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株式市場が急に下がった時の対処法

当連載では、これから投資を始めようと考えている資産形成世代のみなさまのお悩みや投資のギモンについて、日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト神山直樹がお答えしていきます。
株式市場などのマーケットが急に動いたときに、これからどうしたらいいのか不安になることがあると思います。マーケットが急に下落をした場面での行動のヒントや考え方を神山がお伝えします。

これから投資しようと考えていた場合、投資はしばらく様子見がいいでしょうか。                               一般には、最初に決めた投資の『目的』だけを思い出して行動してください。市場の急変にあれこれ理由はつけられるのですが、結局その後さらに下がるのか、さっといつの間にか上がるのかなどわかりませんし、トレンドの変化なのかもその場で判断するのは難しいです。
それよりも、株式への投資であれば人々の努力と工夫が将来的に企業価値の創造や経済成長につながると信じられるかといったことから考え、企業価値の創造や経済成長につながると信じられれば、予定通り投資を進めればよいでしょう。余裕資金が多い場合、時間分散で買い付けることも考えてよいです。特定の株式であれば、判断に必要な情報が出揃うまで待つことも適切ですが、世界の株式やREITに幅広く分散投資する場合、長い目で見ればマーケットの急変も、小さな変化でしかなかったということになることが多いです。 

投資資産をすでに保有している場合、何かした方がいいことはありますか。これから投資する人との違いは、すでに投資をしている人は、これまでの評価損益のせいで今後の変化に対する心のブレが出てくることです。例えば、「ここまでは儲かっていたが、これから減ってしまうのではないか」あるいは「これまでの儲けが大して多くないのにさらに減ってしまうのではないか」などといった投資資産の運用状況の変化によって生じる心理的な不安です。
しかし、過去からの運用状況を見て未来を決める必要はありません。投資している資産について、ご自身の投資の目的と照らし合わせてみましょう。もし適切だと判断すれば、投資資産を急いで売却することはないでしょう。常にマーケットを見ている投資のプロですらマーケットの動揺の後を予想するのは難しいので、個人の投資家のみなさんが急にあたふたしてもよい考えは出ないと思います。
したがって、株式市場が急に下がった時は、目的に合致した投資であるかを確認するタイミングと考えてよいでしょう。後になって「あのとき売っていればよかった」などと考えたくなることもありますが、実際にはそんなことばかりで頭がいっぱいになる投資が目的に合致しているとは思えません。自分以外の人が働いた成果を分配してもらうのが投資であり、その価値を生み出す仕組みに疑いがないのであれば、その場その場で小さな利益を追い求めても長い目で見ればたいして違いはありません。

投資を続ける中で、大事にしてもらいたいこと             投資で一番大事なことは『投資の目的を明確にすること』です。どたばたと売り買いして儲けたいという目的の人は、売り買いすること自体が目的化してしまっていて、おそらく投資というよりは消費(楽しみ)になっていると考えられます。
これまで私は、将来の”潤いのある生活”のために投資をすることをご提案してきました。自分以外の人が働いた成果を分配してもらうのが投資です。その代わり、投資をして、投資先の事業そのものがうまくいくかのリスクを負います。そのため、ひとつの会社だけに賭けるのではなく世界経済の成長に賭ければ、目先の相場の上下動を気にしなくてよいでしょう。目先の予想は難しいですが、長期的に見れば世界では技術革新や経済成長が続いていくことでしょう。この長期的な成長が信頼できるのであれば、投資を続けていくのがよいと思います。
本来、投資には、多額の投資金額や多くの知識は不要のはずです。小さく(個別に)賭けて大きく儲けようとせず、大きく(幅広く)投資して小さな上乗せ(例えば3%とか)を長い期間期待できるように投資してはいかがでしょうか。

まとめ 株式市場が急に下がった時は、投資目的を確認するタイミング。投資している資産が、投資目的に合っているのか確認してみよう。

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