物語に釘付けになりました。
やられた……

(ちなみにプラネット・ウィズは1クールであるにも関わらず、まるで4クールのような壮大さを感じられるとんでもない作品です。是非全話見てください!!)

まとめ

今回のまとめです。

・急展開を起こすことが意外性の本質ではない。
・受け手に展開をしっかり予想させ、その上で逸脱する流れを展開することで、意外性は生まれる。

ここでもやはり、受け手のことを考える重要性が分かりました。
全ては、どうすれば受け手が「おもいしろい!」と感じるかについて考えることに通じています。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。
ではでは、次回もお楽しみに。

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神岡鳥乃の電子書籍です。
わずか100円ちょっとのお値段です。
今回の記事が缶コーヒー程度には役立ったなと思われたら、是非読んでいただけると幸いです。


感謝です!