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    読書録。

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読書録 .3

明るさを求める気持ちは、すでに、きっと暗い。光がまぶしく見えるときの、あこがれにも似た切ない気持ち。 『明るい夜に出かけて』 佐藤多佳子 主人公はとある人間関係のトラブルをきっかけに、逃げるように休学し一人暮らしを始める。 物語の舞台はいつも真夜中だ。コンビニでの夜勤アルバイト。唯一の趣味である、ラジオの深夜放送。 一人称視点で物語は進む。飄々と、やや斜に構えたような語り口が、好きなラジオ番組の話になると釣り込まれて聴いてみたくなるくらい生き生きとするのが楽しいし、先が見

    • 読書録.2

      青空文庫で短編を読み漁るのが静かなマイブーム。ソラリというアプリを使っています。文字の大きさや行間の余白など読み易く調節できるところと、読んだ本を “本棚” に並べておけるところがお気に入り。 『恋人たちはせーので光る』 最果タヒ詩のことばを読むときは、散文に比べ、ことばが流れるその瞬間、瞬間を強く意識させられるように感じる。耳に触れる音の連続をたのしむことを音楽と呼ぶとするなら、音楽に近いものだ、と思う。 最果タヒさんの詩は、その極致だと感じた。初めて読んだとき「読みかた

      • 読書録.1

        文章を書く練習ついでに始めてみます。 三日坊主に打ち勝ってみせるぞという意志を「1」に込めました……。 『たんぽるぽる』 雪舟えま歌集。読もう読もうとは思ってきた雪舟えまさん、いま出会えたことがとても嬉しい。 ぎりぎりの痛々しさを裸足で駆けて、何気ない生活の温い匂いに身をよせる。 少女のように甘やかに、時にけもののように奔放に、跳ねていくことばがいとおしい。 けんかして泣いてるとこと座のベガの六時にかかる曲が流れた おいしいの苦い光がおいしいのめだかは空にえさをまかれて

        • 伝えること 【ラストサイレンス】

          すこしおひさしぶりかな。藍です。 先月から何度も何度も繰り返し聴いている一曲があります。 心が動かされてならないので今、言葉にしてみたいと筆をとり(?) ました。 メレル さんの ラストサイレンス 。 真摯な優しさが詰まった曲だと思いました、それは臆病にきこえるくらいに。けれど、たしかに強い。 詞を追いながら聴いていこうと思います。 低く細やかに抑えられた伴奏、色でいうならば彩度の低い寒色の印象に声が連ねられて、つかの間 間奏を挟んでまた言葉を重ねて。何かに追い縋ろ

        読書録 .3

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          3本

        記事

          ワードサラダ、こんぺいとう

          夜中を持て余してつらつら まとまった量の文章を読むことが、出来なくなった。 140字で完結するつぶやきの連続なツイッターは、見られる。 noteひと記事、とりとめなくお喋りを聞くように流し読む、くらいまでならできるらしい。 小説や教科書は入ってこない。 元は絵に描いたような本の虫、物心付いた頃から文章を読むことを苦痛と感じたことがなかった身なので、焦った。 私は言葉にすることが好き。 不安なことや気がかりなことは言語化してみる、それで落ち着ける。 かたちのない嫌な

          ワードサラダ、こんぺいとう

          大好きな曲のカバーで泣いた話。【1/6 -out of the gravity-】

          いつか重力のクサリを 断ち切り君を連れてサテライト つい先程投稿された一本の動画。涙がこぼれそうな気持ちで聴き入っていました。大好きな、大好きな曲のカバー。 ………… 突然ですが、1/6 という数字を見てなにを連想しますか。 1/6 。 それは、地球と比べた月での重力の大きさだそうです。 月へ行けば身体の重さは1/6。 だったらさ、悲しいことや苦しいことも1/6にしちゃえないかな、子どもだましでもいいからさ。 今日はそんな、優しい曲の話を。 おどPの “1/

          大好きな曲のカバーで泣いた話。【1/6 -out of the gravity-】

          愛のうた 10選

          “愛ってなんですか?” 愛のうたというお題、かなり悩みました。 だけどたとえばこういうものが、愛、なのかもしれない。考えてみる10選です。 愛ってなんですか。 「君を救いたい」それはエゴに過ぎないのではないですか。 君の神様になりたい。/初音ミク http://nico.ms/sm32025594?cp_webto=share_others_iosapp 僕は無力だ。僕は無力だ。無力な歌で、君を救いたいけど、救いたいけど。 それでも叫び続けたいこの思いを愛と呼ん

          愛のうた 10選

          ホワイトナイト

          それは連絡も寄こさず押しかけてくる。 寝返りを打ってみても呻いてみても無駄で、観念して瞼を開けるとちゃんとこちらをみている。歓迎なんかしてやらないけれどお構い無し、嘘みたいに長い夜がはじまる。 こうなるともう駄目で、明かりをつけてあったかいものでも出して丁重にお引き取り願おう、なんてお利口な考えはてんで出てこない。ブルーライトをボンヤリ浴びている。十分に悪い視力を無駄に削っている。そいつはちゃっかり隣に張り付いて美味しそうにそれを見ている。 誰かの声がききたい。いや、い

