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国際女性デーだからFGOの女教皇ヨハンナに対するモラハラ問題を語ってみた

今日は国際女性デーだそうです
女性デーなんて『女教皇ヨハンナ』について語るのに最適じゃないですか!

というわけで、ソシャゲ垢らしく『Fate/Grand Order』さんのバレンタインイベントについて語ろうと思います

※Fate/Grand Order ――SONYグループ傘下株式会社アニプレックスが発売元になっているソーシャルゲームです
https://ja.wikipedia.org/wiki/Fate/Grand_Order
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結論から言いますと、
FGOバレンタインシナリオ、個人的にはかなりもやっとしたシナリオでした

トラオムもかなりもやっとするシナリオだったし、実際、ぷち炎上を散見してたので女教皇ヨハンナ実装の時には補正が入るかなと思っていたのですが、特にそういうことはなく、今回も明確に女性に対するモラハラが含まれたシナリオでした

最近は中華ソシャゲのプレイがメインになってきているのですが
実は、日本のソシャゲと比べて、こういうもやっとしたシナリオに当たらなくなってきていることに、逆説的に気づき、このシナリオが海外に出るのか…と思うと、自分的にはこのシナリオは問題があると発言しておいた方がいいと思ったのです

例として適切かどうかわかりませんが
ロシアのウクライナ侵攻に対して
ロシア人はみんな賛成したのかという疑問があります
「私は反対する」と明言しなければ、賛成したものと見なされてしまうかもしれない

そういう観点からすると、あるていどわかりやすい形で問題だと書いておくことは重要だろうと
そうでないと、日本のように、国際的には女性の尊厳が守られているとは言えない国では日本人女性はこのシナリオのモラハラを受け入れていると思われかねないから

ヨハンナに関しては、おそらくトラオムでの炎上が散発的だったため
大きな問題はないと言う上層部の判断だったのでしょうか
日本では批判の声の大きさで企業が態度を変える傾向にありますが

このシナリオは、

『批判する人の数が少ないことが、より差別の根が深い』

類いの問題をはらんでいるのですね

さて、日本では、そもそも『女教皇ヨハンナ』ってなんなの?と言う人が多いと思うので
おさらいがてら自分なりの解釈で、まずまとめます―――――――――――――――

女教皇ヨハンナとは、中世ヨーロッパにおいて絶大な権力を持っていたローマ教皇庁に対する批判として生まれた伝説的存在です

女性は司祭以上になれないローマ・カトリック教会において、なぜ最高権力者であるはずの教皇になった女性がいたなどという伝承が生まれたのか

それは当時ローマ・カトリック教会がヨーロッパ社会を精神的支配するにあたり、母系社会を否定し、度重なる宗教会議でケルト系キリスト教を排除したことへの反発なのか

腐敗や汚職がはびこっていた教皇庁への痛烈な風刺なのか

いずれにせよ、男性権威主義の社会に対するアンチテーゼとして、まことしやかに語り継がれてきたのが、本来、存在するはずのない女教皇ヨハンナという存在である

タロットカードの女教皇はこの女教皇ヨハンナがモデルだと言われている
このことからも、ヨーロッパ世界で、いかに『女教皇』という存在が、『ないからこそ、存在してほしい』という、強い願望を持って語られてきたことがよくわかる
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女教皇ヨハンナは民衆が生み出した架空の存在だと言われているが
その背景には、教皇庁の汚職や腐敗があります
【参考/世界史の窓】
https://www.y-history.net/appendix/wh0601-172.html

FGOで手に入れられるサーヴァントは歴史上の王や英雄を二次創作として召喚し、反転ないしは同様の英雄的偉業によって相応の戦闘力があるとされている

教皇庁の腐敗の一旦としてならヨハンナは、ジャンヌ・ダルクのようなアベンジャーか
男性権威主義を徹底的に排除するバーサーカー、あるいは
そういった性格を持つ(天草四郎のような)ルーラーが来るのかな?
と事前には漠然と考えていたのですが
トラオムでは、どちらでもない印象でした

バレンタインイベントでは女教皇ヨハンナがサーヴァントとして実装されるとの事でしたので
これはトラオムで消化しきれなかった部分が補完されるのだろうと
楽しみにしていました

ヨハンナが架空の存在であるを連呼する問題は後述するとして
もっとも、もやっとしたポイントはこれでしたへ

https://twitter.com/kamiya3jus17/status/1628033399821840389
https://twitter.com/kamiya3jus17/status/1628070802066382849

・疲れたヨハンナが変な声を出す
・教皇にあるまじき振る舞いだと男性サーヴァントが指摘する
・別の女性サーヴァントが女の子なんだから、そのくらいいいじゃないとフォロー(?)する

