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Fuck tha Police

トップ画像は、昨年に発売されたモティカ先生のBL本「15年後に俺たちは」なんですが、僕が初めて警官時代の経験を活かして取材協力した本なのでね(照)、できれば多くの人に買っていただきたい…というのは、この記事の内容にはあまり関係ない文章。

8月26日、高橋ヨシキさん「ダースレイダーx高橋ヨシキ、てらさわホーク #こんなディストピアは嫌だ ファッキン・ムービー・トーク/エアロビ映画編」という配信番組の中で視聴者に向かって、「おまわりは全員ゴミだ」「たとえお前の親族でもだ」「こんなブタ」「絶対に許さないくらい嫌い」なんて発言をされていたんですよ(4時間41分20秒ぐらいから )

ヨシキさんのメルマガを定期購読する程度のファンでありつつ元警官かつ現役警察官の友人がいる僕的に、ここまで攻撃的な発言をされたのは結構ショックだったんですけれども(ヨシキさんが日本の警察を好きだとは1ミリも思ってませんでしたがー)。とはいえ、もちろん理由はあって。その発言に至るまでのトークを聞けば、そうなるのも無理はないのです。引き合いに出されていた出来事や事件は確かに酷いし(「北海道警のヤジ排除」とか「背後から7発撃たれた事件」とか「転び公妨」とかとかとか)、そもそも外見だけで怪しいと疑われて、何度も何度も何度も何度も職務質問(以下、職質)を受けていたら、そりゃムカつくのが人間じゃないですか。例えば、丸屋九兵衛さんがこんなツイートをされているんですが、自分がこういう目に遭ったら…って考えると、間違いなく不快ですよね。

例えば、東京に住むある外国人男性は、5年で30回も職質されたそうだから、酷い話。たまに「外国人犯罪が増加している!」なんて意見を目にしますが、実際のところは減少傾向にあるし、比率から考えても日本人犯罪の方が多いし…(そもそも日本にいる外国人の犯罪はその待遇や環境の問題だってあるワケだし)。まぁ、確かに「ただの人種差別」だよなぁと。

恥ずかしながら、警察官時代は「市民は職質されるのが不快」なんてことをあまり意識してなかったというか。奉職する前の僕と警察の関わりは、交通事故に遭って事情聴取されたりとか、財布を交番に届けたぐらいしかなかったから、普通に「協力すればすぐ終わるのだから、そんなに嫌がらなくてもいいじゃん」程度に思っていたんですよ。ただ、辞めてから自分が実際に職質されてみると、「あ〜、これは面倒くさいなぁ」と。

現場の警察官は「自分が怪しいと思った人間に職務として声をかけている」ワケですが、外見だけで勝手に疑われて、自分の時間と自由を奪われるってのはなかなか不快なもの(もちろん「任意」ですが、拒否した人は「怪しい」ので食い下がるように教育されるのです)。あと、高圧的な態度で接してくる警官もいるので、僕が職質された回数は片手で数えられる程度ですけど、何度も職質を受けている人が警察に嫌悪感を抱く気持ちが非常にわかりました、退職してから、やっと。とはいえ、間違いなく検挙率が下がるから「職質をなくす」ってのは非現実的だよなぁと。

つーか、今の警官は、昔よりもはるかに人権を尊重するようになっていて、遵法精神も向上しているし(「あれで?」と感じるかもしれませんが、絶対に今の方が倫理観はあるというか、昔の警官はマジで酷い)、地域社会の変化もあるし、検挙率が下がるのはどうしても仕方ないんですが、しかし。誰もそんな言い訳は認めてくれないし、ノルマは課せられる一方なので、捕まえやすそうな人を捕まえることだけに尽力したり(自転車盗とか大麻関連犯罪の取り締まり強化とかとか)、なかなか被害届を受け取らなくなっている…ってのが現在の警察だと思うんですよ。で、結局、警察官は「上司から命令されて行動しているだけ」なんだから、大元の命令する方や市民の認識を変えないと、今後はさらに警察と市民の分断が進むんじゃないかと考えております。

それと、前から思っていることなんですが、警察官はせめて「社会人経験がある人」がなれるようにした方が良いんじゃないかと。「踊る大捜査線」の主人公・青島俊作はサラリーマンの経験があったからこそ優秀かつ人間的だったじゃないですか(映画版は大嫌いですが、ドラマ版は結構好き)。そんなのもちろん、もちろん、もちろんフィクションですけど(汗)、自分の警察時代を振り返ると「警察組織の常識」しか知らなかった分、「人間的に幼かった」し、そういう人が多かったと思うんですよね。ハッキリ言って、警察なんて何十万人もいる組織なんだから、変な奴も相当数いるワケですが、そうやって少しでも「一般人に寄り添える人」を増やしていくしかないんじゃないか…って、ううむ、頭を使いすぎて知恵熱が出てきたので、もうやめます。

ちなみに「職質が上手い人」って、僕の経験上では「元不良の人」が非常に多かったです。それって「不良の気持ちがわかる」ということではなくて、「言葉で詰めるのが上手い」というか(こういうところはヤクザと一緒だと思う)。で、僕はかなり下手でね、よく怒られたものですよ。そう考えると本当に向いてなかったし、辞めて良かったんでしょうな。ただ、警察官として働いた日々は、それはそれで青春ではあったし、その経験のおかげでモティカ先生のBL本「15年後に俺たちは」に取材協力できたし、BLに興味がない人でもなんとなく買ってあげてほしい…なんて安い円環構造的な文章を書いて、この記事を終えたいと思います。おしまい。




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