          ホワイトナイト

          痛みに似た 【春雷】

          藍ですこんにちは。 まだまだ外は痛いくらい寒いけれど、暦の上では春。 そんな今日語りたいのはこちら! 米津玄師の 春雷 という曲です。 まずは全員聴きましょう↓↓↓ https://youtu.be/zkNzxsaCunU えっ開始五秒で大好きって叫ぶ…… この、オルゴールみたいなチロチロって音に ん?って耳を澄ませますよね、そしたら次の瞬間一気に鮮やかな音の洪水。アルバムBOOTLEGを初めて聴いたとき、この五秒間で完全に取り憑かれたことを覚えています。『春雷』

          痛みに似た 【春雷】

          元気が出る!曲10選

          マイリスコンピだ〜! 元気が出る曲。 元気な曲ばかりではないけれど、元気が欲しいとき聴きたい!を集めてみましたよ。 1. 雨の日、頭痛とコーヒー元気を出す、ってのも時にはしんどいものですね。まずはゆったりポエトリーリーディング、いかがですか。 箪笥に足の小指をぶつけるような毎日だから。ほっと一息、癒されませんか。 チャイムの音と葵ちゃんの語りがどこか懐かしい可愛らしさ。かるーく聴けるのに魔法みたいに余韻が残り続けて、ちょっと良い1日になりそうな気がしてくるんです。 雨の

          元気が出る!曲10選

          声をなくしたら

          藍です。 今回は、拙いながらもいつもの好き!語りとちょっと違ったことに、挑戦してみました。 早速ですがテーマは、こちら。 声をなくしたら僕じゃなくなる それでも好きだと言ってくれますか この歌詞です。BUMP OF CHICKEN の、66号線という曲から引用しました。 BUMPめっちゃ好きです。そしてこれはもしかすると世界一好きな曲。こんなにも優しくてあったかくて。 ……止まらぬ好き、は一旦置いといて。 ボカロにハマり始めた私はふと思ったわけです。 『この

          声をなくしたら

          自己紹介10選。

          マイリスコンピ、気になってはいたんです。今年は参加してみようかと。 初回ということで、過去のテーマから『自己紹介10選』つくってみました。こういうのがすき!を詰め込んだ。 1. カフネ 最低な夜は水に浮かべて 飲み干してしまえたらいいのに この言葉選びに心奪われました。 やり切れないような哀しみと、それを綺麗に掬いとってみせる優しさ。 冷たい雨の中で不意にあったかい手に触れた、みたいな気持ちになる曲。 v_flower と ミク、骨太な暖かさと柔らかな儚さがそれぞれ

          自己紹介10選。

          コンビニよって帰った日

          藍です。ちょっと書き留めたい出来事があってnoteひらきました。 ボカロ曲にまつわる話ということで vocanote とタグを使わせて頂きましたが、個人的な思い出話ですよろしくお願いします。 … ボカロリスナー1年生、と名乗ってきました。自覚して聴き始めたのが2018年に入るころからだからです。それまで “ボーカロイド” って存在も知りませんでした。 だから、去年の夏 『初めまして』ということばをキーとして出会いを書き綴りもしました。 https://note.mu

          コンビニよって帰った日

          2018年ボカロ10選

          お久しぶりの藍です。 年10選ですって、ぼかろりすなー1年生はワクワクしちゃってますよ。これから毎年参加出来ると、いいなぁ。 すき! を教えてくれた最強の10曲を集めました。とってもよるとあおでした。 では早速、一曲ずつ語らせてください。音楽あんまりわかんないので代わりに愛を増しましってことでよろしくね。 ※今回、【タイトル / 作者名(敬称略)/ ボーカル 】という表記に揃えました、よって元動画での表記と異なります。問題があれば訂正致します。 眠り姫【眠り姫 / G

          2018年ボカロ10選

          お別れのおはなし【はるがこないまち】

          藍です。 今回は はるがこないまち歩く人 の作品、こちらの曲を語りたいのです。 季節感がない? まあそれは言いっこなし。 まずは、聴いてみてください。 http://nicovideo.jp/watch/sm31150011 初めに惹かれたのは、音。 ぽつぽつと歌いはじめて、軽やかにメロディを届けてくれる歌声。 そして、ちりばめられた音たちはこれ、なんの音なんだろう。ねじを巻くみたいな音、うしろでぴこぴこリズムを刻む音。懐かしいおもちゃや甘いお菓子、動画の女の子の足

          お別れのおはなし【はるがこないまち】

          何度でも、 『はじめまして』を。

          藍です。 今回は、ここに来るまでの「出会い」を語りたくて書いてます。 思い切り自分語りになります失礼します… 小学生の頃には、『ボカロ曲』はある程度、自然と周りにありました。千本桜がカゲロウプロジェクトが時代を作ったころだったと思う。皆(もしくは、少なくとも私の仲良くしていた人たち)が聴いていた。 でも私は特に興味を持つことなくその時を過ごしました。 ハチ との 『はじめまして』中学校に上がるころかな。 友人から勧められた(というか有無を言わせず聞かされた)一人のアー

          何度でも、 『はじめまして』を。