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がまんの壁のその先へ ― ヤマグチヨシユキ選手独占インタビュー|それぞれのYOKOHAMA vol.6

ポケモンカードゲーム世界一が決まる、ポケモンの祭典 Pokémon World Championships が2023年8月、横浜で開催されます。日本発のゲームであるポケモンカードですが、その世界大会が日本で開かれるのは史上初めてのこと。「それぞれのYOKOHAMA」はこの記念すべき大会に対する想いを聞く連続インタビュー企画です。第6回は第3期から連続3期ポケカ四天王を務める、ヤマグチヨシユキ選手です。

インタビューの約束をした日はヤマグチヨシユキ選手がチャンピオンズリーグ2023新潟(CL2023新潟)で優勝した翌週だった。優勝を決めた日の午前中、ヤマグチは最初の2つのラウンドを敗戦し、トーナメントから除外される3敗まであとひとつの敗戦というところまで追い詰められていた。

そこから決勝戦まで、予選スイスドローと決勝シングルエリミネーショントーナメント含めなんと16連勝。大会に参加していたプレイヤーや配信で大会を追っていた人々に大きなインパクトを与える優勝だった。

「16連勝というのは本当に意味がわからないと思います。ポケモンカードゲームってそういうゲームじゃないんで」

すこし困ったような笑顔で、ヤマグチ本人も16連勝での優勝を驚くべきことと表現した。大会の規模が大きく膨らみ、高い勝率を求められるCLで勝ち抜くことは並大抵のことではない。しかも一つも負けられない状況で連勝を重ねるのは、命綱なしの綱渡りにも似た戦いであったろう。
一方で、大会中はヤマグチ自身「それしかない」と考えていたのだという。

「PJCS (Pokémon Japan Championships) への参加権利はすでに持っていて、あとはWCS (Pokémon World Championships)への参加権利が得られるBest 4に入ることが大会でのゴールでした。2連敗した後、周囲ともここから全部勝つしかない、と繰り返し話していましたし、根拠があるわけではないですが自分自身勝てると感じていました」

ヤマグチが選択したデッキはサーナイト。大会の環境で良い立ち位置にいるとされていたデッキの一つだ。(なぜこのデッキを選んだのか、といった内容は、ヤマグチ自身がnote記事で解説している)

自信を持って選択したデッキではあるが、ヤマグチ自身サーナイトexデッキについて「めちゃくちゃ難しい」と評している。

「それぞれのデッキに100点の動きがあるとして、サーナイトで100点を出すのが本当に難しい。かなりの回数対戦に使用していますが、メモを見返すとミスがなかった対戦がないほどです。

25分で対戦を終えることも大変です。自分はじっくりプレイしがちなので、さくさくやろうと意識していたんですが、結構ギリギリのことも多くなりましたね」

5歳でポケモンカードに触れてから中断時期がありつつも、このゲームを長くやりこんできたヤマグチをして「難しい」というデッキで、神経をすり減らしながら連勝を続けて見事に優勝を勝ち取ったのである。

「あとひとつ」が届かないCL2023シーズン

チャンピオンリーグ2023(CL2023)シーズン、ヤマグチは安定した成績を収めていたが、WCSへの出場権を得るにはあと一歩至っていなかった。

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