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最初にお礼を書きますね。先日、記事を購入してくれた方&サポートしてくれた方、ありがとうございます。みなさん無理はしないで…と思いつつも、正直なところ、僕ごときのnoteにも存在価値があるように感じられて、とてもうれしいです。って、こういう卑下した文章は良くないですな、すみません…。何はともあれ、今回も適当な駄文を垂れ流しておきますよ。

娘のマナ子(仮名/9歳)は「人生ゲーム」が大好きでしてね。

2018年のクリスマスに娘がサンタの野郎からもらったこのゲーム、大人目線で分析してみると、ルールは分かりやすいし、「オモチャのお札をやり取りする」というのも子ども心をくすぐるし、実に良く出来ている印象。そりゃあ毎日やったら飽きるでしょうけど、仲が良い人たちとたまにやる分には、大人でも十分楽しめるクオリティというか。さすがはロングセラーなだけはあるなぁと感心することしきりですよ。僕の子どものころにやっていたバージョンと比べると、職業カードやお宝カードが加わっていたり(うろ覚えですが、なかったと思う)、追加ステージがあったりと、そこそこ派手になっていますがー。

マナ子はこれが「人生初のボードゲーム」だったんですけど、僕と奥さんとお義母さんを相手にやったら、最初に2連勝してしまって、その成功体験もあって大好きになった様子。ただ、逆に負けることを異常に恐れていて、ビリになった時はガチで泣いてしまうこともあるから面倒くさい話ですよ(微笑)。基本的には「運の要素が強いゲーム」で「プレイヤーが手加減できない」にもかかわらず、マナ子以外の3人も彼女の勝利を願いながらプレイしているせいか、娘が1位になる確率が異様に高かったりするのが不思議なんですけど(※1)、とはいえ、常勝は無理じゃないですか。だから、負けた時のフォローがなかなか大変だったりするというね…(※2)。

さて、今年の話。毎年、我が家では元旦に「人生ゲーム」をやることになっており、マナ子も超やる気マンマンだったワケですが…。なんと「パパと一緒にやりたい!」と言ってきたのです。要は「負けた時の精神的ダメージを軽減するため」のようで、そんな彼女がほとばしるほど可愛いと思いつつも、「たかがゲームの敗北なんだから、慣れておいた方が良いのでは」とも思う親心。ただ、中学高校とテーブルトークRPGでゲームマスターをやっていた僕的には、このゲームの銀行業務&進行(車に刺すピンを渡したりする)を担当する方が大好きであり、そちらに注力できるのはちょっと魅力。そして、「お願い〜お願い〜」と連呼してくるマナ子の姿もまた100点の愛らしさだったので、父娘でチーム結成だッ!

なんとなく「良いコマに止まったら自分の手柄、悪いコマに止まったらパパのせい」というムードだけど、パパはマナ子のそんなチャッカリさんなところも愛してる。奥さんとお義母さんを相手に、それなりに良いコマ悪いコマ普通のコマに止まりながら、楽しんでいたんですが…。ゲーム中盤、「家を買う」かどうかで揉めたのです。

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この時点での手持ちは1万ドルと少しだったので、そのままでは買えない状況なんですけれども(安い家でも2万5千ドル)。このゲームは2万ドル単位で借金できるようになってまして。家を買っておくと、ゴールした時点で3倍の値段になるので、手持ちの金がなくとも借金してでも「購入するのが勝利への最適解」なのです。ところが、娘は「返せなかったら嫌だから」と借金するのを拒否してきたから、ここは大人として教育しなくちゃなと。「本当の人生でも家を買う時はローンを組むんだから、別に変なことじゃないんだよ」なんて言いつつ、4万ドルの家の購入を提案すると(約束手形2枚分)、マナ子も渋々応じてくれまして。「こうやってゲームの勝ち方を教えれば、彼女が1人でプレイする時の勝率も上がるだろう」なんて思っていたら、「火事で家を失う」のコマに止まったから、「マジか!」と。

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火災保険に入ってたから2万ドルは返ってきたものの、娘は「パパの言った通りにしたら損した!」と一気に不機嫌モードですよ…。いやほらそういうことだってあるのが人生じゃないのセラヴィセラヴィと、必死に取り繕いながらゴールしてみれば、3位=ビリという残念な結末。ううむ、マナ子ったら、ゲーム前は「パパ大好き」オーラ全開だったのに、すっかり「お前のせいで負けた」顔であり、さすがに次は勝たないと、父としての威厳に関わるかもしれぬ。2ゲーム目はなりふり構わず勝ちに行くぜッ!