というシーンです

やばいモラハラです

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たとえば、白夜極光のレインハトや無期迷途のラングリーとかなんならゾーヤとか、ああいうパワー女子上司が女の子らしい?失敗をして(ない)
それを男性陣に指摘されて(パワー女子男性陣の前で失敗するの一番嫌がるから、ない)
さらに他の女子に「女の子だからそのくらい失敗していいのよ」ってフォローされるって
――――――――――――
……その場は凍り付くでしょう

もしかすると、「身近な女性に見てもらったが、特に問題だと言われなかった」
と言い訳されるかもしれませんが
正確なモラハラの該当者じゃない場合は
もやっとしても、何が問題なのか気づかない可能性があります

日本と言うフィールドではこのモラハラの該当者は、
限りなくエンカウントしにくいレアキャラだからです

そう、これは

『男性権威社会のなかで
最高権力者に上り詰めた女性だけ
をターゲットにしたモラハラ』


なのですね

前述したように『女教皇ヨハンナ』は、男性社会の中で
男性しか権威のトップになれない世界のトップになった女性ですから

『そんな失敗するか???』

とさすがに扱いの雑さにもやっとしました

シナリオを書いた人は
『女性は仕事できちんとしていなくても許される』
『女なんだからできなくて当然』
とう根強い価値観のなかで育ち
その価値観がタイムカプセルのように、
自分が年取ってきたときに吹き出してきたのでしょう

わりとクリエイターあるあるだと思っています

会社勤めの人の場合、女性CEOを目の前にこんなこと言ったら
さすがにやばいといういう危機意識を持ってる人が多いと思いますし

そして問題としてより根が深いのは
ゲームというのは、漫画や小説のように単体の名前で発表する媒体よりも
たくさんの人間が関わり、チェックし、また校正校閲が入っているはずなのに、このテキストがこのまま配信に至ったということです

つまりゲームを作成しているチーム全体、校正者たちは
このモラハラをチェックする体制がない
ということを露呈しているのでした

みなさま、それなりに年配の男性でチェックしていて気づかなかったのでしょうか

男女雇用機会均等法の導入がされた頃から
『女性はお茶くみ洗濯掃除をして当然』
という、ジェンダーバイアス発言をなくしましょう
という活動がなされ
セクハラ・パワハラ・モラハラによる女性差別は社会通念上、許されないということになりました

働いている人たちの話からすると
『今はそーゆーの相当うるさい』
『東京近辺は日本では1番マシ』
『地方はそれなりに名前が売れた企業であってもモラハラ発言が多い』
『外資企業はその辺とてもクリーン』
などと、大昔からすると大分ましになっているとは聞くのですが
半面、ましになってきたことで
問題に対する危機意識が薄れている人もいるのかなぁと
『私はお茶くみいやじゃない』という発言が流れてきて思ったりもします

これに関しては、

男性が言うから許されず、女性なら言っていい。ということではない


んですよね

例として
『私は投票に行かないから、女性の選挙権なんていらない』
と言われたらどうでしょうか

祖父母・曾祖父母くらいの時代には女性の参政権はなかったわけで
その参政権獲得の歴史を知らない世代になったからと言って
先人の権利への闘争をあざわらっていいことにはならないでしょう

女性側の発言だとしても、モラハラに当たりますから
みんな言わない

それと同じことだと思います

そういう社会通念をいきわたらせないと
簡単に保守反動して、やっと獲得した権利をなかったことになりそうで怖い

この辺、特に世界的に見ても、アジアと比較しても
日本は女性管理者が少ないですから
その数が少ない女性をターゲットにしたモラハラを
大手ソシャゲのシナリオで配信されるのは
より悪質だと思いました

日本のクリエイターは、中国の国による表現規制とかを、すごい上から目線で高みの見物してるけど、女性に対するセクハラモラハラ表現はすでに日本の方が後進国だって気づいてほしい
北米基準ではなくアジア的にもヤバいので、このバレンタインシナリオ頼むから国外に出さないでくれ…(魂の叫び

わりと真剣に恥ずかしいから
海外配信の際は修正が入ると信じたい……

そら能力のある女性は海外に逃げるよね

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【世界銀行】経済面での男女格差 日本は190か国中104位、先進国では最下位
https://news.livedoor.com/article/detail/23804135/

報告書では、男女の格差是正が各国で法的にどの程度進んだかを指数で表しており、ドイツなど14か国が完全な男女同権を示す100だった一方、日本は78.8に。先進国では最下位となった。

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活路は海外? 静かに増加、「日本を離れる」女性たち : NIKKEIリスキリング https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM21D1V0R20C23A2000000?channel=ASH05030

https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM21D1V0R20C23A2000000?channel=ASH05030
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