な〜んて思いきや、チームの雰囲気が悪いせいなのか、1ゲーム目よりも良いコマに止まれなくて、約束手形を1枚抱えた状態で「家を買う」コマを通過する羽目に。当然ながらマナ子は「さっき損をしたからイヤ!」と突っぱねてきたけれど、戦術的に「借金して家を買う」は間違っていないハズ。「ここはあえて8万ドルの高層マンションを買う!」「パパを信じて!」と強引にゲームを進めてみれば、約束手形4枚が終盤まで残った上に、ちくしょう、また「火事で家を失う」のコマに止まって、その瞬間、娘が号泣! 僕もそっと涙を流したのでしたーー。

20分後、やっと泣き止んだ娘は「ママとやる」と言い出して、僕も「それがいい」と。なぜなら、この時点で「決算日」のコマまであと5マスしかないわけで。約束手形は3枚残っており(火災保険が下りて1枚返せた)、このまま止まったら利子をつけて1枚2万5千ドルで返すことになるため、7万5千ドルが必要となるけれど、現時点で手持ちのお金は3千ドル…。「決算日」では「子どもが1人3万ドルに換算される」ものの、残りの借金4万2千ドルを返せないため、1/10の確率の「人生最大の賭け(自分が言ったルーレットの目を出せば50万ドルもらえる)」に挑戦せねばならない。もし失敗して「開拓地」行きになったら、間違いなくマナ子は大泣きすることでしょう。親として、愛する娘をまた悲しませる危険を冒すわけにはいかないのです。

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ただ、1人になった僕も勝負を捨てたわけじゃない。今、父として彼女に見せるべきなのは「絶望的な状況下でも諦めない姿勢」ではないか。この逆境はむしろ「人生、最後まで諦めなければ何とかなる」ということを教える良い機会なのではないか。となると、ここで出すべきルーレットの目は「3」。「天然水でそばを打つ。$45,000もらう」のコマに止まれば「人生最大の賭け」から逃れることができる。1/10の確率だけど、失敗した場合にやる「人生最大の賭け(1/10の確率)」と合わせて考えれば、なんとなく「2/10=1/5の確率」と思えなくもない(ゆでたまご先生ライクな理屈)。燃えろ、オレの小宇宙! 熱く燃やせ、奇跡を起こせーーとルーレットを回してみれば! なんとマジで「3」が出たから、ゲームというのは面白いもの、ですな(知った風な口で)。

約束手形を2枚返して「決算日」に止まって、1人載せていた子ども(a.k.a.3万ドル)のおかげで借金を完済した後は、所持金1万8千ドルから「マスターズ陸上競技で優勝! $30,000もらう」→「生命保険満期(生命保険に入っていれば$100,000もらう」→「オーガニックレストランをプロデュース。$50,000もらう」→「火星に移住する。$250,000はらう」となって、3位でゴール(賞金$30,000)。株券が2枚=2万ドルなので、最終的にはマイナス2千ドルでビリになった次第。あれ? 開拓地送りでも大差なかったような…。

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でもね、世間で勝ち組だって言われている人だって、バカみたいにゴネたせいで駅前の餃子屋に入店できなかったりするものでさ。今回、ビリになったパパの人生を振り返ってみれば、サラリーマンになって(給料$12,000)、初日に話題の映画を鑑賞したり($2,000はらう)、結婚したり(ルーレットをまわし、出た数によってみんなからお祝いをもらう)、娘が生まれたり(みんなからお祝い$1,000ずつもらう)、火事で家を失ったり、オーガニックレストランをプロデュースしたりと、いろいろあってさ、最後は「火星に住めた」ってスゴくない? 本当はさ、人生に順位なんてないんだよ。それぞれひとつのlife、それぞれが選んだstyle。「自分の人生」を楽しめる人は、みんなが勝ち組って言えるんじゃないかな。

娘にそんなことを言ってみたところ、「でもビリはイヤだもん」「ママ、また一緒にやって〜」とけんもほろろ。まぁ、そりゃそうですよね〜(苦笑)。この後、さらに2回ゲームしたら、2回とも僕がビリでした。いやん、驚くほど弱いッ!



※1 これまで12戦中6回は娘が1位になっており、3位以下になったのはわずか2回しかないのだから、マジで不思議。意外と「勝利への意思」が強い人が勝つように作られているのかも…というオカルトな文章。

※2 奥さんに泣きつくも、ずーっと泣いているから、最初は優しかった奥さんが「負けたぐらいで泣くなら、もうやらないよ!」とキレて、僕がフォローするパターン。


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